「2017年問題」で揺れる日本国内の事業承継。専門家に求められることとは
記憶に新しい方も多いかもしれませんが、第2次大戦後の1947年から1949年に生まれた、いわゆる”団塊の世代”が2012年に65歳を迎えることから、労働力の減少や企業としての技術力やナレッジの断絶が起きるとされる「2012年問題」が懸念されていました。
日本政府は対策として高年齢者雇用安定法の改正を行い、企業は社員の定年後の再雇用や定年年齢の引き上げなどの制度を積極的に活用することで影響を抑えることができましたが、結局は暫定的な対応にしかすぎず、具体的な解決策を見出せないまま今に至っている企業も多いのが現実です。企業の規模や業種・業界により状況は異なりますが、人材の育成や次世代への事業承継は以前から変わらず、日本国内で抱える大きな課題となっています。
そんな中、日本企業が新たに直面しているのが「2017年問題」です。
事業承継の中でも一番の課題は経営者の後継者育成になりますが、上記の通り2012年問題に引き続き多くの企業が後継者が決まらないまま経営を続けているのが現状です。2017年には団塊世代の企業経営者が70歳を迎えるため、多くの企業が事業承継問題に対しての決断を迫られているのです。
日本国内の事業承継の現状
帝国データバンクの発表した統計調査「2015年全国社長分析」を見ると、経営者の平均年齢は年々上昇を続けており、またその一方で、経営者の交代率に関しては降下を続け、2014年には4%を下回ってしまっていることがわかります。
出典:帝国データバンク 2015/1/29『2015年全国社長分析』
このように多くの経営者が高齢化を迎える中で進んでいるのが後継者不足による企業の廃業です。高齢化が進み、後継者がなかなか見つからないために自社を廃業することを決断する経営者が増えているのです。
2017年問題に対して専門家に求められること
経営の余力を残しているにもかかわらず、自主的に会社を休業・廃業することを「隠れ倒産」と呼びますが、この隠れ倒産が急増していることが懸念されています。
統計上実情は分からないため、その数字や個々の事情を正確に把握することはできませんが、帝国データバンクのレポート「全国休廃業・解散動向調査(2014年度)」によると、2014年度の休廃業・解散件数は24,153件。減少傾向にはあるものの、経営者の高齢化や後継者難を背景とした休廃業・解散が目立ってきているとされています。
出典:帝国データバンク 2015/1/29『2015年全国社長分析』
後継者不足により企業が廃業を選択してしまうのは、多くの経営者がそれ以外の選択肢の存在を知らないためです。実際には親族外承継やIPO、M&Aなど様々な選択肢があるにも関わらず、その存在を知る機会がないのです。
廃業ではなく、会社存続の道があることを国内企業の経営者に理解させるための取り組みが今、専門家に求められているのではないでしょうか。
幻冬舎メディアコンサルティング
太田 晋平
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