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出版企画の持ち込みから出版までの流れとは?

著者:幻冬舎メディアコンサルティング 編集局・部長 伊藤英紀

「出版したい企画があるが、出版社から相手にしてもらえるのだろうか?」。そんな疑問を持っている人は、まず、出版企画の立て方から出版企画書の書き方、持ち込み法までについて、知識を深めておく必要があります。本ページの内容を、ぜひ参考にしてください。

出版企画とは

書籍がベストセラーを記録すれば、出版社に大きな利益がもたらされますが、売れ行きが悪ければ、赤字を背負うこととなります。出版社にとって、書籍の出版は明確な「事業」です。他の業界と同じく、プロジェクトを動かす前には社内で話し合いを重ねていかなくてはなりません。 例えば、製造業を営む企業が新製品を開発する際には、発案者またはプロジェクトの担当者による社内プレゼンテーションが展開されます。その際に配られる資料は、プロジェクト全体の草案ともいうべきもの。上司や同僚など、社内スタッフからさまざまな意見が寄せられる中でブラッシュアップされ、より良い商品としてかたちになっていきます。

出版企画書は書籍の制作において、上記のプロジェクト資料同様の意味を持ちます。「どんな本が作りたいのか」、「なぜ出版すべきなのか」などの理由をしっかりと盛り込み、出版社内のスタッフを説得できる内容でなくてはなりません。 もし出版企画書の内容が説得力に乏しいと「出版するに値しない」と判断され、企画自体が流れることになります。出版企画書の作成は、出版という目標達成に向けた、大切な第一歩なのです。

出版企画書を書く意義

出版企画書は、出版社の判断としてのGOサインをもらうために必要不可欠ですが、「この企画を出版したい」と考える作成者自身にとっても、大切な意味を持ちます。企画書を作成する過程で、構想が具体的に発展していくからです。 どのような企画でも、始めは作成者の頭の中にあるぼんやりとしたイメージに過ぎません。しかし実際に出版企画書を作成することで「こうすれば読者の興味を惹ける」、「ああすれば売れる内容になる」など、具体的な展開案がかたちを帯びるようになっていきます。 また「いつか出版したい」という企画は、頭の中に放置しておくと、いざという時に細部が思い出せなくなってしまう心配があります。「アイディアをまとめ、保存しておく」という意味でも、出版企画書の作成は大切なのです。

持ち込みから出版までの流れ

「こんな本を出したい」と考え、出版社に持ち込んだ企画書が書籍化する…、そんなサクセスストーリーの実現は、以下のような流れで進みます。

【企画持ち込み~出版の流れ】
①出版社の編集者とコンタクトを取る。
②出版企画(書)を持ち込む。
③編集者が「取り上げるべき企画」と判断した場合、出版社内の企画会議や営業会議で検討される。
④企画が通過し、書籍化が決まる。著者と編集者は作成作業に入る。
⑤完成品が出版される。

【シビアな商業出版の世界】

出版にはいくつかの種類があり、商業出版、自費出版、企業出版の3つに大別されます。自費出版・企業出版は、著者サイドが制作費を負担するため、主導権は著者にあります。「どんな内容にしたいのか」、「誰に向けて作りたいのか」などの希望は尊重され、一冊の本にまとめられていくのです。もちろん、制作前に出版企画書は作成されますが、公序良俗に違反するといった内容でない限り、「出版社がダメ出しする」、「出版社都合で企画が流れる」という展開は生まれにくくなっています。このため、自費出版・企業出版の場合は、著者が出版社に「企画を持ち込む」のではなく、「企画を相談しに行く」と表現するほうが適切でしょう。

対して商業出版は、制作費や広告宣伝費のすべてを出版社が負担します。このため、多くの企画はふるいにかけられたうえで、書籍化が見送られます。出版社内の社員が考えた企画でさえシビアに取捨選択されているのですから、持ち込みがいかに厳しい待遇を受けるのかは、想像に難くありません。また近年は、書籍の販売部数データが正確かつ迅速に記録され、即座に確認できるシステムも浸透しつつあります。持ち込んだ企画の類書がすでに発売されていて、しかも売上が芳しくなかったという場合には、まったく相手にされないというケースも考えられるのです。

【無名の著者でも可能性ゼロではない】

ここまでの内容を一読し「やはり、持ち込みはとても無理だな」と考える人がいるかもしれません。しかし本当に「この企画は当たる、絶対売れる本になる」という確信があるならば、出版企画書を作成する価値はあります。 すでにベストセラーを生んだ実績のある著者には、多くの出版社が「ぜひウチでも」と声をかけており、編集者のほうが順番待ちの状態です。それなら今は無名の著者を起用して「ベストセラーを生み出してみるか」と考える編集者も、ゼロではないのです。

出版企画書の書き方

実際に出版企画書を作成するにあたり、フォーマットとして必ず含んでおくべき項目は以下です。

 

①書籍のタイトル
企画全体を考えたうえで、ふさわしいタイトルを考案します。キャッチーで内容がすぐ想像できそうなタイトルが良いでしょう。また可能であれば、タイトルを補足するサブタイトル(数十文字程度のタイトル補足)も同時に考案しておいてください。

②企画内容
書籍の中で展開したいテーマをひとつに絞り、内容をわかりやすく説明します。

③企画意図/時代背景/想定する読者層
「なぜこの企画を書籍化すべきなのか」、「なぜいまなのか」、「どんな読者に刺さりそうなのか」を説明します。

④著者情報
作成者の名前はもちろん、経歴や実績も記載します。「なぜ私がこの企画の著者にふさわしいのか」を、理解してもらうことが大切です。

⑤類書
似たようなテーマで書籍化された類書のタイトルを、2~3冊記載します。その際はなるべく高い売上を記録した類書を選ぶようにすると、企画が通りやすくなります。同時に「類書と差別化できるポイントはどこにあるのか」も、しっかりと説明します。
出版企画書作成の際には、長く複雑な内容にならないよう注意してください。WordファイルでA4サイズの用紙1枚程度にまとめられれば、編集者も目を通しやすくなります。もし「企画内容や意図、背景などを説明しようとすると、長くなってしまう…」という場合は「企画書自体を簡潔にまとめる代わりに、構成案や見本原稿を添付する」など、体裁を工夫するとよいでしょう。 なお、ノンフィクションや学術出版だけでなく、小説を持ち込む場合でも、上記の企画書フォーマットに則った書類を添付すると、編集者の目に留まりやすくなります。

出版社の編集者へのアピールするには

出版企画書の作成と同時に考えておきたいのは、出版社の選定です。例えばビジネス書の出版を特徴としている会社へ料理本の企画を持ち込んでも、まず相手にはされません。自分自身の企画に合うジャンルの書籍を多く出版している会社はないか、あらかじめよく調査を進めておきましょう。また著者がSNSなどでフォロワーを増加させ、自身の販売促進能力を高めておけば、持ち込みの際に有利な条件としてアピールすることも可能です。 次に、実際の持ち込みです。出版社のスタッフとコネクションがまったくない状態であれば、方法として「飛び込み営業」や「郵送」などの手段が考えられますが、出版社の公式サイトに掲載されている「問い合わせ用メールアドレス」を活用し、出版企画書を送信するのが正規ルートとなります。もし内容に興味を持ってもらえた場合は、先方から返事があるでしょう。

もちろん上記の方法は、100%確実と言い切れません。「どうしても出版にこぎつけたい」という強い気持ちがある場合、プロの出版コンサルタントに相談する(有料)という手もあります。出版社自体が、このコンサル機能を備えている場合もありますので、まずは正規のルートから問い合わせをするのが基本となります。

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