日常で使えるコーチングの基礎
コーチングは主に、「相手に質問を投げかけ、相手から答えを引き出すスキル」と言われています。
よく誤解を受けやすいのが、コーチングを使えば相手を従わせることができるという思い込みです。
しかし、そんな甘い期待を抱いてコーチングを導入したところで、期待通りの結果は得られないでしょう。なぜなら、コーチングは決して、自分の言うことを聞かせるための手法ではないからです。
では、コーチングとはいったいどのようなものなのでしょうか。
日常生活での例を踏まえて解説していきます。
重要になるのは距離や位置
部下や商談相手と話す際にも、話しやすい距離や位置というものが存在します。
距離や位置に意味があるのかと思う方もいらっしゃるかと思いますが、このような些細な部分も、実は重要になっているのです。
人にはそれぞれ、心地よいと感じるスペース、「パーソナルスペース」というものが存在します。その部分に入り込まない程度かつ、話を聞き出しやすい位置を工夫する必要があります。
面談をしたり、誰かと食事に行く際など、一般的にはお互いが向かい合って座るかたちが多いのではないでしょうか?
しかし、気軽に話をしてもらいたいとき、相手に話をよく聞いてもらいたいときには、対面で着席するよりも、AもしくはBのような位置に着席することが重要です。
たったこれだけのことでも、相手に話の伝わり方や、その場の雰囲気が大きく変わることとなります。
しかし、先に述べたように、お互い向き合って着席をすることが一般的と言われています。そんな中で隣に急に着席をすると、相手に不信感を与える可能性も生じてしまいます。
相手によってはそのまま意図を説明できる場合もありますが、そうでない相手、例えばお客様であれば、「資料を見せながらお話を進めたいので…」、部下であれば「対面に座るよりも声が聞こえやすいから」などと説明することもできます。
あくまで相手にとって心地よい場所であることが前提であるため、必ず対面での着席が良くない、という訳ではありません。相手にとって心地よい位置というものを尊重しましょう。
話の聴き方、質問の仕方
コーチングのスキルを活用する場面においては、あくまで相手が主役となり、効き役となるこちら側は脇役という立ち位置にあります。
良い話の流れとしては、相手に多く話をしてもらうことです。これは、営業の商談にも言えることです。
目安としては、相手が7割話をして、自分は3割程度話すくらいの認識となります。あくまでもこちら側は脇役であるということを忘れてはいけません。
また、相手の話は基本歴に遮らず、相手に興味を持って話すことを心がけましょう。相手の話を聞くからと言って、必ず同調しなければいけない、ということではありません。自分とまったく違う価値観を正しいと主張された場合も、反論する必要はなく、「このような考え方もある」と思うことが重要です。
聴き方として相槌も重要になってきますが、そもそも相槌とは、言葉や反応だけではなく、視線、表情、姿勢や声のトーン、そして話の間も重要と言えます。
相手の言葉や重要だと思ったことを繰り返して言うだけでも、相手から見ると「わかってもらえた」「きちんと話を聞いてくれている」と好印象を持たれる可能性が高まります。
質問の仕方に関しても、どう質問していけばいいかわからない場面に出くわすこともあると思います。
例えば、営業で初めて会う方と商談をする場合など、どう質問を行っていけば良いのでしょうか?
質問のテクニックとして、まずは話しやすいテーマ、身近なテーマから質問することを心がけましょう。
質問が抽象的な、大きなテーマで質問してしまうと、相手も答えづらく、困らせてしまいかねません。
相手の業務内容など、細かな作業について質問することで、相手も答えを返しやすくなるのです。
まとめ
ここまでコーチングについて、日常的に使用できるスキルを述べてきましたが、コーチングに向かない場面というものももちろん存在します。話のスピードを重視した場面や、聞きたい内容に関して相手の知識が低い場合など、すべての場面で万能に使えるスキルではありません。
しかし、相手の心に自然に入り込み、話の流れや雰囲気自体を和らげる際、コーチングスキルは非常に役立つものとなります。すぐに身につくものもあれば、習得に難しさを感じるものもあるかもしれません。まずは日ごろの会話から取り入れてみてください。
- 【ダウンロード資料】> 業種別・課題別にみるブランド戦略サポート事例集
- 【企業 ブランディングコラム】> 人を増やさずに営業力の強化 中小企業のための“全員営業”戦略とは?