経営者の悩み、事業承継で押さえておくべきポイント
経営を後継者に承継するタイミングや方法を悩んでいる経営者は多いはずです。
経営者の引退年齢は上昇傾向にあり、経営者の高齢化も進んでいます。
少子高齢化が進む今、企業を存続させていくためには自分の子供以外への事業承継も検討しなければなりません。
中小企業の経営者の年齢のピークは66歳となり、2020年に数十万人の団塊経営者が引退時期にさしかかります。
また、経営者年齢が上がるほど、投資意欲の低下やリスク回避傾向が高まり、経営者が交代した企業や若年の経営者の企業の方が利益率や売上高を向上させます。
これらのことからも、計画的な事業承継は成長の観点からも重要だと考えられるのです。
しかし、現状では70代、80代の経営者でも事業承継の準備を行っていない人は多くいます。
自分にもしものことがあったとき、しっかりと準備をしておくことで企業を守っていくことが出来ます。
親族への承継と親族以外への承継、そのメリットとデメリットとは
親族内承継のメリットとしては、
・自社株式等の引継ぎが容易となる
・経営者自身も満足感を得ることが出来る
・事業承継の時期や期間に融通が利く
などがあげられます。
デメリットとしては、
後継者となる子息に承継の意思がないことや、複数人いる場合に後継者の決定や経営権の集中が難しくなることが考えられます。
一方、親族以外の者への承継のメリットとしては、
・役員や従業員、取引相手からの理解を得やすい
・業務内容や業界について熟知しており、意欲がある
・経営理念や企業文化の維持ができる
などがあげられます。
デメリットとしては、
・後継候補者となる役員や従業員に資金力がない場合が多い
・後継候補者は、借入金に対して個人保証をしなくてはならない
・会社の体質が変わらず、経営の改善・改革が遅れてしまうことがある
などが考えられます。
事業承継計画
事業承継の準備とは具体的に何をすればよいのでしょうか。
事業承継計画とは、中長期の経営計画に、事業承継の時期、具体的な対策を盛り込んだものです。
事業承継計画を作成することで、やるべきことの整理と確認を行うことができ、スムーズな承継を行うことが出来ます。
事業承継の手順は以下の通りとなります。
① 自社の現状把握
② 今後の経営上の課題とその対応策の検討
③ 経営方針と経営目標の決定
④ 事業承継の時期や方法など事業承継の基本方針の検討
事業承継に伴って税金の負担も生じます。生前贈与による事業承継がなされた場合、後継者に対して贈与税が課税されます。
また、相続による事業承継がなされた場合、株式や事業用資産の贈与を受けた後継者に対して相続税が課税されます。
この事業承継に伴って負担する税金は、株式が後継者に移転する方法によって大きく異なるため、移転する方法ごとに誰にどのような税金の支払いが生じるのかを理解し準備することが重要なのです。
後継者の育成
後継者として経営に関わる前に、会社の行っている事業について学ぶため各部門をローテーションして社内の仕事を一通り経験させることはとても有益です。
また創業の精神、企業の精神である経営理念を確認することも大切です。
これは後継者に限らず、従業員全体に広く浸透させることが、事業の成長につながっていくのではないでしょうか。
理念の承継では書籍も活用できます。
自分の経営に対する思いはなかなか伝えることが難しいです。また、しっかりと伝える機会もありません。
一冊の書籍に事業についてや、自分の想いをまとめることで、後継者だけでなく従業員や顧客の方々にも広く伝えることが出来ます。
想いを伝える一つとして、出版も検討してみてはいかがでしょうか。
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