ブックマーケティングとは?メリットや費用をわかりやすく解説
書籍を活用したマーケティング手法「ブックマーケティング(企業出版)」に取り組む企業が増えています。 ブックマーケティングは、リスティング広告やWeb上での発信、DMなど、従来のマーケティング施策に限界を感じ、新たな手法を模索している企業や経営者からいま注目を集めているマーケティング・ブランディング手法です。 本ページではブックマーケティングの基本的な情報からブックマーケティングを実施するメリット・デメリット、費用まで網羅的にまとめていますので、ぜひご一読ください。
ブックマーケティングとは
ブックマーケティング(企業出版)とは、書籍をマーケティングに活用する手法です。
書籍が持つ高い信頼性と、出版社が持つ販路を生かした企業のマーケティング施策を指します。
企業が持つ独自の技術・実績をノウハウという形で読者に届けるほか、企業としての強みを物語に変換する、ビジュアルで見せるなど、それらを最適な形に整理し、一冊の書籍として完成させてマーケティングに活用します。
企業が「売りたい商品/サービス」または「ブランディングしたい事業/取組み」などについて書籍をまとめ、読者の購買意欲促進や、商品/サービスの認知度向上に役立てていくことができます。
- ブックマーケティングについて詳しく知りたい方はこちら
続いて、ブックマーケティングのメリット・デメリットについて下記に示します。
ブックマーケティングのメリット
ブックマーケティングのメリットを7つ紹介します。
ブックマーケティングのメリット①
書籍の持つ「信頼性の高さ」を活用できる
近年、インターネット上にはさまざまな情報が氾濫しています。
まさに玉石混交といった状況で、中には信憑性が疑わしいと考えられる情報も散見されます。
対して書籍は一般的に有料で、著者や編者の情報も明記されています。
それゆえ「書籍はインターネットより、はるかに信頼できる」と考える人が、まだまだ数多く存在しています。
ブックマーケティングを行うことで、「書籍を出している企業」としての信頼性の向上を期待できます。
ブックマーケティングのメリット②
出版社の「販路」を活用し、新規のエリアやターゲットに企業認知を高めることができる
ブックマーケティングでは出版社の流通網によって、全国の書店に戦略的に書籍を流通させていきます。
書籍の版元となる出版社は、全国書店の売り場に連なる販路を、すでに開拓しています。
商圏を全国に拡大したい、または地元でのファンをより獲得していきたいなど、狙ったエリアやターゲットに対して的確にアプローチすることができます。
WEBやCMなどの手法ではリーチできないターゲットに企業の商品やサービス、そして企業情報などを届けることが可能という意味でも、ブックマーケティングは高いポテンシャルを秘めています。
ブックマーケティングのメリット③
読者に寄り添う「じっくりマーケティング」が実現
一般的に企業が「商品やサービスを売りたい」と考えた場合、マーケティングはどうしてもセールストークが中心となってしまいます。
潜在的なターゲットがそれらに耳を傾けてくれれば良いですが、そもそも営業や広告に対して煙たがられてしまうと、懸命なマーケティング活動も徒労に終わってしまうでしょう。
しかし、ブックマーケティングでは、企業が伝えたい情報を読者(ターゲット)の知りたい情報に変換し、商品や企業などの魅力をテキストへ落とし込むことが特徴です。
書籍のまとめ方や切り口次第で興味深い物語や読者が求める情報を生み出すことが可能です。
読者は書籍を好きなときに自分のスペースで読み進めることができるため、企業の発信する情報を無理なく理解し受け止めることができます。
読者に共感を抱かせることで、読み進めてもらううちに企業やサービスのファンを生み出すことができます。
ブックマーケティングのメリット④
見込み顧客層にピンポイントに企業情報が届きやすい
WEB広告やCMなどのマーケティング施策とブックマーケティングを比較した際、ブックマーケティングは企業が欲している見込み顧客や狙ったターゲットに情報を届けやすいといったメリットがあります。
書籍をつくる際に肝心なことは、読者にとって有益な内容・テーマかどうか、ということです。例えば、ダイエット器具の販売促進を目的に書籍を制作する際は「効果的に痩せるためには、どうすべきか」といったテーマが、全体を貫くことになります。そうした書籍に興味を持つ人は、ダイエットの必要性を感じていない人に比べ、ずっと商品購買の可能性が高いともいえます。また、「年収〇〇円からの~」といったように、見込み客の年収や性別などを絞り込んで訴求していくため、企業が欲しいターゲットを獲得することができます。
WEB広告やCMなど、マス向けの広告施策に比べ、「見込み客にピンポイントでアプローチすることが可能」という意味で、ブックマーケティングは効果的といえます。
ブックマーケティングのメリット⑤
書籍を使うことでさまざまな「見せ方」が可能
ブックマーケティングのツールとなる書籍の内容は、まとめ方次第でさまざまなバリエーションを生み出します。例えば、商品開発の背景や使い方をまとめれば、専門書やハウツー本として機能しますし、企業の歴史を物語としてまとめれば、ドラマティックなノンフィクション読み物として機能します。また文章だけでなく、ビジュアルをふんだんに挿入することによって、内容をより伝えやすくすることも可能です。
社会やターゲットからどのような企業として見られたいのか、どのようなターゲットを獲得していきたいのか、など企業の事業課題や戦略に沿ったまとめ方が可能です。
さらに書籍は他の広告媒体と比べそもそもの情報量が多いため、他媒体では発信できない企業独自のスタンスを示すことができます。ブックマーケティングでは企業のオリジナリティや強みを多様な形で示していくことが可能です。
ブックマーケティングのメリット⑥
出版を通じて他のメディアとの接点が生まれる。メディア露出が増える
ブックマーケティングは、新聞や雑誌、そしてWEBサイトなど、さまざまな情報メディアと関係を築くために役立ちます。メディアの担当者は企業や個人単位で行う宣伝やマーケティング、プロモーションには興味を示さなくても、実績のある出版社が発行した有益な情報がまとめてある書籍であれば、興味を持ち、取り上げることも多いです。また出版社は平素から他メディアとのコネクションを築いているため、ブックマーケティングの副次的な効果としてメディア露出が増えていくなどの効果も期待できます。
ブックマーケティングのメリット⑦
長期的な幅広い二次活用が可能
ブックマーケティングは書籍という媒体を用いることで幅広く長期的に企業活動に活用することが可能です。
例えば、セミナーでの配布を行う、休眠顧客に配布するなどの営業ツールとして活用可能なほか、HPやブログやコラムでもコンテンツを再利用することが可能です。CMやWEB広告などの時限つきの施策ではないため、長期的な企業の資産として活用することが可能です。
ブックマーケティングのデメリット
ブックマーケティングにはデメリットもあります。以下に列挙しますので留意しておきましょう。
ブックマーケティングのデメリット①
一部の商品やサービスのマーケティング施策には向かない
ブックマーケティングは、単価の低い商品の販促などにはあまり向いていません。
例えば、ビールを販促したいとなった際には、テレビCMなどのマス向けのマーケティング施策の方が費用対効果を期待できます。
ブックマーケティングが向いている業界の例としては、不動産やコンサルティング、金融関連や医療などの顧客単価が高かったり社会的な信頼性が求められるような業界業種といえます。また、属人的な営業を行うような業種や、無形の商材を取り扱うような業種、レッドオーシャンで差別化が必要な業種などが挙げられます。
ただ、企業のブックマーケティングを行う目的によってはまとめ方や切り口は多様にあるため、自社にとってどのようなマーケティング施策を行うことがベストか考えることが重要です。
また、ブックマーケティングにおいて注意が必要なのが、健康食品や民間療法などのサービスです。
「この食品を常用したら、ガンが治った」などの内容は、病に苦しむ人へ強く訴求できるかもしれませんが、同時に薬事法等に抵触する可能性が出てきます。
健康や医療に関するテーマの場合、内容がそうした薬事法等に抵触していないか確認が必要となるため、しっかりとした知見や実績のある出版社に依頼することが重要です。
法的に問題がなくても、行き過ぎたマーケティングが悪い評判を呼び、逆に商品や企業自体のイメージを失墜させることもありますので、十分な注意が必要です。
ブックマーケティングのデメリット②
書籍が読者の手に届かなければ意味がない
もともとマーケティングのために出版する書籍のため、狙ったターゲットや読者の手に届かなければ意味がありません。
そのため、企画や内容はもちろん、流通やプロモーションもブックマーケティングには重要です。
とはいえ先述のように、行き過ぎた内容を目指すことも危険です。
ブックマーケティングを行う際は、実績のある出版社や書籍編集のプロフェッショナルに相談し、狙ったターゲットにしっかりと届くような適切なサポートを受けることが大切です。
ブックマーケティングのデメリット③
書籍という媒体特有の留意点も存在
書籍という媒体ならではの特徴として、一度印刷されてしまうと、訂正やアップデートが難しいといった特徴があります。そのため情報の刷新や内容の修正などを行う際に他媒体と比較して手間がかかります。
また書籍が売れ残って書店から返本されてしまうと、出版社や著者サイドは在庫を抱えることになります。在庫の管理の方法やその他書籍ならではの留意点への対処法も、出版社によって様々です。
出版社や書籍編集のプロフェッショナルに相談のうえで最低限のリスクでブックマーケティングを行うことができるよう、情報収集をしておく必要があります。
ブックマーケティングの事例
それでは、ブックマーケティングの成功事例を2つ見ていきましょう。
ブックマーケティングで日本が誇るものづくりメーカーとしてのブランディングに成功、講演依頼が殺到
100年の歴史をもつ木工家具メーカーの事例です。同社はバブル崩壊後に収益が半分以下まで落ち込み、経営的に苦しい状態に追い込まれていました。抜本的な立て直しにあたった現社長は販売戦略の一環として、ブックマーケティングを実施しました。同社の地元資源活用と伝統木工技術をアピールしただけでなく、工場改善で圧倒的な効率化を図った過程をドラマティックに書籍で伝えた結果、メディアからの取材申込や講演依頼が殺到するようになりました。
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ブックマーケティングで問い合わせが多数、不動産仲介取引額38億円2億円以上の仲介取引手数料収入した事例
不動産の仲介を行う会社の事例です。同社は30年以上に及ぶ不動産の実務経験と知識によって、大手であれば引き受けるのに戸惑うような複雑な物件や、トラブルなどにも対応してきました。紹介に頼り切った営業ではなく、よりPULL型の集客を実現すべく、ブックマーケティングを実施しました。「オークションで不動産を売る」というメリットや不動産業界の裏事情などを書籍で伝えた結果、書籍経由での問い合わせや良質な案件の紹介が増え、強力な営業ツールとして活用しています。
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ブックマーケティングにかかる費用
マーケティングツールとして事業効果を生み出すブックマーケティングを行う際には、出版社などのプロのサポートが必要となってきます。他のマーケティング施策と同様、ブックマーケティングにも費用がかかります。
ブックマーケティングを行ううえでの費用は大まかに下記になります。
【ブックマーケティングにおける費用の基本的な内訳】
・企画費
・編集、ライティング、撮影などの人件費
・デザイン費
・校正費
・印刷費
・用紙費
①出版コンサルのサポートも有益
上記費用に含まれないのが、出版コンサルタントへの依頼です。出版の専門知識を持つ人物に相談し、出版物のクオリティを高めることが目的です。その内容は制作アドバイスから企画書作成、そして外部への営業までと多義に渡ります。より良い関係を築ければ、心強いパートナーになってくれることは間違いありません。なお出版コンサルの形態は個人から企業(版元となる出版社自体が請け負うケースも多い)までと様々です。サポート体制によってもかかる費用は様々で、その料金は一案件数十万円~数百万円となっています。
②その他の費用
ブックマーケティングにおいて、企業出版という形態もあります。
企業出版を行う場合は、以下の費用も気にかけておく必要があります。
【その他費用の内訳】
・保管料
・書店流通手数料
・宣伝販促費用
書籍は重く場所を取るので、出版社などの倉庫を借りて保管してもらうことになります。部数にもよりますが、年間5000円~1万円程度の保管料がかかることもあります。また書籍を一般書店に流通させたいという場合には、そのための手数料がかかるケースもあります。さらに広告宣伝や販促活動を希望する場合は、別途費用が必要となります。
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まとめ
本コラムでは、ブックマーケティングについてまとめさせていただきました。
企業のマーケティング施策として、書籍を活用したブックマーケティングを行う企業は年々増えています。
費用対効果のあるブックマーケティングを行うヒントとなれば幸いです。
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