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日本に在宅医療を広めた医師の事例…「一冊の書籍」がいかに社会を動かしたのか?

著者:GMCブランド戦略室

世界でも類を見ない超高齢化社会に突入した日本。医師が患者のもとを訪問し、終末期の緩和ケアなどを行う在宅医療が、時代に即した医療の在り方として、現在注目を集めています。しかし、5年前にはまだまだ認知度が低く、そのメリットや社会的意義が知られていませんでした。 今回は、「在宅医療をもっと広めたい」という熱い思いを持ち、書籍出版によりその願いを叶えた医師の事例を紹介します。

「在宅医療をもっと広めたい」という思いで、書籍の出版を計画

石賀丈士医師は、在宅医療の重要性をいち早く説き、在宅医療専門のクリニックを開設しました。日々、患者の命に寄り添い、その希望に耳を傾け、在宅医療がいかに人々の救いになるか、痛感してきました。

しかし当時は、ほとんどの人が在宅医療をよく知らなかったため、本人の望みに関わらず、病院のベッドで最期を迎えていました。

「もっと多くの人に、在宅医療について知ってほしい」。石賀医師が願いを込めて踏み切ったのが、書籍『最期まで、命かがやいて』の出版でした。

書籍では、在宅医療について、医療者の役割、家族の役割など基本的な知識をしっかりと解説した上で、石賀医師が実際に担当した患者のエピソードを紹介しました。

患者の家族に向けて、実践的な在宅緩和ケアのノウハウを示すとともに、病気の経過や、患者とその家族の気持ちを丹念に描いていき、生と死の在り方について深く考えるきっかけとなるような一冊としました。

流通戦略としては、地元地域を中心に知名度を上げるべく、三重県および愛知県と、大坂や東京の書店などに配本しました。

出版後、有名番組から出演依頼が殺到…商業出版のオファーも

在宅医療を受ける人々のほとんどは、末期がんなどで余命わずかと診断されています。それでも、残された時間を家族と精一杯生きようとする患者たち。書籍を通じて、その姿を発信すると、同じ境遇にあるがん患者とその家族などから、大きな反響がありました。

「勇気づけられた」「在宅医療の素晴らしさを知った」。医師のもとに寄せられたたくさんのコメントが、書籍出版の意義を証明しています。

また、出版を機にメディアからも注目される存在となりました。NHK『クローズアップ現代』からの取材や、テレビ東京『ガイアの夜明け』の出演などを通じ、全国で知名度が上がり、在宅医療の専門医として認知度が高まりました。

その他にも、書店で本書籍を見た出版社から取材申し込みがあり、記事が掲載されました。そしてその後、同出版社から商業出版のオファーがあり、無料で2冊目を出版する運びとなりました。

この事例では、実は有料の広告宣伝はまったく行っていません。それにも関わらず、メディアから注目を集めたのには理由があります。

テレビ局や出版社などメディアで働く人々は、書籍の新刊をこまめに確認して、興味深い情報がないか常に探しています。また、番組や雑誌で、専門家の意見がほしいときにも、書籍を参考に人選を行います。その裏には、コンプライアンスが厳しくなった現代で「著作のある人なら、まず間違いない」という信頼感があるのです。

書籍出版は「その分野の専門家」としての知名度を確実なものとする

本事例のように、著作を出版することはメディア出演へのパスポートとなりえます。書籍を制作するプロセスにおいて、事実確認とデータの裏付けが徹底的に行われていることは、メディア業界においては常識として知れ渡っており、専門書の著者は、テレビのキャスティングや雑誌の取材対象者選定などで候補者として名前があがるようになるのです。

そして、「その分野で書籍も出版している専門家」としての信頼と知名度が他のメディアも通じて増幅され確固たるものになると、「自身が本当に伝えたかったこと」の賛同者が大量に現れ、社会が動くような現象まで巻き起こるのです。

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