一貫性のある企業はマーケティング上手
一貫性とは、発言や言動、態度や信念などを貫き通したいという、人間が無意識に持つ行動心理のことです。物やサービスを買うときにも行動心理が働いており、その心理を活用することで効果的なマーケティングを打ち出すことができます。そこで、一貫性が生む効果と影響、一貫性を用いた具体的なマーケティング方法について解説します。
一貫性のある人・企業は信頼できる
人間が無意識に持っている一貫性という行動心理ですが、その心理に従うことで「周囲からブレない・芯が通っている」という評価を得ることができます。理性的な行動ができる人は信頼できる、という評価は、仕事や集団生活で有利に立ち回るために必要なことです。人から信頼を得たいという欲求は誰しも持っており、それによって無意識に一貫性のある行動を起こしているといえます。
また、逆のパターンでいえば、「毎回言うことが二転三転する」「発言と行動が伴っていない」ということになり、周囲からの信頼度は大幅に下がります。
これらの一貫性ある行動で得られる評価は、企業にとっても同じことです。一貫性のある企業はブランディングが確立しており、顧客に対して企業のイメージを広めることができます。
「一貫性の心理」を利用したマーケティング
一貫性のある心理は、さまざまな分野のマーケティングで利用できます。そこで、一貫性の心理を活用した、代表的なマーケティング方法は次の通りです。
購買意欲が低いユーザーに向けたマーケティング
一貫性の心理を利用したマーケティング方法で、最も一般的なのが「フット・イン・ザ・ドア・テクニック」です。購買意欲が低いユーザーに対して、簡単な行動から要求し、少しずつ大きい要求に変えることで購買に繋げることができます。
簡単な行動とは、試供品を提供する、アンケートに答えてもらう、店頭で試食をしてもらう、といった内容が一般的です。ユーザーはこのような行動を一度経験すると、一貫性を保ちたいという無意識の欲求が生じます。その心理を利用することで、「購入してみませんか?」という要求をユーザーは自然に受け入れやすくなるのです。
関連商品の購入を促すマーケティング
物を買うという行動は一貫性の影響が大きく、「つい似たものを買ってしまう」という行動をしやすくなります。その心理を利用したマーケティングが、「クロスセル」と呼ばれる手法です。
分かりやすい例でいうと、ハンバーガーショップで商品を購入する際に、店員からポテトなどのサイドメニューを勧められる、という行動が該当します。似たようなものを買いやすいという一貫性の心理を応用したもので、「つい買ってしまう」という行動を促すのです。
取引の承諾の心理を応用したマーケティング
商品の購入を一度承諾すると、その取引に対して責任を取ろうとする一貫性の心理が働きます。そのため、当初に提示された条件より悪くなったとしても、一貫性の心理によって購入を承諾するのです。
たとえば、〇%引きという好条件を提示したあとに、それより低い割引率、もしくは割引なしに変更しても購入するケースが多いというものです。量販店などで安さを前面に出して客を引き込み、あとで条件を追加して価格を上乗せする、という手法もこれに該当します。
これの手法を「ローボールテクニック(特典除去法)」といい、さまざまな心理テクニックと併せて使うことが効果的です。
一貫性を欠いた顧客経験は機会損失へ繋がる
顧客経験(カスタマー・エクスペリエンス)にとって重要なことは、顧客が期待する、または期待を超える顧客対応を、一貫性を持って提供することです。言い換えれば、一貫性がない顧客経験を与えると、ビジネスを成功させる機会の損失に繋がります。
一貫性のある顧客経験の重要性が顕著に表れるのは、ウェブサイトのコンテンツ(記事や文章)です。なぜなら、テレビや新聞などのマスメディアで知った商品を、ウェブで検索して情報収集する人が8割を超えるためです。
多くの企業はサイト内でコンテンツマーケティングを導入していますが、コンテンツに一貫性がないといえるのは次のようなケースです。
- ページごとに情報が矛盾している
- 重要なページのリンク切れや情報の古さ
- コンテンツの対象読者を定めていない
- 時間がない中で自社作成することで、コンテンツの質が下がる
このような問題のあるサイトは約6割ものユーザーがサイトを離脱するといわれており、コンテンツにおいて、いかに一貫性が重要かが理解できるはずです。
一貫性のあるコンテンツを提供するためには、コンテンツの戦略化、顧客の情報を整理・記録する、外部に質の高いコンテンツ作成を依頼する、という対策を取り入れましょう。
まとめ
一貫性は人間の行動心理の1つであり、マーケティングに応用することができます。サービスや商品の購買に繋げるために、一貫性の心理を用いたマーケティング手法を導入するといいでしょう。
また、Webコンテンツも一貫性を保つことが重要であり、定期的なサイトのメンテナンスや、質の高いコンテンツを投入することで、より良い顧客経験を与えることができるはずです。
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