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自分史をつくる! 自分史の基礎知識から制作のポイントまで徹底解説

著者:幻冬舎メディアコンサルティング 編集局・部長 伊藤英紀

「自分史」があらためて注目されています。自分史というと、人生の軌跡を残す一種の「終活」のようなイメージがありますが、最近は、個人事業主や会社経営者がブランディングの一環としてビジネスに生かすケースも増加しています。本項では、自分史の基礎知識から制作のポイントまで、その最新事情を踏まえて詳しく解説します。

自分史とは?

自分史とは、文字どおり自分自身の歴史(半生や生涯)を文章にしたものです。一般的な自伝や自叙伝は、ある分野で成功した人が自身の生涯を記録する立志伝であるのに対し、自分史は一般の人がこれまでの歴史を書きつづったものです。自分には誇れる功績もなく自分史に書けるようなことは何もないという人は少なくないと思いますが、しかし人生は人それぞれで、唯一無二の価値あるものです。その中には必ず光る何かがあるはずです。つまり、自分史は誰でもつくれるものなので、何らかの功績のある人がつくる従来の自伝や自叙伝とは異なります。

自分史はもともと、第二次世界大戦後に市民がそれぞれの戦争体験を記録する運動として一般化したという側面があり、その後1970年代に、歴史家の色川大吉さんが『ある昭和史―自分史の試み』(中央公論社)という本を出版したことで、さらに広く一般に認知されるようになったといわれています。

自分史の目的

自分史をつくる目的は人それぞれです。多くの場合、自分の生きた証を残したいというものでしょう。自分の歴史を本という形にすることで、家族や友人、知人、子孫にまで伝わり、ずっと存在し続けます。自分史は同時に「家族史」でもあります。子や孫や親族が、あなたの自分史を読み、自分たちのルーツを学ぶ貴重な資料となるかもしれません。

「人生100年時代」といわれるいま、リタイア後も長い人生が待っています。自分史という形でいったん過去を棚卸しすることで、残りの人生をどう生きるか、あるいは挑戦したいことを見つけたりして、楽しく有意義な人生を歩むためのツールとして非常に有用です。

一方、最近では自分史を自己ブランディングの一環や、ビジネスツールとして活用するケースも増えています。起業や転職など大きなキャリア転換をする際において、自分の強みや魅力などを周囲に伝えるために自分史はとても有効な手段となります。

自分史づくりで得られる効果

自分の歴史を振り返り、記憶からいろいろな体験やその時々の感情を呼び起こして文章にすることは、自分自身を客観視し、再認識していく作業でもあります。また、過去の体験を再解釈することにもつながります。たとえば、人生を大きく左右するような挫折や辛い体験であっても、あらためて見つめ直すことで解釈が変わるかもしれません。負の過去だと思っていたものが、実は大事な意味があったと再発見できれば、それが残りの人生をより充実したものにする糧になることもあるでしょう。

自分史をつくることは、生きがいややりがいを取り戻すきっかけにもなります。忙しく働く中で忘れていた好きなことや趣味を記憶から呼び起こせるかもしれません。そうなれば自分のこれからの人生がより豊かなものになるに違いありません。

自分史づくりが新卒の就職活動でも見直されているのが、この自己分析の効果です。これまでの経験を冷静に分析することで、自分の長所や短所、価値観を再認識することができます。

自分史の作成方法

自分史を作成するといっても、多くの人は長い文章など書いたことがないので、書き方がわからないと思います。実は自分史を作る際に、こうしなければならないという決まりはありません。書き方、作り方は自由です。自分の歴史を振り返り、書きたいことを書いていけばいいのです。

とはいえ、何もないところからいきなり書き始めるのは難しいのも確かです。そこで自分史を作成する際のポイントをご紹介します。

まず、自身の年表(自分史グラフ)を作りましょう。経歴や職歴、強く記憶に残っていることなど、人生の主な出来事を書き出していきます。同時に、それぞれの時代に起きた社会的事件や流行、トピックなども記します。それによって当時の自分の置かれた状況や感情を思い出しやすくなり、より具体的に自分史が描けるようになります。

自分史年表はパソコンや手書きで自作しても構いませんが、インターネット上に無料のテンプレートがいろいろとあるので、気に入ったものをダウンロードすると便利です。例文なども付いていて書きやすいのでおすすめです。自分史年表を簡単に作れる無料アプリもありますから活用するのもいいでしょう。

年表ができたら、各年代において思い出せる記憶を文章にしていきます。この段階ではうまく書こうとか、何を書いて何は省くとか、文章の量などは気にする必要はありません。思い出したことを自由に書いていきましょう。

その際に、時期ごとに起きたエピソードを箇条書きにするとよいです。それぞれのエピソードの背景や理由を探り、どれくらい話を展開できるか、深掘りできるかなどを考えます。たとえば、高校生の時を振り返り、「第一志望の大学受験に失敗した」(その理由は?)→「勉強不足だった」(なぜ勉強しなかったのか?)→「部活のサッカーに打ち込んでいたから」……、というように広がっていきます。

次に、箇条書きしたエピソードに優先順位をつけ、本の構成を考えます。ここでどんな本にするかを決めます。どの時代にもまんべんなくエピソードがあれば、時系列に沿って順番に書いていけばいいでしょう。また、企業オーナーや起業家で仕事絡みのエピソードが多ければ、自社の事業やビジネスに焦点を当てて経営者としての自叙伝にすることもできます。

自分で書くか、依頼するか

自分史は必ずしも自分で書く必要はありません。文章を書くのが苦手な人も多いと思います。実際、1冊の本を書き上げるという作業は容易ではありません。どうしても書けない場合は、自分史の作成を手がける出版社や印刷所に依頼するのも一つの方法です。プロのライターに書いてもらったり、インタビューをもとに書き起こしてもらった原稿に自分で手を加えたりすることもできます。

特に、自分史をビジネスに活用したい企業経営者や事業家の場合は、「企業出版」という手法を活用するのがおすすめです。

企業出版は、企業のブランディングの一環として目的をもって行う出版です。通常の商業出版とは異なり、出版そのものが目的ではなく、読者ターゲットと企業のゴールを明確にした上で、出版後の反響を目的とする点が最大の特徴です。「営業先の新規開拓」「人材採用」「集客強化」「企業の認知度アップ」「商品・サービスの認知度アップ」「競合他社との差別化」など、企業が抱えるさまざまな課題の解決手法の一つとして用いられる出版方法です。

企業出版では、「周年事業」も大きな効果を発揮します。多くの企業が会社設立10周年、20周年、30周年などの節目に、創業や設立から現在に至るまでの歴史や主要なできごとを振り返り、記念として社史(周年史)を制作します。これを活用して、自分史と社史を重ね合わせた本をつくることも可能です。会社のこれまでの軌跡を振り返るとともに、その根底に流れる自身の経営者としての理念や思想を半生も併せてまとめるのです。

企業出版は、企業理念、将来ビジョンなどを全社員と共有するチャンスです。しっかりとした読まれる内容の社史(自分史)をつくることで、社員の結束、モチベーションアップ、離職率の低下など多くの効果が期待できます。

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