【起業したい人におすすめの本】社長の視点を知りたいと思いませんか?
社長、起業家と聞くと企業のトップであり、権限も大きいことから、 あこがれる人も多いのではないでしょうか。
現代では、責任を負いたくはないという理由で、昇進したがらない人が多いと聞きますが、 自由な裁量で行動することができ、周囲から社長、社長とチヤホヤされれば、 まんざらでもない気持ちになると思います。
しかし、そんな夢想を打ち破ってくれるのが、今回ご紹介する「社長業のオキテ」という本です。
著者である斎藤氏は社長になりたかったわけではなく、 作りたいゲームのために経営者になったためか、 社長という自分自身の姿を、俯瞰して見ているフシがあり、 なってみて分かったこと、痛い目を見たこと、苦労話などを独特の視点で語っています。
その語り口も、まるで友人の愚痴を聞いているかのような親しみを覚えるのですが、 ゲームクリエイターかつ、企画屋としての本性が随所に現れており、 その自由な発想は、読んでいて大変刺激になります。
また、斎藤氏は緻密な経営よりも、肌感覚を大切にしており、 まるで、KKD(勘・経験・度胸)経営と呼ばれるようなものを感じさせます。
KKD経営は良くないと言われることが多いのですが、 実際、そのようなものがないと、動いていかない現実がありますし、 Macの故スティーブジョブスにしても、顧客の声を聞くのではなく、 自らの理想を体現した結果、Macの隆盛を作り出しました。
総合して思うに、周囲の意見に振り回されず、 自分で考えた答えを持っているという点が、 私たちと鮮やかに違うのだなと気がつかされます。
経営者ともなると、決断の連続になってくるため、 そのような判断力がさらに鍛えられてくるのかもしれません。
一見、この本は起業家・経営者向けの本ですが、一般のビジネスパーソンにも、 普段、何気なく働いている中で忘れがちなことを思い出させてもらえますし、 同僚に対する寛容さ、物事に対する根っこの考え方などを見直す良いキッカケになると思います。
特に、これから起業して社長になってみたい人におススメです。 著者は、やりたいことの強さを願望力と表現しており、 その願望力の強さが起業の力だといっています。
従業員の視点から考えると、「願望=進みたい方向」が見えていれば、 従業員は迷走せずに働くことができるという点で 組織としての力が活かせると思うのです。
ただし、願望を燃料として飛び立つ「社長業」は、 それゆえの苦労を背負うことから、 仏教で言うところの「業(因果)」のことではないかとも思います。 それでも、社長になりたいと思う人は本物だと思うのです。
それにしても、導火線が進んでいる中で、燃料を入れ続けている表紙の絵が 危なっかしくて気になりますね。
(書籍情報)
『社長業のオキテ~ゲームクリエーターが遭遇した会社経営の現実と対策~』
著者: 斎藤 由多加
単行本:254ページ
出版社: 幻冬舎
ISBN:4344022661
発売日:2012/10/26
内容(「BOOK」データベースより)社長って、どんな仕事しているか知ってます?脱サラから会社経営までの裏事情を独特の視点で綴る爆笑とめまいと冷や汗の「創業の手引き」。リアルで笑えてタメになる仕事&経営論。