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マネー本売れ行き傾向から見る投資家の変化

著者:GMCブランド戦略室

円安・株価上昇でマネー本の売れ行き上昇

マネー本の出版活動と売れ行きは、景気の変動と連動すると言われています。
昨年は、金融緩和、財政政策、成長戦略の「3本の矢」からなる経済政策、いわゆるアベノミクスによってデフレ不況からの脱却を目指す安倍政権の経済政策への期待感で、株価が上昇し、年初から追い風が吹きました。
2014年9月25日午前の東京株式市場では、日経平均株価の前日終値比上げ幅が200円に迫り、取引時間中の年初来高値を更新しており、これは2007年11月5日(高値1万6458円)以来、6年11カ月ぶりの高値水準です。

こうした円安・株価上昇にともなって昨年以降、株式投資やFXなど金融商品の利殖本やマネープラン関連書、アベノミクスの是非を論じる本をはじめ、経済予測本の刊行が相次いでいます。
『めちゃくちゃ売れてる株の雑誌ZAiが作った「株」入門 改定第2版』(ダイヤモンド社)、『がんばる!かぶ 6時間でわかる株の授業』(東洋経済新報社)など初心者向け書籍の需要が高い点が特徴です。
他にも『カイジ「命より重い!」お金の話』(サンマーク出版)、『税金官僚から逃がせ隠せ個人資産』(幻冬舎)、『税金がタダになる、おトクな「NISA」活用入門』(ダイヤモンド社)、『アメリカは日本経済の復活を知っている』(講談社)、『改訂版 金持ち父さん 貧乏父さん』(筑摩書房)などヒットが相次いでいます。

2013年はビジネス書の売れ行きが好調でしたが、特にマネー本は通年で見ると前年比で3割以上の売り上げ上昇を示しています。

 

個人投資家の75%が50歳以上

マネー関連の話題と言えば、「貯蓄から投資へ」を掲げる金融庁の目玉施策であるNISAが大きな話題ですが、実際、NISAの口座を開設した人は中高年層にかなり偏っており、14年3月末までに開設された口座の実に75%が50歳以上という結果が出ています。
これはNISAに限った話ではありません。
日本証券業協会が行った個人投資家に対する調査によると、50歳以上の投資家の割合は75%を超えています。
この数値を見る限り、NISAによって投資が幅広い層に広まったとは一概に言えず、これまで株式投資を行っていた中高年層が、非課税という制度に魅力を感じ、既存の口座に加えてNISA口座を開設したと考えられ、若年層を含めた新しい投資家の開拓の難しさが伺えます

 

20代男女のマネー本購入は増加傾向

しかし、変化は着実に始まっています。
マネー本の読者層傾向を見てみると、20代男女の購入は確実に増加傾向にあることが分かります。これまでは30~49歳の層が売り上げの40%近くを占めており、次いで50歳以上の購入者が続くケースが一般的でしたが、最近は20代の購入が40%程度に迫るケースも増え、その勢いが顕著となってきました。
若年層、初心者をターゲットにしたマネー本が売れる状況には、株価上昇にともなう関心の高まりだけでなく、介護問題や年金をはじめとした自身の将来への不安の高まりも大きく関係しています。
初めての投資の頼れるパートナーとして認知度を高めるには、この点に着目し、「低リスク」、「お金に困らない」といった安心感を訴求するキーワードを効果的に活用し、関心を持った状態から第一歩を踏み出させる情報の発信者になる必要があります。

 

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