刑事罰則もある虚偽広告。違反対象にならず、自院をPRするには?
本原稿はWEBメディア「幻冬舎ウェブマ」で配信(2019年4月26日付)された原稿を転載したものです。
患者や利用者を保護する目的で広告を規制する「医療法」。昭和23年より施行されましたが、当初はウェブサイトでの規制はありませんでした。平成29年には、広告動画やバナーだけでなく、医療機関のホームページも“広告”とみなされ、規制の対象となりました。広告制度について、即した対応ができるよう、医療法や医療広告に関するガイドラインについて知っておきましょう。今回は医療広告ガイドラインにおける「虚偽広告」について解説いたします。
■目次
虚偽広告とは事実として証明できないことを記載すること
医療広告の中でも特に気をつけるべきなのが「虚偽広告」です。知らずして、自院のPRのために記載していることが実は「虚偽広告」に該当する場合が多々存在します。
虚偽広告は、文字通り事実と異なることを広告に掲載することです。あからさまではなくても細かな言い回しや、表現についても規制されています。
【虚偽広告に該当する例】
—「絶対安全な手術です!」「どんなに難しい症例でも必ず成功します!」
(解説)絶対安全な手術は医学上ありえません。
—厚生労働省の認可した○○専門医
(解説)専門医の資格認定は厚生労働省によるものではなく、学会が実施するものです。
—加工・修正した術前術後の写真等の掲載
(解説)効果があるように加工・修正した術前術後の写真等はもちろんNGです。
—「一日ですべての治療が終了します」
(解説)治療後に定期的な処置等が必要であるにも関わらず、上記のような文言を使うことはNGです。
違反に関しては厳しい罰則も
各都道府県では、医療法やガイドラインに抵触しないかどうか確認しています。違反と思われる広告に関しては、必要な調査・指導を行います。
調査により違反と思われる広告は取りやめ、広告をオファーした医療関係者とともに制作したメディアに対しても指導がなされます。指導を受けたにも関わらず、問題のある広告の使用を中止または是正しない場合は刑事告発され、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が適用されます。また行政からの指導後も報告を怠ったり、虚偽の報告をしたりすると、20万円以下の罰金が適用されるのでけっして行わないようにしましょう。
他院との違いではなく、自院の強みは何か
他院の表記については参考程度にとどめましょう。他院と比べると、自院の優位性を強調したいという考えになりがちで、内容や治療を説明するのに無意識に事実を見落としたり、誇大な表現を使ったりしてしまうかもしれません。
注目している他院も知らずのうちに広告ガイドラインに違反している可能性もあります。まずは自院の魅力を一度整理して、冷静な姿勢を保ちながら、情報発信をしていきましょう。
まとめ
- ・虚偽広告は、事実と異なることを掲載する広告。細かな言い回しや、表現についても注意が必要となる。
- ・虚偽広告と行政が判断した場合は、調査と指導が入り、従わない場合は刑事告発や罰則が発生する。
- ・他院との比較はせず、冷静に自院を見つめ、掘り下げた内容で広告を作る。
■参考サイト
・医療広告ガイドライン(厚生労働省)
・医療広告ガイドラインに関するQ&A(厚生労働省)
・医療広告相談窓口一覧(厚生労働省)
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