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2017年医療情報発信の展望と医療機関が押さえておくべきポイント

著者:GMCブランド戦略室

2016年末に大手医療情報キュレーションメディア(記事とりまとめサイト)が信頼性に欠ける内容や不適切な記事を掲載していたとしてさまざまなメディア上で問題としてとりあげられました。

インターネット上では、膨大な医療情報が日々発信されていますが、上記メディアだけではなく、信憑性にかける内容が掲載されていることが散見されます。

現状、インターネット上で掲載されている医療情報については「医療機関のホームページを除き」、信頼性のある根拠や専門家の監修がなければならないという規制はかけられておらず、誰でも簡単に医療情報を発信することができる状態となっており、上記のような問題を引き起こした要因ともなっています。


医療機関の情報発信の難しさ

一方で、クリニックなどの医療機関によるインターネット上での情報発信は、2012年に厚生労働省の作成した医療機関ホームページガイドラインによって制限されています。

客観的事実であることを証明することができないものや、手術や処置の有効性を強調するもの、体験談を強調するような情報をホームページに掲載することを規制するものです。

つまり、自院の強みや症例、治療前後のビフォーアフターなどをホームページ上で掲載するなどして、来院を促すことはできないのです。

また、2016年8月に厚生労働省は医療機関のホームページについて、新たな規制内容を明確化し、ネットパトロールによる監視体制を構築、規制遵守を徹底していく方向性である旨を発表しています。


インターネット上で氾濫する医療情報

こうしたなかで、規制の動きは加速化し、医療機関の情報発信はますます困難となっていくとみられます。

さらに、一連の騒動を踏まえ、治療を受ける患者側も医療情報に関するリテラシーを高め、医療機関がそれぞれの患者から求められる医療サービスレベルも高まるとともに、医療機関としての信頼を得られずらくなっていくことでしょう。

続いてのページからは改めて現状の医療機関ホームページガイドラインにて規制されている内容をみてみましょう。


医療機関ホームページガイドラインでの規制事項

  • 内容が虚偽にわたる、又は客観的事実であることを証明することができないもの
  • ホームページに掲載された内容が虚偽にわたる場合、国民・患者に著しく事実と相違する情報を与え、国民・患者を不当に誘引し、適切な受診機会を喪失させたり、不適切な医療を受けさせたりするおそれがあるため、ホームページに掲載すべきでないこと。
    また、虚偽にわたるものをホームページに掲載した場合等には、医療法以外の法令により規制され得ること。

    例)加工・修正した術前術後の写真等の掲載
    →あたかも効果があるかのように見せるため加工・修正した術前術後の写真など
    「絶対成功」「絶対安全」といった表現
    →絶対安全な手術を行うこと等は医学的に困難であり、そうした表現は 虚偽として扱われる
    具体的根拠のない調査・研究データ
    →「○%の満足度」など根拠や引用元の提示がないもの
    治療期間の虚偽記載
    →治療後の定期的な処置等が必要であるにもかかわらず「一日で全ての治療が終了します」
    などといった表現を掲載している場合


  • 他との比較等により自らの優良性を示そうとするもの
  • 「日本一 」「No.1」 「最高」等、特定、 又は不特定の他の医療機関(複数の場合を含む )と自らを比較の対象とし、施設の規模、人員配置、提供する医療の内容等について、自らの医療機関が他の医療機関よりも優良である旨を示す表現は、仮に事実であったとしても、優良性について国民・患者を誤認させ、不当に誘引するおそれがあるものであり、ホームページに掲載すべきでないこと。
    また、著名人との関連性を強調するなど、国民・患者に対して他の医療機関より著しく優れているとの誤認を与えるおそれがある表現は、国民・患者を不当に誘引するおそれがあることから、ホームページに掲載すべきでないこと。

    例)「○○の治療では、日本有数の実績を有する病院です」「あの著名人も○○医師を推薦しています」といった表現
    →→仮に事実であったとしても、優良性について国民・患者を誤認させるおそれがある


  • 内容が誇大なもの又は医療機関にとって都合が良い情報等の過度な強調
  • 任意の専門資格・施設認定等の誇張又は過度な強調や、手術・処置等の効果・有効性を強調するもの、医療機関にとって便益を与える体験談、提供される医療の内容とは直接関係ない事項による誘引が対象。

    例) 「知事の許可を取得した病院です」といった表現
    →病院が都道府県知事の許可を得て開設することは、法における義務であり、当然のこと。あたかも特別な許可を得た病院であるかのように誤認させるおそれがある場合には、内容が誇大なものとして取り扱われる
    「○○学会認定医」といった活動実態のない団体による認定表現
    →当該医療機関関係者自身が実質上運営している団体や活動実態のない団体などによる資格認定や施設認定を受けた旨については、国民・患者を不当に誘引するおそれがあり、内容が誇大なものとして取り扱われる
    「無料相談をされた方全員に○○をプレゼント」といった表現
    →物品を贈呈する旨等を誇張することは、提供される医療の内容とは直接関係のない事項として取り扱うべき


  • 早急な受診を過度にあおる表現又は費用の過度な強調
  • 国民・患者に対して早急な受診を過度にあおる表現、費用の安さ等の過度な強調・誇張等については、国民・患者を不当に誘引するおそれがあることから、ホームページに掲載すべきでないこと。

    例) 「ただいまキャンペーンを実施中」 「期間限定で50%オフで提供しています」「顔面の○○術 1か所○○円」といった表現
    →例えば、ホームページ上に大きく表示された値段は5か所以上同時に実施したときの費用を示しており、1か所のみの場合等には掲載されている費用を大きく上回る場合等については、費用の安さ等を過度に強調するものとして取り扱うべきであること。
    この場合、仮に小さな文字で注釈等が付されていたとしても、注釈を見落とすものと常識的に判断できる場合には、同様の取扱いとすべきであること。


  • 科学的な根拠が乏しい情報に基づき、国民・患者の不安を過度にあおるなどして、 医療機関への受診や特定の手術・処置等の実施を不当に誘導するもの
  • 科学的な根拠が乏しい情報であるにもかかわらず、国民・患者の不安を過度にあおるなどして不当に誘引することは、厳に慎むべき行為であり、そうした内容については、ホームページに掲載すべきでないこと。

    例) 特定の症状に関するリスクを強調することにより、医療機関への受診を誘導するもの
    →「○○の症状のある二人に一人が○○のリスクがあります」 「 こんな症状が出ていれば命に関わりますので 今すぐ受診ください 」といった表現
    特定の手術・処置等の有効性を強調することで、有効性が高いと称する手術等へ誘導するもの
    →「○○手術は効果が高く、おすすめです。」といった表現
    特定の手術・処置等のリスクを強調することで、リスクが高いと称する手術等以外のものへ誘導するもの
    →「○○手術は効果が乏しく、リスクも高いので、新たに開発された○○手術をお勧めします」といった表現


  • 公序良俗に反するもの
  • わいせつ・残虐な図画・映像、差別を助長する表現等の公序良俗に反する内容については、ホームページに掲載すべきでないこと。
    また、虚偽にわたるものをホームページに掲載した場合等には、医療法以外の法令により規制され得ること。


  • 医療法以外の法令で禁止されるもの
  • ホームページへの掲載に当たっては、以下の①から④までに例示する規定を含め、関連の他法令等も併せて遵守すること。

    ①薬事法(昭和35年法律第145号)
    ②健康増進法(平成14年法律第103号)
    ③不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)
    ④不正競争防止法(平成5年法律第47号)


医療機関の差別化は「情報発信による信頼感醸成」がカギ

これらの事項を実際に照らし合わせて確認をすると、ガイドラインを遵守したうえで医療機関が同業他者との差別化を図ることは容易なことではないことがわかります。

こうして、医療機関による情報発信はますます難しくなっていますが、患者やその家族にとっては、医療機関の選択は生命にかかわるもの。あらゆる情報を収集した上で、信頼できる医療機関を慎重に選択します。

つまり、医療機関による情報発信は限定的であるにもかかわらず、「集患」はその医療機関の情報発信によって大きく左右されるのです。


書籍を活用したメッセージ発信で信頼感を醸成する

インターネット上での情報発信が制限されており、さらに他の媒体でも表現の幅が限られている医療関連のトピック。

では、“書籍”という媒体との相性はいかがでしょうか。

家庭の医学書は

『長生きしたけりゃふくらはぎをもみなさい』(2013年アスコム)
『医者に殺されない47の心得』(2012年アスコム)
『血流がすべて解決する』(2016年サンマーク出版)
『医者の嘘』(2014年幻冬舎)

など、ベストセラーの常連です。

信頼性が必須である医療に関する情報を、書き換えがきかないこと、そして出版社という第三者の目を経ていることで信頼性が担保されている「書籍」から得ようとする患者の意思が感じられます。

幻冬舎メディアコンサルティング

太田 晋平

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