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顧客倍増⁉ 企業出版が経営者に選ばれる理由を徹底解説

著者:幻冬舎メディアコンサルティング 編集局・部長 伊藤英紀

企業出版は、ターゲットを絞り込むことによりロイヤリティの高い顧客を高確率で獲得することができるマーケティング手法です。どんな手法にも得手不得手があり、特質をよく理解して活用することで最大の効果が発揮できます。企業出版がどんなターゲットに適し、どんなアプローチによって顧客倍増を実現するのかを解説します。

企業出版がターゲットにする顧客

企業出版が効果を発揮するには、当然ながらまず書籍を手に取ってもらい、じっくりと読んでもらうことが必要です。と言ってもとりたてて「本好き」をターゲットにするわけではありませんし、万人受けの書籍でベストセラーを目指すわけでもありません。企業出版の目的は本を売ることそのものではないのです。

むしろ、特定のテーマについて課題(悩み・問題・迷い)を抱え、解決方法を探している層をターゲットに設定し、「これこそが答えだ」と思わせるような内容を書籍に盛り込むのが、企業出版の定石です。

人は誰しも課題を抱えていると普段以上に積極的に情報を探すようになるため、テーマがピンポイントで興味・関心に合致していれば、読書の習慣がない人でも本を手に取る可能性は十分にあります。 

特に1回の選択で大きな投資をすることになる商品(高額または長期的な契約をすることになるもの)や、専門性が期待される商品では、消費者は選択にあたって深く正確な説明を要求する傾向があります。一言でいえば、読者はその課題に対する「専門家」を求めます。書籍は情報の深さと信頼性を特色とする媒体であるため、そうした消費者に対し強い訴求力を持ちます。

書籍を手に取った時点で読者は長い時間を割いて著者の話を聞く気になっているわけですので、購入や契約にいたる見込みの高い相手と言えます。企業出版ではそうした相手の獲得に焦点を絞り、比較的狭い範囲から効率的に顧客を獲得していきます。

企業出版の書籍に込める内容

出版不況が叫ばれて久しい一方で、ビジネス書はいまも売れている分野ですが、企業出版が目指すのはそもそもベストセラーではありません。

 企業出版では、見込みの高い相手にターゲットを絞り、書籍を通して商品・サービスだけでなく企業そのものにファンになってもらうことで、ロイヤルティの高い顧客の獲得を図ります。カギとなるのは書籍の情報量と信頼性の活かし方です。

書籍は他の媒体と比べて桁違いの情報量を持ちます。したがって、商品・サービスの背後にある経営理念や事業モデル、課題解決の仕組みや具体的な取り組みなどを詳細に説明することができます。

さらには、現在流布している解決手段の問題点や一般には知られることのない業界の裏側などを記述することもできます。課題そのものをより深く掘り下げつつ本来あるべき解決手段を提示することで、書籍に強い説得力を持たせることが可能です。

書籍は社会的な信頼性の高いメディアであり、読者はある程度の客観性を書籍に求めます。企業出版においても、感情論や安易な断定、露骨な自己宣伝などは避け、あくまで冷静で一般的な議論の形をとりながらも、著者の企業の特色に即した課題の捉え方や解決の方向性を提示していきます。

読者が読み進めるうちに「自分の課題はまさしくこれだ」と納得し、著者の企業こそが「自分の求めていた答えを提供してくれる存在だ」という考えに達するように、書籍の内容が構成されているわけです。そうした考えにいたった読者は著者やその企業を「専門家」「第一人者」と受け止めて深い信頼を寄せ、ロイヤルティの高い顧客になってくれることでしょう。

書籍が安易な断定と自己宣伝に終始する内容であったとしたら、こうはなりません。押しつけがましい広告を水増ししただけの「宣伝本」は企業出版の書籍とは対極をなすものです。

企業出版で顧客が倍増するワケ

企業出版では見込みの高い顧客にターゲットを絞ることで効率的に顧客を獲得することができます。さらに、他の施策との相乗効果やマスメディアへの露出などを通して顧客を拡大していくことが可能です。

例えば、セミナーを顧客獲得の手段としている企業では、書籍の読者や書籍の評判を耳にした人々をセミナーに呼び込むことで、見込みのある参加者を増やすことができます。あるいは逆に、セミナー参加者により深い理解とエンゲージメントを促すために書籍を利用することも可能です。

セミナーには生の体験という書籍にはない特性があり、一方で書籍には情報の量やまとまりとったセミナーにはない特性があるため、相補的なシナジーが期待できます。

書籍の評判には信頼性が伴っていることから、マスメディアとしても取り上げやすく、雑誌の取材やテレビ出演などのオファーが来ることがあります。そうなれば書籍や企業の認知度を全国的なレベルに広げることができ、読者やセミナー参加者も一気に増え、問い合わせや講演の依頼が殺到するといったことが起こりえます。

企業出版は最初にターゲットとする相手の範囲こそ狭いものの、大きな展開の期待できる手法なのです。

企業出版を社内・求職者向けブランディングに活用して顧客を増やす

企業出版はインナーブランディングや採用ブランディングにも活用されます。

インナーブランディングとは、企業理念や目指すべき方向性などを社内に浸透させ、組織全体で重要な価値観(ものの見方)の共有を図るために行われる取り組みのことです。外部の消費者に向けて企業の価値・強みを説明する書籍は社内の人材が読んでも有益で、インナーブランディングのためのまとまった資料となります。もちろん、社内向けに書籍を制作することも可能です。

採用ブランディングとは、企業にとって望ましい求職者を獲得すべき顧客のように見なし、採用市場において企業のブランディングを行うことです。採用向けWEBサイトの設置が代表的な手法ですが、情報量が限られ、断片的な発信になりがちです。企業出版であれば、事業や職務の魅力をまとまった形で発信することができます。

それにより、求職者の関心を引きつけて応募者を増やし、結果として優秀な人材を獲得するチャンスを拡大することが可能です。また、書籍を読んで応募してくる求職者は事業内容や企業の考え方を理解した上でその企業を選んでいるため、ロイヤルティの高い人材となる可能性が高いと言えます。

これらの取り組みは顧客獲得に直結するわけではありませんが、中長期的な視点で人材力強化に取り組むことで、目先の顧客数増加にとどまらない本質的な成長を企業にもたらしてくれることでしょう。

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