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広告による短期的集客の時代は終わった! 競合他社と一線を画す中小企業のブランディング手法とは

著者:GMCブランド戦略室

テレビや雑誌といったマスメディアを使った広告、Web広告、ダイレクトメールなど、消費者にアピールする手段はさまざまにあります。大企業のように巨額の広告費をかけられるわけでもない中小企業が確実に広告効果をあげるには……。限られた予算内で可能な、中小企業のブランディング手法に迫ります。

次々と誕生する他社の新商品・新サービス......中小企業の差別化はますます困難に

飲食、不動産、保険、医療、医薬品……さまざまな業界において大手から中小企業まであらゆる商品を展開し、供給過多の時代です。企業はお金をかけて自社の商品を積極的に広告・宣伝しないと、消費者に購入してもらうことはおろか、知ってもらうことすらかないません。

つまり、商業活動において広告・宣伝活動は切っても切り離せないのです。 しかし、供給過多の時代だけに他社との差別化は難しい。テレビや雑誌、新聞には同業種の広告が並び、短時間で、あるいは限られた紙面で他社との違いを出し、かつ認知してもらわなければなりません。

たった1回の告知ではなく、継続的な広告・宣伝活用も重要でしょう。消費者に知ってもらい、購入してもらうには莫大な宣伝予算が必要なのです。

競合が宣伝費を上げれば自社も……広告依存のチキンレース

では、広告をできるだけ打てばいい。他社よりも認知してもらうメディアが増えればいい。それも一つの考えです。実際、株式会社電通が2019年2月に発表した2018年の日本の総広告費は、前年比102.2%増の6兆5300億円と右肩上がりに成長を続けています。この巨大な広告市場で大手企業と同様の宣伝予算を投入できる中小企業は……あまりないと言っていいでしょう。

しかも、媒体別に見ると、新聞、雑誌、ラジオ、テレビの4大マスメディアは前年よりも広告費が下がっています。活発化しているのはWeb広告費で、5年連続で2ケタ成長となり、地上波のテレビ広告費に迫る1兆7589億円もの数字を叩き出しています。

大事なのは、大手や同業他社と同じように広告を打つのではなく、どのメディアを選び、どのような戦略でPRしていくか。

テレビの15秒CMを展開するのか、新聞の1ページ広告できちんと商品のUSPを説明するのか、雑誌でイメージアップを図るのか……自社の商品にとって、どのメディアが最も効果的で、どのような企画・戦略を立ててターゲット層をつかむのか。

ここをきちんと考えないと、やみくもに広告・宣伝費を投下するだけで終わってしまいます。Web広告が好調だから自分たちも広告を……だけでは、もう、消費者はつかめないのです。

そもそも、Web広告が成長した理由は、インターネットユーザーや、スマートフォンでWeb閲覧をするユーザーが爆発的に増加したからです。Webで商品を販売する企業にとっては、ダイレクトに購入してもらえるという利点があり、広告の効果が測りやすいこともあって、著しい成長を遂げました。

短期的な販促効果を得るために、Web広告は今でも強力な手段といえるでしょう。ですが、競合との競争が激しく、差別化も困難である以上、中長期的に業績を向上させるために最適だとは言い切れません。

広告効果を向上させる前に、中小企業は自社ブランドの確立を

広告・宣伝で販促のほかに重要視すべきことは、より多くの消費者に自社のブランドを知ってもらうことです。その上で他社と差別化をする。競合優位性(USP)を端的にPRすることで、購入動機に結びつけるのです。ほかにも、自社や商品のイメージをアップし、「この企業の商品なら」と信頼性を高める意図もあります。

例えばスーパーで購入する野菜は、価格だけでなく、産地・生産者・農法などを比較して信頼できれば購入するという消費者が多くいます。コスメや家電、車や家もそうです。他社よりも優れている点や品質を比較して、価格が妥当であれば購入する。ストーリーが購買意欲につながる。そのために広告を参考材料にしているのです。

要は、広告にどのメディアを使ったとしても、そもそもの自社商品のウリ、つまりブランドが明確になっていないと、広告効果は得られにくい。広告を打つ前に自社ブランドを確立することが大切です。とはいえ、これだけ類似商品が溢れているなか、どうやって差別化していけばいいのか。書籍を使った事例を紹介します。

差別化しづらい商材であっても、企業の差別化は可能

不動産投資を中心とした総合的な資産運用を手がける武蔵コーポレーション株式会社は、全国の大手や中小企業など競合他社も多い中で、どのように他社と差別化するかが課題でした。

また、不動産投資はネガティブなイメージがどうしてもつきまとい、「投資したら損をするかもしれない」「買わされる」と思う消費者も多くいます。だからこそ、広告を展開する最も大きな理由は信頼性の獲得でした。

同社は『「アパート事業」による資産形成入門』『「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』『オーナー社長のための収益物件活用術』といった書籍を刊行。イラストや図式、写真はほとんど使わず、とにかく真面目に不動産投資のノウハウについて解説しました。

まるで教科書のような書籍は、真剣に投資を考えているターゲットから信頼を勝ち得、投資セミナーで150人の集客、30件以上の受注につながりました。また、第1弾で刊行した1冊は累計で2万部の販売を達成し、信頼の醸成に役立っています。

商圏範囲が広がり、質の高い問い合わせが増加する

もうひとつ、書籍で広告・宣伝に成功した会社があります。東京都を拠点にBtoB企業のデジタルマーケティングやWebサイト制作を手掛ける株式会社リーディング・ソリューションです。同社は「デジタルマーケティングの必要性は感じているけれど、具体的になにをどうしていいかわからない」と悩む企業の担当者にターゲットを絞りました。

Webサイトの仕組みやWebリテラシーなどの知識がない、というターゲットの背景を考慮し、タイトルは『新規顧客をウェブサイトで開拓する方法』と、テーマをわかりやすく設定。PULL型集客のための具体的な施策やノウハウを解説しました。

すると、大手企業の課長級以上から直接20~30件もの問い合わせがあり、約10件の受注を獲得。関東圏だけでなく、関西など遠方からの問い合わせもあり、商圏拡大に成功しました。また、書籍を読んだ顧客とは、ある程度の知識を共有できた上で商談が進められるため、商談効率も上がったそうです。

それまではWeb広告に約100万円を投資していたものの、書籍という強力な広告手段を得てからは、Web広告は数万円程度。広告費削減にも効果がありました。

このように自社の強みはなにか、ターゲットは誰なのか、どのように広告・宣伝をすれば効果的なのか、まずは自社ブランドを明確にすることが重要です。

その上でターゲットにアプローチする効果的な手段を選ぶことが、広告過多の時代に他社と差をつける一手なのは間違いありません。

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