「食べやすさ」「味」と「姿勢」の親密な関係
![](https://www.gentosha-mc.com/wp-content/uploads/2016/07/57d18a3ee80a60d1b8f9dcc284fe74ec_s-e1467594997482.jpg)
食べるときの「姿勢」が味を左右する!?
食べたり飲んだりするときの姿勢は、 ダイレクトに食べやすさに影響します。
例えば、コップで水を飲むとき。 後ろに身体が反っていたりしたら、きっと飲みづらいはず。
このような姿勢と食べやすさの関係は、何となく想像がつきます。 では、姿勢と「味」の関係はどうでしょう。
姿勢が味に影響を及ぼす理由は、 味を感じる受容体「味蕾(みらい)」。 その分布にありそうです。
味蕾は、舌を中心に軟口蓋(口の天井の奥)や咽頭蓋にも存在し、 広く散らばっています。
つまり、食べ物も口の中で広がったほうがより味が感じられるのです。
では、左右どちらかの肩をガクンと下げて、ヨーグルトなどを食べてみるとどうなるでしょうか。 ――ヨーグルトは片側の頬の下の方に偏ってしまい、味が広がらないはずです。
姿勢を正してみると、口の中にワーッと広がるのがわかります。 もちろん、味もしっかり感じます。
これらの視点で見直してみると……
例えば入院している人。 または、介護を受けている人。 「姿勢」という観点で見てみると、食べにくい状態で食べさせられていることも多いと気付きます。
同じ角度で食べられるかどうかを試してみれば、 逆にどうすれば食べやすくしてあげられるか、想像がつくのではないでしょうか。
背もたれと身体との間に枕をはさみ、身体を垂直の状態に近づけるだけでも、 「あ、食べやすくなった!」と喜んでもらえるかもしれません。
ご高齢の方や障害のある方で、どちらかの肩がガクンと下がっていたら、 下がっているほうの手をテーブルの上にヨイショと載せてあげます。
身体が水平に近づくだけでも、味を感じやすくなるのです。
食べたり飲んだりするメカニズムがわかると、 周りの人の「豊かな食生活」をサポートできるようになるはずです。
まだまだある!姿勢と食べやすさの関係
こんなことも試してみてください。
コップを持つ手と逆の手のひらを、「No!」という気持ちで腕を伸ばし、 手首を垂直に近い形に立てて身体の外側に向けます。
この状態で、スムーズに飲めるでしょうか? ――手首の形まで飲みやすさに影響するとは、驚きですよね。
参考資料:田中暢明(2012)『脳科学辞典「味覚受容体」』日本歯科新聞社
参考図書:摂食研究会、氏家賢明、大野康(2015)『食べる・飲むメカニズム』日本歯科新聞社
日本歯科新聞社
水野 麻由子
- 【企業ブランディングコラム】> 「食べる瞬間」に話しかけるのはNG!? 知っておきたい“食べるメカニズム”
- 【事例ページ】> 『学力は「食育」でつくられる。』