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東京オリンピックでどう変わる?不動産投資のいまとこれから

著者:GMCブランド戦略室

2020年に開催する東京オリンピック・パラリンピックの影響により、都内の不動産価格に対して多くの投資家が注目しています。

過去にオリンピック開催のタイミングで価格上昇がみられたことはありましたが、2005年以降進行している人口減少、昨年から続く円安などにより、今回のオリンピック開催における不動産市場は、これまでとは異なる動きになると予想されます。

そこで今回は、不動産市場の現状として、どの地域の価格が上昇する見込みなのか。どんな投資家が狙っているのか。そして今後はどのように変化していくのかを考察します。

 

都内は沿岸沿いの不動産が人気。
周辺地域は海外投資家がターゲットに

リーマンショックや消費税増税の影響で減少が続いていた東京の地価ですが、2014年は前年比で約4%上昇していることから、オリンピックの開催が影響していると想定されます。
実際、不動産関係者の人気を集めているのは豊洲や湾岸エリアとなっており、オリンピックの競技場や選手村付近にあたります。これらの地域は選手や関係者、観客の受け入れに向けてインフラ整備が進んでいるため、物件の利便性に価値を感じ、新規で建設されるマンションや中古物件も人気が高まっています。

中古物件はシンガポールや香港といった東アジアの各国において、中間層の投資家による買い注文が増加しています。日本の物件の安定性、物件管理の質などが評価されており、これに着目した国内の不動産企業は、海外の地元企業と共同で説明会を開催するなど積極的に活動しています。
海外投資家に人気の地域は、沿岸沿いでなく、丸の内や品川、新宿といった都内の主要な駅付近。
選ばれている物件は、中古の分譲マンションやワンルームなど、比較的安価なものが多くなっています。
今後これらの地域を狙う場合、海外投資家との競争になることも視野に入れ、早めに物件情報を仕入れていく必要がありそうです。

また国内においても、金利の低下により市場が活性化していく見込みがあります。
2014年度補正予算の影響で、住宅金融支援機構が固定金利の住宅ローン「フラット35」の金利を1.3%台まで引き下げたこと(※返済期間20年以上の場合)、みずほや三菱東京UFJなどのメガバンクの住宅ローンが低下するなど、低金利化が進んでいるのです。

 

今後の動向と市場予測に注目

いっけん買い時にみえる都内の不動産ですが、購入にあたり慎重な声も上がっています。
過去に国内でオリンピックが開催された際は、その価格は上昇したものの、日本の主要都市全体の不動産価格が上昇傾向にあったこと、高度経済成長であったことなども関係しており、過去の状況から不動産へのオリンピックの影響力を測ることは困難と言えます。

また、日本国内の人口減少比率が回復する見込みのないこと、震災により高層マンションの居住が懸念されていることなど、ここ数年で日本特有の環境下にある不動産価格は低下していくものと想定する関係者が増えています。
そのため、オリンピック閉幕以降の下落はもちろん、長い目で見た不動産に対する価値を判断することが問われており、投資家はより積極的に情報収集を行っているのです。

 

これに伴い不動産紹介側は、いまが買い時であるというポジティブな情報を発信していますが、様々な要因から投資家が契約に対し慎重になっていることは変わりません(不動産投資会社なら知っておくべき、投資家との信頼関係の築き方参照)。
今回の投資におけるメリット・デメリットを掲示し、オリンピック以降の変動も踏まえたよりマクロな視点での提案が必要になるでしょう。

実際に、オリンピックを絡めた不動産プロモーションとして、解説サイトや人気の不動産マップを公開する企業が増えています。書籍においてもその動きが見られ、「日本の地価が3分の1になる! 2020年 東京オリンピック後の危機」(光文社)、「不動産を買うなら五輪の後にしなさい 不動産鑑定士がこっそり教える売買のコツ」(SBクリエイティブ)などが出版されています。
今後数十年においての不動産市場を解説すると情報量が多くなってしまうため、書籍にまとめて投資家を引き込む、という方法もひとつの手になるでしょう。

今後は市場の活性化に伴い、ハイリターンを求めて巨額の投資を行う投資家の獲得競争も白熱していくと予想されます。企業側もこれまでと同じアプローチの仕方に留まらず、積極的に顧客を集める施策を考えてみてはいかがでしょうか。

 

幻冬舎メディアコンサルティング

右田 千穂

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