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差別化戦略とは? 目的・方法・事例を徹底研究

著者:幻冬舎メディアコンサルティング 編集局・部長 伊藤英紀

変化の激しいビジネスの世界。新商品やサービスが次々と生まれ、競争は激化するばかりです。勝ち残っていくためには、他社にはない独自の製品やサービスを提供していくことが不可欠になります。つまり差別化ですが、他社との差別化には効果的な戦略があります。本項では、差別化戦略についてわかりやすく解説していきます。

差別化戦略とは?

差別化戦略とは、ビジネスにおいて競合他社との差別化を図る戦略のことです。米国の経営学者マイケル・ポーターによって提唱された「競争優位の戦略」の1つで、他社に対して圧倒的な差別化を図ることにより、価格が高くても売れることを目指すというものです。差別化戦略の代表例は高級ブランドメーカーです。顧客が魅力的と感じるブランド力を構築し、高くても売れる仕組みをつくっています。

ちなみに、競争優位の戦略にはほかに、低価格を武器にした「コスト・リーダーシップ戦略」や、経営資源を特定の地域や消費者などに投入する「集中戦略」があります。

差別化戦略の目的

差別化戦略がなぜ必要なのでしょうか。多くの商品やサービスがあふれる現代、消費者から自社の商品やサービスを選んでもらうのは至難の業です。

たとえば、アルコール飲料でも家電製品でもスマートフォンでも、メーカーは新しい商品や製品を次々と売り出しますが、消費者からすると、その違いはよく分からないのが実態でしょう。どれも美味しいとか、高性能を謳っているうえ、価格もそれほど大きくは違いません。したがって、消費者やユーザーの多くは「何となく選んでいる」というケースが少なくないのです。企業としては「他社と自社の違い」を明確にし、ユーザーや顧客に選んでもらうことが重要になってきます。それが差別化戦略です。

差別化戦略の方法

効果的な差別化戦略としては、①マーケット(市場)の差別化、②商品やサービスの差別化、③価格の差別化などがあります。以下、それぞれについて差別化戦略を成功させるためのポイントを見ていきましょう。

①マーケット(市場)の差別化
差別化戦略では最初に「自社の強み」を認識し、「ポジショニング」を決めます。その際に市場分析を行いますが、市場分析は通常、3C分析やSWOT分析などのフレームワークが使われます。その中で自社の強みや弱み、競合会社との関係を明らかにし、自社の立ち位置を明確にします。 /

この際、顧客ターゲットを決めることが重要です。自社の強みが最も訴求できるターゲット、自社が想定しているユーザー(ペルソナ)を具体的かつ明確に設定します。

②商品やサービスの差別化
マーケットの差別化ができれば、必然的に「商品やサービスの差別化」につながります。自社の商品やサービスを、顧客ターゲットに対してより訴求できるものに磨き上げたり、進化させたりしていきます。

③価格の差別化
これは、競合との間に大きな価格差を出していく戦略です。一般的には低価格を武器にしますが、いまの時代、単に安いだけでは訴求力が弱く、レッドオーシャン化の波に飲み込まれます。一定の品質を保ちながら、あるいは高品質でありながら、リーズナブルな価格を実現することが大事になります。

差別化戦略の成功事例

以下では、差別化戦略の成功事例をいくつか見ていきましょう。

①スターバックス
スターバックスは、差別化戦略の成功例の代表格といえます。多くのカフェがしのぎを削る中で、お洒落で洗練されたイメージが持たれて、ファンに支持されています。実は、スターバックスはテレビCMをまったく行っていません。それでも知名度は抜群で、顧客はスターバックスへ足を運びます。快適な空間で、厳選されたおいしいコーヒーを飲みながら、仕事をするビジネスパーソンも多くいます。数あるカフェチェーンの中で圧倒的な存在感を示しています。

②モスバーガー(モスフードサービス)
モスバーガーは、創業当初から同業他社との差別化を図ってきた会社です。他社に比べてメニュー数が豊富で、コストをかけて味を徹底追及することに特化してきました。結果、他社に比べて高価格ではあるけれども、高品質という独自のポジションを確立し、多くのファンを獲得しています。価格戦略に巻き込まれることなく、現在、ハンバーガー業界で第2位の地位を築いています。

このほか、差別化戦略の成功事例としては、今治タオル、ユニクロ(ファーストリテイリング)、無印良品、任天堂、オリエンタルランド、ワークマン、業務用スーパー(神戸物)などが有名です。

差別化戦略の失敗パターン

差別化戦略で失敗する代表的な例は、前述した「価格の差別化」における低価格戦略です。低価格戦略は、消費者やユーザーにとってはありがたい面がありますが、大量仕入れや大量生産ができる大企業でないと、会社は疲弊していきます。ですから差別化戦略では、安易な価格勝負ではなく、自社の商品やサービスの質を重視することが大切です。

もう一つ、失敗しやすいのは、差別化が自己満足に陥っているケースです。機能満載な製品や奇抜な商品は、競合他社との差別化は図れたとしても、消費者やユーザーが欲しているものでなければ、一時的な売り上げアップにはつながっても、長続きはしません。他社との違いを出すだけでは不十分で、自社の強みを生かしながら、ユーザーニーズに沿った商品やサービスを提供することが、顧客満足度の向上には不可欠だといえます。

差別化戦略には、上記のようにさまざまなものがありますが、最近注目されている手法として「書籍」の活用があります。「企業出版」と呼ばれるもので、多くの企業にとって差別化戦略の最適解になり得る一つの方法といえます。

企業出版は、読者ターゲットと企業のゴールを明確にしたうえで、出版後の反響を目的とする点が最大の特徴です。「競合他社との差別化」においても絶大な効果を発揮する手法であり、差別化戦略の具体的な施策として、企業出版の活用は十分に検討の価値があるといえます。

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