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【企業ブランディング成功の秘訣】ストーリーで人の心を掴むには?

著者:幻冬舎メディアコンサルティング 編集局 伊藤英紀

多くの企業にとって、経営課題のひとつと考えられる「ブランディング」。しかし日々の業務に誠実に取り組んでいる企業ほど、自己アピールが不得手というケースは多いようです。本項では、企業ブランディングの一環として重視される「ストーリーテリング」の手法や実例を紹介していきます。

企業ブランディングとは?

近年は企業ブランディングの必要性が認められるようになりました。企業には「良質な商品やサービスを消費者へ提供し続けていく」だけでなく、「自社の価値を理解したうえで、世にアピールしていく」積極性が求められています。

「ブランド」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、洋服や装身具などをデザインし、製造販売するメーカーでしょう。

例えばフランスのシャネルや、スイスのロレックスといったブランドは、日本人が連想するハイブランドの筆頭に挙がります。これらのブランドのプロダクトが優れているのは確かですが、長い歴史と実績、そして仕掛けられたイメージ戦略によって、ブランド自身の価値は効果的に高められてきました。単にブランドのロゴマークがプリントされただけのTシャツでも、多くの消費者が買い求めようとするでしょう。「あのブランドの商品を身に着けている人は、おしゃれでリッチ」というイメージ戦略が、完全に定着しているからです。

このように、装飾品を専門的に扱うメーカーの例は、非常にわかりやすくなっています。しかし近年は、ありとあらゆる業界の企業が、ブランディングの必要性を理解し始めています。

企業にブランディングストーリーが必要な理由

企業ブランディングの必要性が取り沙汰されるようになってきたのには、いくつかの理由があります。

まず、近年はインターネットが隅々にまで浸透した結果、多くの情報が世に氾濫しています。その中で確実に消費者の支持を掴んでいくためには、商品やサービスの品質を維持向上し続けるだけでは足りません。企業自らがマーケティングを駆使し、自社の魅力や価値を積極的にアピールしていかなくては、競争から取り残されてしまうのです。 また近年は、社会貢献や法令遵守など「企業の基本姿勢」に対し、消費者からシビアな視線が向けられるようになっています。いくら過去に人気商品を製造販売していたとしても「企業姿勢ひとつで、評判が地に落ちる」という可能性は捨てきれません。このような事態を避けるために「どのような信条を持ち、日々の業務や商品開発にあたっているか」を消費者にアピールすることは非常に有効です。

こうしたブランディングを展開していくためには、「企業がいかにして世のニーズに気づき、障害や苦労を乗り越えながら商品(サービス)を開発して、発売するに至ったのか」をわかりやすく伝える、ドラマティックなストーリーが必要となってきます。そのストーリーに共鳴した消費者は、商品だけでなく企業そのもののファンとなり、進んで口コミなどを広めてくれます。

ブランディングストーリーテリングのメディア

ブランドストーリーを効果的に消費者に届けるためには、さまざまな方法があります。以下に見ていきましょう。

①公式サイト
企業サイトはオウンドメディアになりますので、自社の歴史や信条などを、自由な形式で伝えていくことが可能になります。反面、公式サイトへ訪れるのは「あらかじめ、企業に興味を持っている人」に限られます。このため、期待以上に情報が広がらないというデメリットがあります。

②広告
広告媒体はテレビや新聞、街頭広告といったマスメディアから、ある程度ターゲット層を絞り込めるインターネット広告までと多彩です。ただし広告には「大きさ」や「ランニングタイム」といった制限があります。十分な予算を用意できる企業なら、商品は一切訴求せず、企業ブランディングだけに特化した広告を打つことも可能でしょう。しかしそうでない場合、制限の中で商品やブランドの広告をまとめて行わなくてはならない、という難しさがあります。

③書籍制作
一冊の書籍制作を、企業ブランディングに活かす方法です。例えば創業者や企業の歴史を物語としてまとめれば、ドラマティックなノンフィクション読み物が出来上がり、伝えたい情報を読者に無理なく伝えることができます。もちろん、自社商品の開発秘話や背景をまとめるなどの展開もあり。いずれにせよ、時事ネタや人々が興味を持っているテーマを上手に絡めることで、多くの関心を惹くことが可能になります。全国書店にネットワークを築いている出版社をパートナーに選べば、広範囲にわたる企業ブランディング戦略が実現するでしょう。

ブランディングストーリーテリングのコツ

人々の興味を喚起するブランディングストーリーには「想像力を刺激する」、「問題を喚起する」、「成功を呼ぶ計画を促す」、「共感を抱かせる」などの要素が巧みに含まれています。以下に例を見ていきましょう。

Aここにいるのは、健康な25歳の日本人男性です。

Bここにいるのは、健康で心優しく「世の中のために何か役に立ちたい」思っている、25歳の日本人男性です。

Cここにいるのは、健康で心優しい25歳の日本人男性です。彼はコロナ禍で不安を抱く人々のために、正しいワクチン接種の手順についての知識を身につけ、案内を買って出ています。彼のアドバイスに従えば、適切なコロナ対策を行えるでしょう。

A~Cの中で最も人々の関心を惹き、「この人に接触してみたい」という欲求を抱かせるのがCの文章であることは、明白です。またCの文章には、隠されたいくつかのポイントがあります。

まず1つめは、文章の中の主人公。一読すると25歳の日本人青年についての文章のように感じられますが、よく読むと「彼を頼りにすることで利益を得るのは、文章を読む人」であることがわかってきます。

2つめに彼は健康で心優しい青年であり、行動の源は善意にあると伝わること。読む人に共感や「信頼できそうだ」という安心感を与えています。

3つめに彼は、新型コロナウィルスという社会問題に対し、自分なりの対策法を提案している「導き手」であること。彼の提案に従えば、正しいワクチン接種についての計画をスムーズに立てることが可能で、誰もが不安に思う感染対策を成功させることができそうです。

ブランディングストーリーは、上記の要素を盛り込んでいくことで有効に機能します。広告メディアなどで簡潔に物語を紡ぐこともできなくはありませんが、書籍メディアを活用し、詳しく情報をまとめていけば、より正確な企業ブランディングが実現するのです。

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