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売れる本、売れない本は「タイトル」で決まる!?

著者:幻冬舎メディアコンサルティング 編集局・部長 伊藤英紀

内容がよいのに「売れない本」がある一方で、逆のケースもあります。この違いはタイトルや表紙で決まるといっても過言ではありません。ベストセラーになる本は内容だけでなく、タイトルや表紙もすぐれていることが多いのです。今回は「本のタイトル」にスポットを当て、売れる本にするにはどうすればいいのかを解説していきます。

本のタイトルや表紙が重要な理由

本が売れるための重要な要素として、タイトルと表紙を挙げることができます。この2つの要素だけで売れ行きの大半が決まるともいわれているくらいです。逆にいえば、内容がすぐれているからといって、必ずしも売れるわけではないのです。

本のタイトルや表紙は、書店に立ち寄った人が読むかどうかを判断するときに重要な役割を果たします。本屋には、目的買いより暇つぶしで行く人も多いので、いわゆる「衝動買い」で買ってもらわなければならないからです。

人が本を手に取るとき、必ずタイトルや表紙を見ます。ここで興味を惹けなければ、どれだけ内容が素晴らしくても手に取ってもらえません。本のタイトルや表紙にキャッチーなものが多いのはそのためです。タイトルと表紙は、本を手に取ってもらうための広告的な役割を担っているのです。

これはAmazonなどのWEB書店で本を買うときも同じです。書店でタイトルと表紙に惹かれて手に取るときと同じように、これらはWEB書店でも本を見つけてもらうためのきっかけとなります。書籍検索でもタイトルが検索キーワードとして極めて重要な役割を果たします。

書店で気を惹くことができれば、後日WEB書店で購入してもらえる可能性も出てきますので、覚えやすい、あるいはインパクトのある言葉が入ったタイトルのほうが、より購入につながるでしょう。もちろんベストセラーやロングセラーになるには内容もすぐれていなければなりませんが、ある程度の部数までは、まずはタイトルと表紙が重要といっても過言ではありません。

「売れる本」を決定づける2つのパターン

売れる本のタイトルには、大きく分けて2つのパターンがあります。

パターン①具体的で分かりやすい
パターン②インパクトがある

ベストセラーの実例を挙げるとわかりやすいと思います。たとえば、『Excel 最強の教科書[完全版]』はパターン①に当てはまるでしょう。「Excelのハウツー本であること」は誰にでも明確にわかるタイトルです。「教科書」という言葉からは、初心者でも基礎から学べる本という訴求につながっています。さらに「完全版」とすることで、この本一冊でしっかり学べるお得感も伝わってきます。

『嫌われる勇気―自己啓発の源流「アドラー」の教え』はパターン②に当てはまるでしょう。まず「嫌われる」というネガティブな言葉を前に持ってくることで見た人にインパクトを与えています。そこから「勇気」というポジティブな言葉、偉大な心理学者「アドラー」へとつなげることで、見た人に驚きを与え、手に取ってもらうことに成功したのではないでしょうか。

パターン①は、主に実用書やビジネス書に向いているケース、パターン②は、有名人と引っ掛かりのある言葉を組み合わせることで、さらに効果的になるケースが多いといえます。

よく見ると、実はインパンクトのある言葉を並べただけのタイトルの本も少なくありません。これでは読者に手に取ってもらえない確率が高くなってしまいます。読むメリットが伝わりにくいからです。タイトルと内容がかけ離れている本も少なくありませんが、これでは読者がWEB書店で本を探す際、検索キーワードにヒットせず、見つけてもらえない可能性が高くなってしまいます。

本のタイトルの付け方で押さえておきたい3つのポイント

ここまでの解説を整理すると、タイトルの付け方で重要なのは「何が学べる本なのか」と「誰向けの本なのか」を分かるようにすることです。

書店やWEB書店に行く人は、自分の興味が惹かれる知識やノウハウなどが得られる本を求めています。そのことがタイトルでしっかり訴求できていれば、手に取ってもらうことができます。この観点からタイトルを決めるときは、具体的には次の3つのポイントを押さえておくとよいでしょう。

①著者の伝えたいことを読者の知りたいことに変換する
著者には必ず「伝えたいこと」がありますが、これを読者の「知りたいこと」に変換する必要があります。簡単ではありませんが、伝えたいことだけを並べても読者の心をつかむことはできません。

②何が得られる本かがわかる
タイトルだけで、どういう本であるかが瞬時かつ具体的にイメージできるようにします。

③誰に向けての本かがわかる
専門家向けの内容なら専門書、一般向けなら手軽に読めることを訴求します。

タイトル付けをする際の注意点

タイトルを付けるにあたっての注意点は多数ありますが、特に気をつけたいのは、既存のベストセラー本と似たタイトルを付けないということです。

基本的に、ベストセラーと似たタイトルを付けても売れません。とはいえ、書店ではこの手のタイトルの本を多く見かけます。たとえば、『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』は、漫画・テレビアニメ・映画化され、「もしドラ」の略称も定着するほどのベストセラーとなりましたが、その後、この本と同じようなタイトルと表紙の本が書店にあふれました。しかし、売れ行きの面で「もしドラ」に続く本はなかったのです。

これには、同じようなタイトルの本が書店にたくさん並ぶことで読者が見慣れてしまう、という明確な失敗理由があります。したがって「二匹目のドジョウ」を狙うにしても、ブームが去った後を狙う、あるいは斬新な切り口を加えてタイトルと表紙を練るなどの必要があるのです。

まとめ

売れる本をつくるには、いかにタイトルと表紙が重要であるかが理解していただけたと思います。内容だけでなくタイトルや表紙もよければ、ベストセラーになる確率は高くなるのです。

近年では、自社のオリジナル性をじっくり訴求するために、書籍を出版する企業も増えています。この場合もタイトルが重要となってきます。実際、いいタイトルをつけることができたために本が売れ、自社の商品やサービスの売上にもつながったり、テレビや新聞、雑誌などのメディアから取材を受けたりして、注目されるようになった企業はめずらしくないのです。

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