会社がつくる保育園!?「企業主導型保育」とは
皆さんは「企業主導型保育」というものをご存知でしょうか?
近年待機児童問題が多く注目されている中で、新たに注目されているのがこの「企業主導型保育」と呼ばれる事業です。
これは、企業主導型の事業所内保育事業を主軸として、多様な就労形態に対応する保育サービスの拡大を行い、仕事と子育てとの両立に資することを目的とし、平成28年5月に内閣府主導で新設された制度です。
特徴としては、
・働き方に応じ、多様で柔軟な保育サービスを受けられる。
(延長・夜間、土日の保育、短時間・週2日のみの利用も可能)
・複数の企業が共同で設置することができる。
・他企業との共同利用や地域住民の子供の受け入れができる。
・運営費・整備費について認可施設並みの助成が受けられる。
という点が挙げられます。
「企業主導型保育」を一言で表すと、「会社がつくる保育園」です。
カテゴリでいうと、『認可外保育施設』に位置付けられる保育園となりますが、上記でも説明したように、自治体からの助成金を受け取ることができます。
認可保育所を新しくつくる際に、ボトルネックの一つとされてきたのが、自治体(市区町村)の消極的な姿勢です。
本来であれば、基準を満たしているのであれば、自治体は許可を拒むことができません。
しかし、初期費用の自治体上乗せ部分の拠出を絞ったりすることで、実質的に新規開園が阻害されている事態が起こっています。
自治体が、将来の少子化、保育所余りを懸念して、新規開園数を過小に見積もっていたり、反対運動等で認可保育所の建設が難航していたりと、事業者が新しく認可保育所を作りたくても、なかなか開園ができないというジレンマがあるのです。
今回の「企業主導型保育」はそういった自治体とのやり取りを省略でき、かつ認可保育所なみの助成金が国から出るということで、待機児童対策の切り札として、期待が寄せられています。
「企業主導型保育」のメリット
では、補助金がでるというメリットの他に、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか? 企業側の大きなメリットとしては、
① 優秀な人材の確保。
→社員の仕事と子育ての両立を支援し、優秀な人材の離職を防ぐ。
(産休/育休からの)復帰計画通りに人事計画を立てることが出来る。
② 採用力の強化。
→大学生や転職者にインパクトを与え、女性の雇用度を高める。
③ 長期的なブランディング。
→企業のブランドイメージのアップやCSRの活動に繋がる。
また、従業員側の大きなメリットとしては、
① 仕事復帰の計画が立てやすい。
→保育所探しに悩まされることなく仕事に復帰できる。
② 煩雑な手続きが不要。
→保育所に入るためのポイント稼ぎや、煩雑な手続きに貴重な時間を奪われない。
③ 認可並みの保育料で柔軟な保育サービスが受けられる。
→助成金が支給されるため、認可並みの保育料で預けることが出来る。
働き方に応じた柔軟な保育サービスを受けることが出来る。
このように、企業側にとっても従業員側にとっても、「企業主導型保育」という制度にはメリットが多くあります。
また、「企業主導型保育」は、地域の複数の企業が共同で保育所をつくることができ、任意で他の企業や地域のお子さんを受け入れることもできるため、地域の実情に応じて、かなり柔軟な運営ができるようになっています。
今後の「企業主導型保育」
これまでもお伝えした通り、「企業主導型保育」には、待機児童問題にスピーディーに対応でき、保護者の多様な働き方に柔軟に合わせられるメリットがありますが、デメリットとしては、認可事業ではないため、行政の監視機能が働かず、質の担保が各事業者に委ねられている点があげられるでしょう。
待機児童解消のために、このような様々な取り組みがなされています。しかしながら、新しい制度をつくり、保育所の数を増やすだけでなく、保育士の処遇改善や保育の質の向上といった、根本的な部分を忘れないように、両輪で政策を進めていく必要があるといえるでしょう。
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