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10分で分かる企業出版 出版社選びのポイントも解説

著者:幻冬舎メディアコンサルティング 編集局・部長 伊藤英紀

企業のマーケティングやブランディングの一環として、書籍の出版を行う「企業出版」。カスタム出版やブランディング出版などとも呼ばれています。ここでは企業出版の具体的な効果や気になる費用など、より詳しく解説していきましょう。

企業出版とは?

企業出版の最大の特徴は、あらかじめマーケティングやブランディングというゴールを持ち、特定のターゲットを惹きつける内容に仕上げていくところにあります。一冊でも多く売れる本を作るより、ターゲットからの反響を得る本を作ることに力点を置き、経営課題の解決につなげていきます。

集客力の強化、社会的信頼の向上、人材採用への貢献……。詳しくは後述しますが、企業出版には、多くの企業が悩む課題を解消する、さまざまなメリットがあります。

自社の理念や思い、魅力を余すところなく表現できる

マーケティング、ブランディングの代表的な手法は、テレビや新聞、雑誌、ネットなど既存の媒体に広告を出すことでしょう。しかし、書籍という媒体を用いた企業出版は、一般的な広告とは一線を画すものです。

書籍ならではといえる大きな特徴は、社会的な信頼性の高さです。インターネットを通じ膨大な量の情報が毎日発信され、誰もが匿名で気軽に情報を出せる現代では、情報の信頼性を担保するのが難しくなっています。しかし書籍は、著者個人の名前を表に出し、出版社や編集者、校閲者などの専門家の手を通じて、各人の責任のもとで制作されるため、情報としての信頼度が高いといえます。実際に経営者を始め多くのビジネスマンが、書籍を情報源として活用しています。

また、さらっと読み飛ばしてしまいがちな広告や、数十秒見たら終わりという宣伝に比べ、ボリュームのある情報が順序だててわかりやすく記されているため、ターゲットに対して深い情報伝達を行うことができます。書店に並ぶ書籍は、ジャンル別にセグメントされて配置され、ターゲットにリーチしやすくなっています。

そうした書籍の特性を生かして行う企業出版は、自社の思いや商品の魅力をしっかりと浸透させる必要があるマーケティングやブランディングという活動と極めて相性の良いものとなっています。

書籍の出版に当たっては、電子書籍など一部を除き出版社の手を借りる必要があります。出版業界には大きく3つの出版形式が存在しています。

①商業出版

書籍の制作費を、出版社が負担する形式の出版です。目的は、本の販売によって利益を上げることであり、出版社が立てた企画に基づいて、著名人や有名人、実績のある著者などに執筆を依頼するケースがほとんどです。著者としては、出版社側で制作費を持ってくれ、本が売れれば印税も入りますからメリットは大きいですが、出版社としても本を一定以上売って初めて黒字化できるので、基本的には売り上げが見込める相手にしか執筆依頼をしません。実績のないところからいきなり商業出版へと進むのは極めて難しいといえます。また、内容に関しても、著者の主張をあますところなく表現するというより、売れる本にすることが優先される場合が多く、著者が自由に本を作れるわけではありません。

②自費出版

書籍の制作費を、著者が負担する形式の出版です。自らの思いや考えを周囲に向けて発信したいという人が、出版社にお金を払って書籍を制作します。本の内容は、原則として費用を負担している側である著者の自由に決めることができます。ただ、5,000部、1万部も本を刷ってそれなりに流通させるなら、制作費に加えさらに大きな支出となります。自費出版では、個人の依頼により、市場には流通させない私家版として数百部、本を刷るケースが目立ちます。

③企業出版

広い意味では自費出版に入り、書籍の制作費を著者が負担する形式の出版です。ただ、冒頭でも述べた通り、出版の目的が他の出版形式とは大きく異なり、ブランディングや集客といった企業課題を解決するための本を制作していきます。出版社は、書籍の制作に加えコンサルティングも担当し、編集者による企業課題ヒアリング、課題解決に効果的な企画の提案、ライターによるハイクオリティな文章の作成、デザイナーが手がける美しい装丁など、企業出版ならではの専門的なアプローチが行われます。企業側が伝えたいメッセージがしっかりと形になり、出版社により書店への流通も行われます。

企業出版の代表的なメリット3つ

では、企業出版を行うことにはどんなメリットがあるのでしょうか。代表的なものとしては、以下の3つが挙げられます。

①集客力の強化

書籍には、「興味がある人が手に取り、お金を払って購入する」という特徴があります。購入後は高い確率で、中身をしっかり読んでもらうことができます。テレビやネット上の広告宣伝に押し付けがましさを感じている人にも、書籍は無理のない形でアプローチでき、新たな見込み客の獲得に貢献します。また、出版を機にセミナーを行ったり、営業ツールとして活用したりすれば、さらなる相乗効果が生まれます。

②ブランディング効果

書籍を通じ、経営理念やビジョン、歴史といった、その企業ならではのストーリーをしっかりと発信することができるため、ブランディングの効果が見込めます。ボリュームのあるストーリーに触れ、共感した読者は、その企業や商品、サービスのファンになり、それがブランディングにつながるのです。書籍は社会的な信頼度が高く、それを出版した企業自体に対する信頼もまた高まります。

③リクルーティング効果

自社について、あるいは代表的な商品やサービスについて、その背景にある物語も含めて余すところなく語ることができるため、リクルーティングでも活躍します。創業者の思い、目指すビジョン、商品の魅力、開発秘話、試行錯誤の歴史……。そうした情報がわかりやすく一冊にまとまった書籍を通して、パンフレットやウェブサイトとは違った、深度のある企業紹介ができ、より強い共感を醸成できます。書籍に感動し、「ぜひこの会社で働きたい」という人材は、初めから自社のファンとして誇りを持って働いてくれるでしょう。

企業出版の3つのステップ

実際の企業出版がどのように行われるかといえば、大きく3つのステップに分かれます。

①企画立案

まずは、企画です。企業が抱える課題を解決するにはどんな内容の本を作るべきか。誰に対し、どのように販売していくか。その道のプロである編集者のヒアリングや提案を受けつつ、戦略的に企画を練りあげていきます。期間としては、1~2か月ほどは企画立案に当てることが多いです。

②制作

企画が固まったら、制作に入ります。ライターによる取材、執筆、編集部での編集作業、デザインやイラストの制作など、多岐に渡る業務が、出版社主導で進んでいきます。3か月から半年ほどで、本が形になります。

③プロモーション

制作と並行して、プロモーションの種をまき、出版に合わせてセミナーを企画したり、広告を打ったりといった活動も行われます。出版後、1~2か月ほどは集中的にプロモーションを行うことが多く、企業(著者)の要望によっては、その後もプロモーションを継続していきます。

出版社選びのポイント

近年は企業出版に参入する出版社も多く、その選び方も重要なポイントです。詳細は多岐にわたりますが、最低限押さえておくべき点は下記のとおりです。

①出版後のことをイメージさせてくれるか?

企業出版において、書籍の出版はゴールではなくスタートです。事前に設定した読者ターゲットに届けることが重要であり、「出版後」のことをイメージさせてくれる出版社を選びたいところです。

②「出版すること」が目的の提案になっていないか?

出版はあくまでも手段です。提案を受ける際に、出版の目的がブランディングや課題解決になっているかどうか、しっかり確認しましょう。

③書店流通のネットワークが整っているか?

書店流通を希望する場合には重要なチェックポイントです。 出版社によっては販売を別会社に委託している場合もあります。

企業出版の費用は?

最後に、気になる費用についてご紹介します。企業出版の主な費用は、企画や編集、ライティング、デザインなどで発生する人件費を中心とした制作費、紙代や印刷費などの実費、そして書店やネットに流通させたり、広告を打ったりするためのプロモーション費用です。

具体的な金額については、出版社によってさまざまですが、数百万円からというのがひとつの目安です。金額にかなりの幅があることから想像できるかもしれませんが、提供しているサービス内容が各社で異なりますから、しっかりと確認した上で見積もりを取り、比較検討するといいでしょう。

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