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【連載第4回】社員のロイヤルティとモチベーションが高まる! 全社員に自社ブランドへの誇りを持たせる“インターナルブランディング”とは

著者:細田 悦弘

ブランディングといえば、通常、顧客など社外(エクスターナル)に対していかにブランドを構築するかに重点が置かれます。しかし近年、意識の高い企業は社内(インターナル)に対するブランディングに取り組みはじめています。

戦略的な社内浸透術……インターナルブランディングという手法

社員は、社会=ステークホルダーとの接点を担う企業の窓であり、CSRの担い手・ブランドの体現者です。その社内スタッフに対して「ブランド・アイデンティティー(自社らしさ)」や「CSRマインド」を理解してもらい、共感を獲得する。そして、社員が自覚と誇りのもとに、自発的・主体的に「自社ブランドが目指す姿」を日々の行動に反映させていく。このような戦略的な社内浸透術が、インターナルブランディングです。

企業内のすべての部署の社員が自社ブランドを意識して業務にあたれば、結果として社外に対するブランド価値が向上するという考え方です。また、この活動は社員に対する意識変革を促すとともに、全社的な組織風土の強化にもつながります。

社内スタッフのブランド意識を醸成するにあたっては、これまでの事業競争力の側面だけでなく、今日のようなCSRが重視される時代の価値観を織り込むことが必須となります。 ステークホルダーが企業を選択する基準となる「ブランド連想」の代表的なものは、製品・サービスなどの卓越性です。

昨今は「安心と安全」「信頼性」「選ぶ人・使う人へのやさしさ」「環境へのやさしさ」なども挙げられるようになりました。 このことは、企業への期待のなかに時代の価値観である「サステナビリティ要素」が色濃く反映していることを物語ります。これをキャッチアップし、どれだけ事業活動に取り込めるかが競争優位の決め手になってきています。社内スタッフのブランド意識の醸成においても、大切な要素です。

「一人ひとりが自社ブランド」としての自覚と誇りを社員に持たせる

ブランド・アイデンティティーやCSRマインドを「社内浸透」させるというと、上から目線で「落とし込む」「根付かせる」「一方的に伝播する」といったニュアンスを感じるかもしれません。 しかし、CSRの原動力は社員の自主性・主体性です。そのためには「共感」を得ながらやる気に点火することが第一です。

まず、社員に対して企業の考え方や価値観、あるべき姿や目指す方向、そして自社らしさを伝えます。こうしたコーポレートブランドの訴求を通じて企業の想いを社員と共有し、共感を得ながら個々の社員の意識・活動を同じ方向に向けていくことが重要です。

そのゴールイメージは、「社員一人ひとりが自社のブランドのあるべき姿、日々変化するステークホルダーの要請や期待をしっかりと認識し、“一人ひとりが自社のブランド”としてブランドを体現していく意識を持って業務に携わること」です。

不祥事が起きないような組織風土づくりを実現しよう

近年、企業の社会性が問われるようになり、企業のコンプライアンスについても厳しい目が向けられるようになっています。 一般的に「コンプライアンス=法令遵守」ととらえられがちですが、この認識では不十分です。法令遵守はもとより、倫理的に問題がないか、そして社会的に望ましいかというレベルまで見据えた企業の活動が今は求められているのです。

インターナルブランディングは、こうしたコンプライアンスの側面からも注目されています。インターナルブランディングは、社内に対して自社のブランドを認知・理解、浸透させることで、企業哲学・理念を事業活動のみならず従業員の立ち居振る舞いに及ぶまで反映させようとするものです。社員の行動がブランド意識に基づく「一段高い判断基準」をもって行われるようになるため、法令を遵守するだけでなく、社会からひんしゅくを買わない、さらには「さすが」と一目置かれる存在になることが期待できるのです。

人を24時間見張るような「監視のガバナンス」には限界がありますし、命令で強制的に活動を強いることなどできる時代ではありません。従って、いかに監視するか、いかにやらせるかということよりも、経営層や社員の持つ使命感や倫理観、それに支えられるプライドや情熱に訴えかけ、自発的な動機付けを埋め込むアプローチがベストです。 「不祥事を起こさない取り組み」を超えて「不祥事が起きないような組織風土づくり」のためにインターナルブランディングが有効なのです。

インターナルブランディングは、社員が自社ブランドを意識して行動することで、社外のブランド価値が向上することに貢献します。それだけではなく、現代において強く求められているコンプライアンスにも有効な、今の企業に欠かせないコンセプトなのです。

(こちらのコンテンツは書籍『選ばれ続ける会社とは 〜サステナビリティ時代の企業ブランディング』から抜粋しています)

こちらのコンテンツはこの書籍から抜粋しております。

書籍名:選ばれ続ける会社とは 〜サステナビリティ時代の企業ブランディング 著者:細田 悦弘

細田 悦弘
中央大学大学院 戦略経営研究科 フェロー / 一般社団法人日本能率協会 主任講師
1957年、愛知県生まれ。中央大学法学部卒業後、キヤノンマーケティングジャパン(株)入社。営業からマーケティング部門を経て、宣伝部及びブランドマネジメントを担当後、CSR推進部長を経験。現在は、同社・CSR本部に所属しながら、企業や大学での講演・研修講師・コンサル・アドバイザーとしても活躍中。

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