書籍出版を活用して、ブランディングに成功した心療内科の事例
医療業界では、厳しい広告規制が敷かれています。特に心の病に関しては、世間の認知度が低く、正しい情報を伝える場が限られていました。今回は、一冊に大量の情報が記載できる「書籍」で、自身の願いを示した結果、患者やその家族からの問い合わせが殺到した医院の事例を紹介します。
「最新の医療情報」を伝えるため、改訂版の発刊を決意
1983年に開業し、「患者さん第一主義」を掲げる「医療法人社団明萌会大塚クリニック」は、心療内科を専門分野とする病院であり、地域住民の心の拠り所です。
名誉院長を務める大塚明彦先生は、『その痛みは「うつ病」かもしれません』という書籍を発刊していましたが、しばらくして法改正や治療法の更新などが重なり、掲載されている情報が古くなっていました。
加えて大塚先生には、発刊して時間がたった今こそ伝えたい思いが募っていました。「心療内科にまつわる知識や自分の考えを世に広く発信して、もっと多くの人に心の病のことを知ってほしい」「長く心の病に苦しんでいる人に、その人らしい人生を取り戻してほしい」。幻冬舎より改訂版を出版した背景には、こうした願いがありました。
わずか1ヵ月で重版決定…読者から感動の声も続々殺到
出版後は、事前に出展依頼を受けていた蔦屋書店・湘南t-siteの「心の病に関する本」フェアに参加し、読者が直接手に取れる機会を増やしました。さらに、朝日新聞や読売新聞の朝刊一面下段に並ぶサンヤツ広告へ計4回もの出稿をすることで、書籍の認知度を高めました。
戦略的な広告展開の効果はすぐに表れました。出版後、クリニックへの問い合わせが急増、わずか1ヵ月で重版が決定したのです。
特に、精神病患者の方やその家族からの反響は大きなものでした。クリニックには「感銘を受けた」「ぜひ先生に会いたい」という感動の手紙が殺到。出版後1年が経過した今でも、書籍経由の問い合わせや来院が絶えません。
一般の方だけでなく、医療従事者の方の間でも書籍の口コミは広まっていきました。大塚先生のもとには、学会での発表依頼をはじめ、製薬会社からの講演打診も舞い込むようになりました。書籍に記した願いを、さらに自分の声を通して伝える機会が創出されたのです。
反響を実感した大塚先生は、続いて『「心の病」の嘘と真実』『「精神病」の正体』を幻冬舎から発刊。書店にて同著者の書籍が複数並ぶことで、大塚先生、そして医療法人社団明萌会大塚クリニックの大胆なブランディングにつながりました。
書籍だからこそ盛り込める「圧倒的な情報量」
圧倒的な情報量が盛り込める「書籍」は、心の病に関する正しい情報を伝え、症状への理解を深めるために最適のツールでした。
「自分の願いを伝えたい」。医師の方の強い気持ちは、書籍によってこそ表現できるのです。