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社史・周年史との違いは?「記念誌」制作の目的とプロセスを解説

著者:幻冬舎メディアコンサルティング 編集局・部長 伊藤英紀

記念誌とは、その名の通り何らかの記念に合わせて作る印刷物の総称です。例えば学校の周年記念として発行される周年史や、個人が賞を受賞した記念に作る冊子、企業が上場のタイミングでまとめた社史など、記念やお祝いの際に出版するものは、いずれも記念誌といえます。ここでは、その制作のポイントを解説します。※本稿は一般的な記念誌について解説しています。幻冬舎メディアコンサルティングが得意とする「集客・販促、採用などの経営課題を解決する『周年プロジェクト』としての社史づくり」の詳細については、こちらのページをご覧ください。

記念誌、社史、周年史の違い

記念誌、社史、周年史……いずれも似たような意味合いの言葉であり、これらに明確な定義はありません。記念誌として社の歴史をまとめたり、周年史の中にお祝いイベントの紹介が入ったりと、その垣根はあいまいです。あえて違いを挙げるなら、それぞれ以下のような特徴があります。

①「記念誌」

基本的に「祝うこと」を目的につくられるため、記念となる出来事やイベントの紹介に重点が置かれます。企業や団体に限らず、個人の記念に際しても発行されます。基本的に内容には制限がなく、歴史や歩みのわかる年表を入れたり、写真をふんだんに使ったり、インタビューや対談記事を載せたり、周囲からお祝いの一言メッセージをもらったりと、自由に構成できます。

②「社史」

企業などが、節目となるタイミングで発行する、自社の歴史をまとめた制作物です。「創業〇周年」といったタイミングの他、上場記念やトップ変更などに際し、その組織の歴史を残すことを目的としてつくられます。主眼となるのは歴史であり、創業時からの歩みを年ごとに記録する正史、区切られた期間の歴史を記録する略史など、いくつかのタイプがあります。

③「周年史」

主に年単位の区切りで発行されるもので、「創立30周年」「設立10周年」といった節目の年につくられることが多いです。企業、学校、社団法人、市町村などいろいろな団体が制作し、歴史や活動内容が記述されます。

記念誌をつくるメリットとは?

記念誌をつくる理由のひとつは、「祝うこと」にあり、その企業や団体、個人の、偉業や功績などを祝い、後世に残すべく記念誌というかたちにまとめます。

ただ、実は記念誌の発行には、「お祝い」だけにとどまらない大きなメリットがあります(世に存在する、あらゆる記念誌の内容を網羅して紹介することは困難であり、ここからは企業や団体が発行する社史や周年史を例にとって解説していきます)。

①自社に関する資料・情報を収集し、整理分類できる

企業や団体が記念誌を発行するメリットは、複数あります。社史や周年史といった記念誌の編纂にあたっては、社内外に散っている過去の資料や情報を集め、整理分類することになります。その作業を通じ、時代ごとの経営方針や、これまで手掛けた事業の成果、壁をいかに乗り越えたかといった、具体的な自社の事例と向き合います。それをもとに、改めて自社の在り方や、強み、弱みについて考え、今後の企業運営に生かすことができます。

②社員のロイヤルティ向上に寄与する

読者である社員にも、いい影響を与えられます。企業理念の裏には、どのような歴史があるか、創業者をはじめとする先人たちが、どんな経緯で現在の理念を掲げ、思いを守り、引き継いできたのか、そうした組織の土台となっている部分を、社員たちが記念誌を通じ深く理解することで、組織全体が活性化します。若手社員たちは特に、自社のルーツに思いを馳せることは少ないでしょうから、その貴重な機会となるはずです。記念誌によって、会社の節目を意識した社員それぞれが、改めて組織の一員であると感じ、ロイヤルティが高まります。

③外部に対するイメージアップや絆づくりに役立つ

外部に対しても、企業理念や、組織としての活動、これまでの歩みを自然なかたちで発信でき、イメージアップにつながります。また、歴史を記す際には、取引先など関連の深い相手についても触れていくことになるため、ゆかりのある相手との絆をさらに深めてくれるでしょう。なお、記念誌を地域の図書館や公民館などに寄贈すれば、それが地域の産業史としての貴重な資料ともなり、地域の一員として貢献できます。

記念誌、社史、周年史の成功事例

ここで、戦略的な記念誌、社史、周年史の発行により、すばらしい成果を上げた事例を二つ、紹介しましょう。

事例①

60周年を機に周年史を制作した、株式会社矢場とんです。ただの記念にするのではなく、企業としてのブランドの認知向上を目指す一助としたいという要望から、経営論や経営改善の心得を指南するスタイルとなっています。名古屋の家族経営の「みそかつ屋」から、いかにして脱皮し、事業を拡大させることができたのか。実体験に基づいた説得力のある内容が評判となり、出版後まもなくグロービス経営大学院や銀行などから講演依頼が殺到しました。

事例②

サトレストランシステムズ株式会社は10周年を迎えるにあたり、周年史を企画しました。その書籍を通じ、外食ビジネスをリードするための戦略や、自社が手掛けるビジネスネスモデル、会社全体で取り組む実際のプロジェクトといった、自社の魅力を発信したのです。書店にも流通させたことで、社員だけでなく社会に対しても企業の思いを伝え、認知度を上げることに成功しました。

両社に共通しているのが、出版を「ただの記念」とは考えず、最初から自社のビジネスの発展や認知度向上を目的の一つに据えていたことです。記念誌、社史、周年史のメリットを十分に生かし、さまざまな相乗効果を狙いたいところです。

記念誌制作の具体的な流れとは?

記念誌の制作は、その内容によって千差万別です。個人の冊子なら数ヵ月でできることもありますが、企業の歴史を網羅するような社史は、3年ほどかかるケースもあります。せっかくなら充実した内容にしたいところです。会社として出版するなら、1年は想定しておくといいでしょう。

ここで、記念誌制作の大まかな流れを解説しておきます。

①記念誌制作の担当チームをつくる

まず行うべきは、記念誌制作の担当者を決めることです。自社の情報発信に長けた広報課や、経営者の思いをよく知る秘書課、社歴が長い「生き字引」的な社員、愛社精神の強い若手なと、適性を考えつつ幅広い分野からメンバーを集めるとよいでしょう。

②制作の目的や予算を決め、パートナーとなる出版社等を選定する

担当チームができたら、記念誌制作の目的やコンセプト、発行時期、予算などを決めていきます。その際は早めに、パートナーとなる出版社や制作会社を選定するとスムーズです。

③原稿作成など実際の制作作業を進める

実際の制作は、その道のプロのアドバイスを受けて、資料集めや寄稿文の依頼回収、インタビュー、撮影、表紙や紙面のデザイン作成、原稿作成などの作業を行っていきます。一通りかたちになったら、文字校正や内容の校閲などの確認作業に入り、修正を何度か繰り返して完成となります。

制作においては、なかなか時間のとれない経営層や社内メンバー、発行日というゴールをしっかりと定めた上で、あらかじめ逆算してスケジュールを組んでいく必要があります。この点でも、パートナーとなる出版社・制作会社選びが大きなポイントになります。記念誌制作の実績豊富な出版社の場合、このスケジュール管理も精緻に行ってくれますが、こうした進行上のサポート体制があるか否かによって、記念誌制作の負担は大きく異なってきます。

そもそも出版社や制作会社がただの作業の代行役になってしまっては、理想とする記念誌はできません。自社の思いや理念をしっかりくみ取り、パートナーとして併走してくれる相手を選ぶべきです。予算はもちろん大切ですが、もっとも重視すべきは、これまでの実績です。担当者とも必ず顔を合わせ、プロ意識の高さや制作への情熱も確認しましょう。

 

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