調剤薬局が抱える問題とM&A成功の鍵
M&Aが最も盛んな業種
日本のM&A(合併・買収)市場で、最も件数が多いのはどのような業種でしょうか。
IT企業や保険業界などを思い浮かべる方もうるかもしれません。
M&A仲介業の日本M&Aセンターが2014年度に手がけた案件を見ると、調剤薬局のM&Aが近年最も活発であることが分かります。
その背景には調剤薬局の売上と立地の関係性があります。調剤薬局は立地が売上や事業成長に大きく関わるため、病院や福祉施設の近辺を押さえることが重要といわれています。
新天地に出店を考える調剤薬局にとって、自前で店舗を新設するより好立地の既存店を買収した方が効率的です。これらの業界事情がM&A増加に拍車をかけています。
調剤薬局が抱える問題とM&Aの鍵
高齢化により調剤医療費自体は伸びていますが、医療費を抑制したい国の意向もあり、調剤報酬自体は引き下げられる傾向にあります。
規模で劣る個人経営の調剤薬局は経営を圧迫されているのです。また、薬学部の6年制移行による薬剤師不足も深刻な課題です。個人経営の調剤薬局は若い薬剤師を集めにくくなっており、事業売却を決意する大きな理由となっています。
M&Aは価格も重要ですが、それだけではなく、フレキシブルな対応が求められているといわれています。確かに、売り手となる企業の要望は様々です。会社を手放してリタイアしたいという売り手もいれば、社長として経営に協力したいという売り手、自分は手を引くが息子を役員に入れてほしいという売り手もいます。それらの要望にどこまで応えられるかどうかが、M&A成約の鍵を握っているのです。
M&Aを行う企業のブランディング
調剤薬局業界は大手のシェアが1―2%程度で、ドラッグストア業界などに比べても大手の寡占化が進んでいません。 今後も引続き、薬局のM&Aは加速していくことが予想されます。
M&Aといえば、売り手にとっても買い手にとっても大きな決断。 特に売却主にとっては、自身の会社を人に譲るという、人生を大きく変える決断となります。 そこで、信頼できる仲介パートナーを見つけることが不可欠です。
2015年度は国内のM&A総額が5割増とのデータも出ており、業界再編の波は本格化しています。 この波に乗り遅れないためにも、M&Aを行う会社としては、より自社のブランディングが重要になってくるのではないでしょうか。
幻冬舎メディアコンサルティング
松永 茉夕
- 【出版事例紹介】> 「業界再編時代」のM&A戦略