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「解約させない」新マーケティング。筆者の熱い思いを伝えるため、何度も章立てを見直しました

著者:GMCブランド戦略室

サブスクリプションビジネスの成否は、解約防止にかかっている──。このことが、実際に解約しようとしている利用者とチャットボットとの対話から見えてきました。『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』では、詳細を紹介するとともに、そこから見えてきた今のマーケティングの問題点を指摘します。

AIを使うチャットボットとの対話で解約希望者の10%以上が解約するのをやめた

著者の佐野敏哉氏は、パッケージソフトの販売からオンラインの定額利用へといち早く転換したアドビシステムズの日本法人でデジタルマーケティングや広告配信業務を担当しました。現在はMacbee Planet社で解約防止ツールとなるチャットボットの開発責任者を務めています。

同氏は、クライアント各社とサブスクリプションの最前線で得られる情報を共有し、早い時期から解約防止の重要性を認識していました。

定額利用のサブスクリプションサービスでは、Netflix(ネットフリックス)やアマゾンプライム・ビデオ、FOD、バンダイチャンネルといった動画配信系が代表的なものですが、サプリなどの定期購入、月額料金のラーメンやランチ食べ放題、交換自由なアクセサリーの貸し出しなど、多くの業種に広まっています。マスコミに取り上げられる機会も増え、注目を集めるビジネスモデルの一つです。

サブスクリプションの収益源は会員から得られる定額利用料金です。各社とも新規会員の獲得に力を入れていますが、解約をなかなか止められないことが頭の痛い問題となっています。何百万人もの会員を擁する配信サービスも、純増数は意外なほど少なく、現状の規模を維持するため、入会者を集めるプロモーションにお金をかけている場合が少なくありません。これはバケツの底に穴が空いたまま水を入れ続けるようなものです。なんとかして穴を塞ぐ必要があります。

新規入会者には初月無料などのインセンティブが付くことが多いですが、継続利用しているユーザーはメリットがほとんどありません。つまり、大切にしなければいけない長期利用者ほど不満を感じてしまう仕組みになっています。その結果、引っ越しや結婚といった生活環境の変化や、また見たいコンテンツがなくなった、思ったよりもサービスを利用しないといった理由で解約が後を絶たないのです。

著者は、解約防止や解約希望者の分析を行うために、AIを使ってテキストベースで対話するチャットボットの生みの親です。多くのサブスクリプションサービスは、ウェブサイトの解約ページで解約手続きができます。その解約ページにチャットボットを置くことで、いかに「解約させない」マーケティングにつなげられるかを本書では紹介しています。チャットボットと対話した結果、解約希望者の10%以上が“解約をやめる”という実績が出ているのです。

実は解約希望者にとって、これまでは解約につながる不満を訴える場がなかったのです。そこには、今も継続している利用者の不満も凝縮されています。今まで取れなかった利用者の声が、これからのマーケティングのあり方を考える上で貴重な教訓となると著者は語っています。

目先の売上を追うマーケティングから抜け出す道は“個客”の声を聞くことから始まる

マーケティングに関する書籍は世の中にたくさんありますが、解約に注目した類書はほかに知りませんでした。そのユニークさをタイトルでいかに訴えるかに苦労しました。解約を止めるマーケティングはリテンションマーケティングとも呼ばれますが、この言葉はあまり浸透していません。読者に響くタイトルは何か…議論を重ねた結果、著者から提案された『解約新書』が最も単純明快で、書籍名にピッタリだという結論に至りました。決まってみれば単純明快で見事にハマったのですが、内容説明のために「マーケッターに捧げる 解約の真実と処方箋」というサブタイトルを加えました。

一番多くのページを割くことにしたのは、解約ページにチャットボットを置いた事例の紹介とその分析をしている章です。特にバンダイチャンネルとFODの事例について詳細に述べていて、なぜ解約しようとするのか、それをいかに防止しようとしたかよく分かるように配慮しました。

本書のもう一つの大きなテーマは、これからのあるべきマーケティングの姿です。初回限定の大幅割引や、有名人やインフルエンサーに紹介させて目先の売上を立てる手法は、消費者に見透かされてしまっています。

消費者が広告全般に対して疑いの目を持つことが多くなっているなかで、著者の佐野氏は、そんな“乱暴なマーケティング”から抜け出して、ユーザとのコミュニケーションを大事にする“ファンマーケティング”こそが大切だと強調します。その熱い思いを伝えつつ、チャットボットやリテンションマーケティングを紹介することとバランスを取るために、何度も章立てを見直し、仮目次を作りました。

メインターゲットは、サブスクリプションサービスや会員制の事業を展開している関係者です。定額料金で定期更新、継続利用が前提のこうしたビジネスは、売切り、買切りの一般的な販売モデルと比へるとLTV(ライフタイムバリュー・顧客生涯価値)を高めやすいのですが、ただそのためにユーザーに長く利用し続けてもらわなければなりません。従来の大量消費型マーケティングではなく、“個客”に寄り添って育てていくファンマーケティングのような視点が必要になります。LTVが注目され始めた今、すべてのマーケッターに読んでもらいたい一冊です。

チャットボットとの対話は、質問に対して複数の回答の中から選択する方式が中心ですが、ほかに自由記入方式もあり、かなりの人が書き込んでくれます。わざわざ長文の返事を書く人もいて、時には身の上話をしてくれたり、生活のありようまで見えてきます。「結婚して子供ができたので見ていると奥さんに怒られます」はその一例です。解約理由を見ていくだけでもおもしろいので、著者とも相談の上、実際の対話から生の声をなるべくたくさん紹介しています。

これまで知られていなかった「人はなぜ解約するのか」について、読者は多くを学ぶことができます。解約に着目したマーケティングや、チャットボットのように対話を重視して“個客”のニーズを直接聞き出す「ゼロパーティデータ」なども、マーケッターの間でさえまだあまり知られていません。本書はこうしたマーケティングの新しい切り口を紹介していて、従来のマーケティングのあり方を見直すきっかけになるはずです。

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解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋
  • 書籍名:『解約新書 マーケッターに捧げる解約の真実と処方箋』
  • 著者名:佐野敏哉 :著
  • 概 要:サブスク時代のリテンションマーケティング。顧客のライフスタイル、趣味嗜好、ライフイベント。チャットボット(AI自動会話プログラム)を使用して解約希望者を分析したら、面白いほどデータが取れた!
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