前例踏襲型の課題解決に囚われている企業は淘汰される

【連載第3回】社員が活躍できる営業組織づくり 3つのチェックポイント

インターネットの普及により消費者の購買行動が変化している現代。その変化についていくことができる営業組織だけが10年後も生き残ることができる営業組織であることは間違いないだろう。本コラムでは10年後も生き残ることができる営業組織をつくるために押さえておくべき3つのポイントについて解説いたします。

チェックポイント①営業プロセス 無駄な業務を課して、営業時間を浪費させていないか



現代の日本は消費者の「いいモノをより安く」という意識がさらに強くなってきており、手にする商品情報の量が飛躍的に増大している。要するに、インターネット経由での情報収集が主流になってきたということだ。

以前は、とりわけ法人の購買行動においては、まず営業マンを呼んで直接、話を聞くところから始まり、相見積もりを取って検討する、という流れだった。しかし、もはや変化は明らかである。

インターネットの活用で有効なのは、購入後もレビューや感想を寄せ合うことで、情報共有を行える点だ。「このサイトを見て買ったが、確かに良かった」とか、「デザインはいいのだが、機能面では使い勝手をもう少し向上させてほしかった」などと、売り手発信の情報だけではなかなか伝わりづらいことまで知ることができる。

購入予定者とすでに購入した人との間で情報をやり取りして、より満足度の高い購買行動をしようとしている。商品の認知から比較、レビューに関するまでインターネットを利用する。消費者は目的のはっきりした購買プロセスをとるようになってきたのだ。

かつて情報提供は営業マンが担っていた。インターネットのない時代は情報が限られていたため、営業マンが情報を持ってきてくれることに意義があった。しかし、今は営業マンが顧客のところにわざわざ情報を持っていったところで、「そんなのもう知ってるよ」と言われるのがオチだろう。このような営業は、インターネット全盛の時代にそぐわない無駄な業務といわざるを得ないだろう。

チェックポイント②社員の意識 「いつかは転職」を前提に働く社員が増えていないか



過去、終身雇用のときは「あと5年頑張れば部長あるいは役員になれる」というような夢があったため、3K(気合、根性、経験)にも耐えることができたかもしれない。しかし、今の若い営業マンたちは、有能な人ほどさっさと転職する。せっかく育てた人材が辞めていくのは会社にとって大きなリスクである。また、下手をすると顧客をも失うことが十分に考えられる。

現代の若い社員は上司の「俺の背中を見て学べ」「俺についてくればいいんだ」といった態度に拒否反応を示す。その背景には、会社を前提にキャリアプランを描くのではなく、スキル向上を自分の成長やキャリアアップとする考え方があると思われる。

「どこに行っても通用するスキルを身につけよう」という発想は、転職が当たり前となった現在では、自然な考え方だといえる。そのため最近は、営業部門もスペシャリストとして採用する企業が増えている。

社会的に情報管理強化の意識が高まり、転職しても顧客情報を持ち出せなくなった事情も関係しているだろう。顧客を持っていけるなら転職しても自分なりのやり方を押し通して仕事はできるかもしれないが、持っていけないことを前提に考えるなら、どこへいっても重宝されるスキルが不可欠だと考えているのだ。

他方、どれだけ情報管理が徹底されようと、人材の流出により顧客を失ってしまうことは容易に想像がつく。「顧客の流出」とは顧客情報を意味するとは限らないからだ。優秀な営業マンがいなくなれば、その顧客はもう自社と付き合わなくなるかもしれない。そうした事態も往々にして起こりうるだろう。

2割の優秀な営業マンが転職したらどうなるだろうか。情報は守られても関係が消えれば、情報を失うより痛手は大きい。人材の流動化による企業側の損失としては見過ごせない点だろう。

これまでは「いや、ちゃんと処遇しているからうちの営業マンは辞めない」と言い訳する経営者もいただろうが、これからは処遇だけでは人材を引き止められない。昔は給料を上げていれば、過酷な労働環境でも社員をつなぎ止められたかもしれない。だが、今の営業マンは違う。いまの営業マンたちは常識的な勤務形態と、結果が出せる仕組みがあり、そのなかで自己の能力を発揮することにこそやりがいを見いだすのだ。

時代が変われば人の意識も変わる。繰り返すが、必要なのは変わったことを嘆くのではなく、変化にいかに適応するかを考えることだ。

チェックポイント③成長戦略 現状の体制と戦略で10年後の成長が見込めるか



ここまで悲観的な要素を縷々述べてきたのは、なにも不安を煽ろうというわけではない。いかに時代は変わり、いかに人々の意識は変わったかを直視したうえで、にもかかわらず営業の姿が旧時代のままであることを認識していただきたいがためである。

これまでの営業改革は、「今回も鈴木本部長にお願いしてなんとか乗り切ってもらいましょう」と言い、「任せてください。その代わり、山田課長と佐藤課長は替えて、大阪と長野から一人ずつ元気な営業を連れてきます」と外科的手術をやっておしまい。このような、改革と呼ぶにはほど遠い場合がほとんどではなかっただろうか。人材の配置転換などで営業組織を刷新するという対処では根本の解決にはならず、これからは時代に合うような体質改善を図らねばならない。

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こちらのコンテンツは書籍『ハイブリッドセールス戦略―法人営業部隊の刷新』から抜粋しております。

書籍名:ハイブリッドセールス戦略法人営業部隊の刷新

著者:吉田 融正

1983年東京理科大学経営工学科卒業後、日本アイ・ビー・エム株式会社に入社。営業課長、営業部長、副社長補佐を歴任する。1994年米国IBMに出向し、コーポレートストラテジー、PCカンパニーへ配属。1997年米国シーベル・システムズに入社し、日本シーベル株式会社の設立に参画。取締役営業本部長に就任。2002年1月ブリッジインターナショナル株式会社を設立し、代表取締役社長に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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