周年記念本を出版し、ブランド力を高めた総合器機メーカーの事例
周年記念本を制作した企業の多くが、かけた時間やコストの割には成果が得られていない…と不満を抱いています。今回は、社外の人でも楽しめる周年記念本を出版したことによって、ブランディングに成功した総合器機メーカーの事例を紹介します。
社内だけでなく社外の人でも楽しめる周年記念本を制作
「株式会社ナリカ」は顕微鏡や計測機器、静電気発生装置、雲発生実験器など、子どもたちが実験の楽しさを体感できる理科教材、科学グッズを開発している総合器機メーカーです。同社は誕生100年を記念して、周年記念本の制作を検討していました。
これまでにも周年記念本は出版していましたが、100周年を迎えるにあたり、社内や取引先だけでなく広く読まれ、一般にも流通できる書籍作りを希望していました。そして出版したのが、書籍『ナリカ製品とともに読み解く 理科室の100年』です。
「我が社はこのような実績があり、今はこのような事業を展開しています」と自社の強みを全面に押し出したよくある周年記念本ではなく、56万台以上使用されている『手回し発電機ゼネコン』や親子で楽しめる『ペットボトルロケット』の紹介など、「こんな実験機器があるよ」「実験って面白いよね」という、理科の授業で大切にしたい“ワクワク”を一般の人に伝えました。さらに、でんじろう先生や東京大学の教授のインタビューを記載することで、理科教諭や教育関係者でも興味を持ちやすい内容にしました。
出版後は三省堂池袋店で大々的な展示会を開催
出版後は、大口の取引先や教育ITソリューションEXPOで見込み客に配布して、書籍の認知度を高めました。さらに、三省堂池袋店にて書籍の特設コーナーを設置。実際の器機を展示し、実験器具の歴史を紹介していきました。さらに、昭和初期のカタログ印刷に使われた活版のポストカードを販売したり、双眼実体顕微鏡SOREO(ソレオ) SR-40を使用できるスペースを設けたりするなど、大人も子ども楽しめる展示会を開催しました。
『教育ジャーナル』をはじめとした媒体に広告を掲載したところ、理科教材の買い替えの時期には既存顧客からの取引額が増加しました。加えて、『科学』『教育養成セミナー』『現代科学』『RikaTan』など、教育関連の媒体でも取り上げられるようになったのです。
「周年記念本でブランディング」という選択肢
周年記念本は、社外の人へ自社の強みを知ってもらうのに絶好の機会です。活用方法次第では、確かなブランディングツールとして作用し、事業拡大の一翼となりえるのです。