炎上マーケティングとはマーケティングなのか?〜ルーマニアの菓子メーカーに学ぶ〜
ビジネスモデルやマーケティング戦略を立てるにあたり、即効性や高い効果が見込める手法は魅力的です。しかし、リスクを考慮せずにマーケティングを行うと後のトラブルに発展しやすいため注意してください。
今回は、数ある手法のなかでもリスクを伴いやすい炎上マーケティングについて解説します。賛否両論の炎上マーケティングですが、本質や成功事例について知っておくことで意図せぬ炎上が起こった場合も冷静な対処が可能となります。
炎上マーケティングとは
炎上マーケティング(炎上商法)とは、不特定多数の人々が目にする場で過激なプロモーションを行い、意図的な炎上により認知度や注目を集めるマーケティング手法をいいます。進化するITやインターネットの普及に伴って確立してきたマーケティング手法とも言えるでしょう。具体的には、以下のような言動により炎上を誘発することが一般的です。
- 挑発、煽り行為
- 差別的発言、過激な発言
- 批判、中傷
- メディアや有名人の影響力を活用
炎上により注目を集めた後は、マイナスイメージを払拭できるような言動でサービスや商品の弁明を行います。また、炎上を起こす場所やツールには、TwitterやYouTubeをはじめ、世間に広く浸透しているSNSや動画投稿サイト、匿名掲示板が利用されます。
炎上マーケティングを行うと特定のメディアの域を超え、属性や特徴が異なる多くの人々から注目を集められます。コストを最小限に抑えて短期間で認知度を高められることから、マーケティング手法のひとつとして取り入れられるようになりました。
しかし、炎上マーケティングは、言動や対応によっては高いリスクを伴う手法です。現代では「炎上」はネガティブなイメージと直結しているため、影響力が大きくなるほど世間に与えるマイナスイメージも大きくなることを知っておかなければいけません。
とはいっても、世の中には炎上マーケティングで成功を収めている企業が存在することも事実です。次は、炎上マーケティングの成功事例について見ていきましょう。
ルーマニアで成功した炎上マーケティング
ルーマニアでチョコレート菓子を販売する『ROM』は、成功した炎上マーケティングの代表例です。
ROMが行った炎上マーケティングは、ルーマニア国旗を模したチョコレートパッケージをアメリカ国旗のデザインに変更するというもの。新パッケージへは非難が殺到しましたが、これにより人気が低迷していたROMのチョコレートに注目が集まりました。
さらにROMは、一夜でパッケージデザインを旧デザインに戻し、注目を浴びるためのジョークであったことを発表します。一度は非難されたROMでしたが、短期間で国民の関心を集め、結果としてブランドの認知度アップやファンの獲得につながりました。
信頼のもとに成り立つビジネスにおいて、マイナスイメージを高めやすい炎上マーケティングは得策とは言えません。しかし、ROMのようにポジティブな発想のもとに炎上を起こした場合、必ずしもマイナスイメージがついてしまうとは言いきれないのも事実です。
炎上マーケティングを取り入れる際は世間に与える影響や炎上後の対処方法を吟味し、後のビジネスに悪影響を与えないよう熟慮する必要があるでしょう。
炎上した過去は企業や個人につきまとう
炎上はときに、消えない過去となって企業や個人につきまとうことも。 以下では、炎上マーケティングで最も注意しなければいけないポイントについてまとめました。
- ネガティブなイメージが強すぎると宣伝効果が薄くなる
- ネガティブな情報がインターネット上に残った場合、イメージ回復が難しい
- 炎上マーケティングで有名になった事実が黒歴史として残りやすい
SNSが普及する現代では、企業・消費者ともに「炎上」という言葉に敏感になっています。批判を浴びて注目度や知名度が高まったとき、企業としてどのような対応をとるかでその後のビジネスに大きな影響が出てくるでしょう。前述のROMのように、炎上騒動をポジティブなイメージで塗り替えることができれば、炎上による暗い過去よりも、企業としての前向きな姿勢が評価されるかもしれません。
まとめ
炎上マーケティングは即効性と拡散力に優れている反面、対応を誤ると大きなリスクを伴うマーケティング手法です。現代では「炎上」にネガティブなイメージが強いことから炎上マーケティングは非難されやすい商法として知られますが、成功事例を参考にポジティブな活用方法を見いだせれば、世間に広く浸透するチャンスを掴めるかもしれません。
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