消費者が価値を感じられる“ストーリー”がなければ、御社の商品はいつまでも売れない
激動するこの時代にどのようなマーケティングを行えば商品が売れるのか。現代の経営者の多くがこの問題に頭を悩ませています。そこで、今回紹介したいのは「ストーリー」です。商品をただ消費者に届けるだけではなく、ストーリーと共に届ける。これまでのマーケティングとは違う新しいストーリーブランディングを解説します。
現代はモノが溢れている充足された時代
現代の日本では普通に会社で働き給料をもらっていれば、ある程度の生活水準は比較的簡単に満たすことができます。さらに、少し高価なモノであっても貯金をしたりより仕事に精を出したりすることで手に入れることが可能です。一昔前であれば入手するのが困難なモノでも、現代ではより安価で高性能な製品が数多く開発されており、身近にモノが溢れてます。
特に、現代の中高生は日常生活でモノに困るということはほとんどなく、未だかつてないほど高度で文明的な生活水準が当たり前となっているのが現状です。そんな時代に生まれ育った子供たちにとって「より高価なモノが欲しい」という欲望は少なく、それよりも「貴重な体験をしたい」「他人とのつながりや影響力を持ちたい」と考える人が増えています。
消費は「モノ」から「コト」、体験へと移行している
従来のマーケティングは「購買意欲の高い集団に対して」「商品の価値と効率性の良さ」を広告費を投じて宣伝することが一般的でした。「最新技術」「効率化」というキーワードが大衆を引きつけ、規模を拡大することでコスト削減と利益増大を図っていました。これは「物質的な不足」という欲望を満たすためのマーケティングであり、企業対大衆という図式がその背景にあったのです。
しかし、現代ではこの図式は壊れつつあります。特に、現代の若い世代は「何を持っているか」ではなく「何をするか」に価値基準が移行しています。つまり、単純な商品の性能や機能性の高さではなく、「誰が使っているか」「それで何が体験できるのか」というより属人的で貴重な経験ができるかどうかを重視するようになっているのです。
この変化を象徴するのが「SNSマーケティング」です。SNS上で数万単位のフォロワーを持っている人に自社の製品を紹介してもらう、もしくは無償で提供し体験してもらい、その感想をSNS上で発信してもらう手法になります。TwitterやInstagramをはじめとしたSNSでは、個人が数万~数百万もの人に一瞬で情報を発信することができます。もはや、テレビ以上の宣伝効果を持った個人が多数いるのが現状です。
そういった影響力のある個人を見ている消費者は「あの人と同じモノが欲しい」「あの人が行ったカフェに行きたい」など商品自体の価値ではなく、付加価値や体験といった別の意味付けがされているモノを購入する傾向にあるのです。
「無農薬のりんご」より「あの奇跡のりんご」だと売れる理由~生産者の想いや人生が価値を生む~
現代の消費者が欲しいと思うのは「付加価値」がある商品です。上記で紹介したような「有名人が使っている」というのも付加価値の1つの形になりますが、もう1つ重要な付加価値が「ストーリー」です。ストーリーとは、製品ができあがるまでの過程や生み出したときの苦労、生産者の想いなどです。
スーパーでりんごが売っている場面を想像してみてください。ただ単に「このりんごは無農薬で育てたりんごです」と宣伝されているりんごより、「このりんごはあの奇跡のりんごです」「木村秋則さんは8年間の歳月と極貧生活を乗り越えこのりんごを生み出しました」と宣伝されているりんごのほうが人は買いたくなるということです。商品の開発エピソードや生産までの苦労を、消費者の想像力を刺激し共感を呼ぶように伝えるのがストーリーなのです。
人間は本質的に誰かが困難を乗り越えたり、目標を達成したりする姿には共感を覚えます。その心を動かされる感情の揺らぎとともに商品を紹介するのがストーリーブランディングです。ただ商品の機能性を紹介する宣伝よりも、興味を持ってもらい記憶に残りやすくなるのがストーリーブランディングの大きな特徴です。これは、ドラマで取り上げられる商品が良く売れたり、主題歌となった曲がヒットしたりするのと同じ仕組みになります。ドラマで取り上げられた商品は単純な商品の価値だけでなく、ドラマの世界観や内容が付加価値として商品に足されます。その結果、他の商品よりも魅力的に見えるためより売れるのです。
競合が容易に真似ができないもの。それが「ストーリー」
ストーリーには多くの人が共感する「黄金律」があります。アニメや映画であれば「何かが欠落した主人公が、普通であれば達成できないゴールを苦難の壁を乗り越えていく」というものです。これを自社の製品になぞらえて消費者の共感を呼ぶ形で伝えるのが「ストーリーブランディング」になります。
どんな商品でも開発するまでには色々な壁や苦難があるはずです。「今までにないモノを作りたい」「悩みを解決させたい」そういった熱い想いから実際に製品が生み出されるまでの過程を描き出してみましょう。描き出されたストーリーは競合他社が簡単に真似できるものではありません。そういったストーリーが消費者の共感を呼び商品に大きな付加価値を付けてくれるのです。
まとめ
これからの時代は「どれだけ付加価値を付けられるか」がマーケティングの肝になります。自社オリジナルのストーリーを商品に乗せて販売すれば、今までとは違った反応が返ってくるかもしれません。新しいマーケティング手法の1つとしてストーリーブランディングを取り入れてみてはいかがでしょうか。
- 【ダウンロード資料】> 物語で伝える企業の価値 ストーリーブランディング出版事例集
- 【よくある質問】> 自費出版と企業出版(ブランディング出版/カスタム出版)の違いは?