先送りされる事業承継。専門家が取り組むべきこととは?

中小企業社長と自営業主の高齢化が進行
資本金1000万未満企業の社長平均年齢は、日本国内の統計データで見ると、1982年から2004年で52歳から57歳まで上昇、全社長平均でも53歳から59歳へと上昇しており、中小企業社長の高齢化が進展していることがわかります。また、自営業主の年齢構成も高齢化が顕著に進んでいると言われていますが、日本国内の経営者の事業承継対策は十分に取られていないようです。
今回は、日本の抱える事業承継における課題について考えます。
4割の企業が後継者不在
東京商工会議所による東京都内中小事業者向けの事業承継に関するアンケート調査によると、事業承継の後継者および後継者候補が決まっている企業は6割、残り4割は決まっていないもしくは事業継続の意思がないとの回答でした。
親が事業を行っている就業者に親の事業の承継意思を尋ねた調査では、「承継者は決まっておらず、自分は事業承継するつもりはない」と考えている就業者が49.5%に上り、事業承継する相手の不在が課題となっていることが分かります。

<参考> 「事業承継の実態に関するアンケート調査」 実施企業:東京商工会議所 実施日:平成26年7月4日~7月31日 対象者:東京都内中小事業者5,000社
また、現状では、過半数の企業が、事業承継に関する準備の必要性は認識していても、そのための十分な取組は行っていないのが現状です。「少なくとも自分が元気なうちには発生しない」という事業承継に対する意識に原因があると考えられますが、そのため経営者の死後や痴呆症になってしまってから慌てて対策を取ることにもなりかねず、元気なうちの対策が必須であるといえます。
事業承継の課題と専門家の取り組むべきこと
事業承継の準備をしていない理由については、以下の理由が挙げられました。
・「要件が多く制度がわかりにくい」
・「提出書類が煩雑でわかりにくい」
・「適切にアドバイスしてくれる人がいない(探すのが難しい)」
・「発行済議決権株式の2/3までしか猶予されない」
・「相続税の納税猶予割合が8割のみ」
経営者の意識のみではなく、制度の複雑さや信頼できるパートナーの不在が事業承継の足かせとなっています。
後継者がいない、準備ができていない状況でも十分な危機感を持っておらず、専門性が高いが故に中々進められない経営者は非常に多くいます。事業承継やM&Aを取り扱う専門家は、その必要性をいかに伝えていくかが問題解決のカギとなります。
幻冬舎メディアコンサルティング
江口 夏希
- 【業種別に見る効果事例】> 士業・コンサルタント
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