迫る「2025年問題」。介護業界が抱える4つの課題
近年ニュースを騒がせる「2025年問題」、「少子高齢化」というキーワード。
日本の総人口は、2008年の1億2808万人をピークに、2016年には1億2698万人と徐々に減少し、同時に高齢化が進んでいます。
日本は、高齢化率が7%以上の「高齢化社会」から、14%以上の「高齢社会」になるスピード感が世界でも類をみないほど早く、フランスの115年、スウェーデンの85年に対し、わずか24年で高齢社会となりました。
団塊世代が75歳となる2025年には、75歳以上が全人口1億2066万人中の18%にのぼるとされている一方、高齢者を支えることが期待されている15〜64歳の世代が減少しています。 高齢者が高齢者の介護する「老老介護」は、 このような人口のアンバランスが生み出してしまっているのです。
さらに、65歳以上の方7人に1人が認知症患者であるといわれています。 認知症の高齢者が認知症の高齢者を介護する「認認介護」も次第に増えてきています。
高齢化が急激に進む日本にとって、介護の負担というのは非常に大きいのです。 介護疲れによって介護者を殺害してしまったり、自殺をはかったりしてしまうケースも見受けられるようになりました。
介護サービスの需要が高まる
そのような中で、介護を提供する場の需要が高まってきています。
専門スタッフの援助を受けながらユニットで共同生活を送るグループホーム、 社会福祉法人が運営主体となって公的な介護サービスが受けられる特別養護老人ホームなど、 介護施設にはさまざまな種類があります。
食事から掃除、洗濯、入浴、排泄といった生活に必要な介護サービスを提供する有料老人ホームは、 介護保険制度が始まった2000年5月末から2006年3月までに、 257事業所から1,732事業所へと急激に増加しました。 要介護者のための住まいのニーズが大きく反映されていることがわかります。
有料老人ホームが抱える4つの課題
しかし、有料老人ホームの急拡大の中で、4つの課題が浮上してきています。
①入居率の低迷 有料老人ホームの需要が高まった分、供給も増えました。 結果的に、立地条件が悪かったり、価格が高かったりなどして、入居者が集まらない施設が多いという問題です。
②入居金の保全 有料老人ホームの多くは、 利用者が高額な入居一時金を支払い、終身利用権を購入して入居する仕組みをとっています。 もし、利用者が短期間でホームを退去することになった場合、入居一時金がほとんど返還されないので、 住み続けることができるのかどうかといった入居金の保全が不十分であるという問題です。
③規制を逃れる施設の出現 有料老人ホームの設置にあたって、 事前申請の煩雑さや行政からの指導を逃れる施設が出てきてしまったという問題です。 いわゆる”不正”をしながら運営する施設が増えてきたのです。
④介護職員の不足 介護に対する理念を持ち、良質なサービスを提供している施設ばかりではありません。 不衛生、劣悪な環境で、低質な介護サービスを行う施設が混在する世の中になってしまっています。
高齢化が進む日本の介護業界には、経営の立て直しや職員の募集、育成といった変革が必要となってきます。 このような時代を迎えているからこそ、 介護施設の運営業者は、ブランディングを行い、他社との差別化を実現しなければならないのです。
幻冬舎メディアコンサルティング
小出 聡美
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