本を出版したい経営者に考えてほしいたった二つのこと
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本を出版するにはどうすればいいのか。まず何から始めればいいのか。その期間と費用は…
これらのご質問をよく頂きますが、今回はその前に私たちがいつも皆様にお話し、お考えいただいているポイントをご紹介します。
何のための本を出版したいのか(ゴール)
現在いわゆる新刊がどの程度世に出ているのかご存じでしょうか。
近年の出版点数は年間でおよそ8万点前後です。月間で7千冊程度が出版されていることとなります。
これから本を書こうと考える方にこのようなお話をすると、「どんなジャンルであれば売れるのか」「ノウハウと自己啓発ではどちらが好まれるのか」といった点に興味が移ってしまいます。
しかし、その前にしっかりと考えたいのが、本を出版する目的がクリアになっているかどうかです。
企業経営者が出版を考える際、多くの方は出版をすることで事業戦略上ポジティブな結果が生み出されるはずだとイメージをしているのではないかと思います。
ですが、いざその中身(コンテンツ)を考えるフェーズに入ると、どうしても「どんな本が売れるのか」が気になってしまいます。
もちろん、売れる本から考えることがすべてのケースにおいて間違っているというつもりはありません。肝心なのは、目的(ゴール)の実現と書籍が売れることの関係がイメージできているかどうかです。
もし出版で実現したい目的が企業名・サービス名・商品名の露出であれば、とにかく売れる本を考える必要があります。
とはいえ、冷静に考えると、このような場合は出版以外にもっとスピーディーに、かつ効率よく目標を達成できる手段が多数存在します。
例えばTVCMや読者数の多い新聞広告への出稿が考えられるほか、SNS広告であれば数百円からスタートすることができますので、これらを駆使すればそれで充分ということになります。
これらのメディア、広告を活用しても届けられない情報を伝えたい、これらではアプローチができない層に知ってほしいという時に出版が活用できるわけです。
社名は認知されているが、ブランドイメージが正しく伝わっていない。
質の悪い情報に振り回される見込み客に正しい情報を提供して自社の存在・価値に気づいて欲しい。
業界に悪いイメージが固まってしまっており、誤解されてしまう。
通常のマスメディアの活用では解決できない深い情報を発信できる場が出版です。コンテンツはここから考えなくてはいけません。
大事なのは今どんな本が売れているかではなく、出版でなくては実現できないゴールは何であって、そのために自社が出すべきコンテンツは何なのかという点です。
誰に読まれる本を出版したいのか(ターゲット)
上記目的をイメージした後、次に考えるべきは「誰に読まれる本」か、つまりターゲットとなる読者イメージを明確にすることです。
例えば、営業管理システムを扱う企業が、本を出版することで売上につなげたいと考える場合はどうでしょうか。
営業の効率化で最大の営業成果を生むための仕組み(システム)を扱う企業です。様々な業種の営業活動における課題を熟知しています。若手営業マンが最初にぶつかる壁からベテラン営業マンが陥るスランプ、多忙を極めることで生まれる労務問題、これらのリスクを軽減するために会社として取り組むべき対策にも詳しいわけです。
成長意欲の高い営業マンに時間管理のポイントを伝えることもできますし、営業部長に向けて現状の営業マンの管理ノウハウを提供してもいいかもしれません。各部門の諸経費を管理する経営企画部長に安価で付加価値の高いシステムの存在を知らしめることもできます。
さまざま考えられるこれらの切り口のうち、どれを選択することが正解なのでしょうか。
もし自社のシステムの強みが他社と比べて安価である点なのであれば、そのメリットが最も「刺さる」担当者をイメージし、彼らに提供できるノウハウ・情報を提供できる内容の本を書くことになります。
あるいは、難易度は高いけれど大きな収益源となるターゲットを意識することも有効です。営業部門経由のシステム契約は単価が低く、経営層へのアプローチの方が高単価案件が多いのであれば、経営層に向けた言葉で彼らの助けとなる本を書くことがゴールに近づくことになります。
このように、ターゲットを誰にするかで本にするべき内容は大きく異なります。最も得意とするコンテンツと、本に書くべきコンテンツは必ずしも一致しません。
ターゲットを置き去りにして書ける内容から書き始めることに大きなリスクがあることが分かると思います。
今回は企業出版の専門コンサルタントの目線で本を出版する際に考えるべき二つのポイントをご紹介しましたが、出版のゴールとターゲットを考えることは企業の事業戦略の深い部分について考えることでもあります。
売れる本のコンテンツから考えるのではなく、現状の課題や将来的なリスクヘッジの観点から考えてみてはいかがでしょうか。
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