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「足で稼ぐ」という古すぎる営業手法が企業の衰退を招く 大半の会社が勘違いしている法人営業の落とし穴

著者:GMCブランド戦略室

さまざまな業界・業種の企業の経営者や営業責任者の方と接していると、従来の営業手法では、新規顧客開拓が難しくなってきている、との声を多く聞きます。


 

とくに、法人向けの商品・サービスを提供している企業では、営業活動の効果が表れにくくなってきているようです。


 

具体的には次のような内容です。


「若い社員の営業力が落ちてきているせいで、新規開拓がうまくいかない」(大手専門商社、取締役)


「テレアポや飛び込み営業の効率が、ここ数年、明らかに下がっている」(中小OA機器販社、代表取締役)


「これまでは展示会が効果的だったが、そこから受注につながる確率が落ちている」(中堅IT企業、代表取締役)


「ダイレクトメールを送っても反応がない。テレアポをやってもアポが取れない」(中堅サービス業、代表取締役)


新規顧客を常に開拓し続けなければ企業としての成長は見込めません。ところが、そのために行ってきた従来の営業手法がうまくいかなくなってきていることが分かります。


だからといって、新規顧客が開拓しづらくなってきていることを「営業力の低下」や「営業施策の効果の低下」だけの問題で片づけるべきではありません。


なぜならば、原因はむしろ「時代」や「環境」の変化にあるからです。



有望な見込客に出会えるかどうかは運である



新規顧客開拓活動は、お客さまとなり得る可能性のある企業を探す「発掘活動」と、有望な見込客へアプローチし、契約につなげていく「商談活動」の2段階に分けることができます。


とくに営業マンの営業力が必要とされるのは、お客さまのニーズを的確に把握し、解決策を提案し、契約まで持ち込んでいくという「商談活動」です。


それに対して「発掘活動」は、ターゲットを選定したうえで、一件でも多くの企業と接点をつくっていくことが要求される活動です。お客さま一件一件に丁寧に対応し、最適な個別提案を行っていく必要がある「商談活動」とは正反対の発想が必要とされます。


実はいわゆるテレアポや飛び込み営業は、見込客を発掘することを目的にした活動であり、本来は営業力のある営業マンのやるべきことではないのです。


もちろん、テレアポや飛び込み営業において、たまたまニーズのあるお客さまに巡り合うことがないとは言えません。そうなればその場で商談に移行するわけですから営業力も必要になります。しかし、そのような幸運に当たるまでには、とてつもない労力を必要とします。


実は、一般的な営業マンの「実営業時間比率」(全業務時間に占める、お客さまと商談している時間の比率)は20パーセント程度しかありません。この比率をどこまで高められるかが、企業の売上に大きく影響しています。


自ら営業リストを作成し、その見込みの薄いリストに対し、延々とテレアポや飛び込み営業を続けていては、ただでさえ低い実営業時間比率をさらに引き下げる結果につながってしまいます。


営業マンの実営業時間比率を高め、売上を伸ばしていくためには、〝偶然〞と言ってもいいような低い確率でしか見つからない「有望な見込客探し」を営業マンの仕事から取り除いてあげなければなりません。


見込客発掘活動をできる限り仕組み化し、本来営業マンが力を発揮するべき「商談活動」に集中できるようにしていくことが、新規開拓力を強化するための近道なのです。


新規顧客の開拓力が強い会社と弱い会社



成長する事業や会社の共通点、それは「見込客の発掘力」が強いことです。


「新規顧客の開拓力」と言い換えてもいいでしょう。


新しいお客様をどれだけ見つけられるかが、事業や会社の成長を決定しているのです。

「そんなことは当たり前だ」と感じる方もいるかもしれませんが、実際の経営においては、見込客発掘力の強化を重要経営課題に位置づけているケースは稀です。


BtoB企業の見込客発掘に関する予算は年間数百万円程度と、社員一人分の人件費程度しか確保できていないところが多いようです。実際には、予算化すらされておらず、見込客発掘は営業マン個々の活動に依存していることも決して珍しいことではありません。事業の成長に大きく影響を与える活動にもかかわらず、きちんと予算をつけて仕組み化するということすら行われていない領域なのです。


見込客発掘力の重要性を再認識するため、発掘力が強い会社、弱い会社、その差異を具体的に見ていきましょう。


見込客の発掘力が強い会社は、アプローチ先が豊富にあるため、その中でもとくに受注の確率が高い案件や潤沢な予算のある顧客に絞って営業をかけることができます。すると営業マンが手当たり次第に見込みの低い案件に手を煩わす必要がなくなります。


労力を最小限に抑えることができるだけでなく、最初から見込みの高い案件に集中して営業できるため、営業活動も簡単になります。


一方、見込客発掘力の弱い会社は、たとえ受注確率が低いことが明らかな案件であってもアプローチせざるを得ません。


目の前の案件を失注してしまうと、次の案件がないわけですから、何とか受注しようと躍起になり、無理な要求をのんででも受注していくことも珍しくないでしょう。


また、営業マンは、それほど見込みのない相手にも興味を持たせ、商品・サービスの必要性を納得させなくてはならなくなります。


それらが結果的に、両者の新規顧客の開拓の難易度に大きな差となって現れるのです。


〈見込客発掘力が「強い」会社〉


契約獲得コストが低くなる(受注確率の高いお客さまだけに営業するため)


収益性が高くなる(条件の良い案件だけ受注するため)


人件費や教育費が安くなる(高度な営業スキルが不要になるため)


〈見込客発掘力が「弱い」会社〉


契約獲得コストが高くなる(受注確率の低いお客さまにもアプローチするため)


収益性が低くなる(条件の悪い案件でも受注するため)


人件費や教育費が高くなる(高度な営業スキルや労力が必要になるため)


見込客発掘力が強くなれば、営業マンは商談に集中することができるようになり、前述の「実営業時間比率」が高まります。さらには、営業効率や収益性・教育コストまで改善され、今までよりも事業運営が楽になっていきます。


見込客発掘力の強化は、経営の重要課題なのです。


個人の営業力を高めるだけでは必ず限界がやってくる



見込客発掘力が強いか弱いかで、会社の成長力に大きな差が出てくることは、先に述べたとおりですが、中には見込客発掘力が弱いのにうまくやっている会社もあります。


たとえば非常に優秀な営業マンが、一見、無理に思えるような案件でも受注に結びつけてしまうなど、見込客の発掘力が弱くても新規開拓に長けている会社などです。


この場合は、マンパワーによって新規開拓ができているために、問題は表面化していませんが、そのような優秀な営業マンがいなくなれば、新規顧客の開拓力も落ちてしまい、経営危機が訪れるであろうことは容易に想像がつきます。


あるいは、ことさら営業を行わなくても口コミが口コミを呼び、取引先からの紹介や噂を聞きつけた人から新規の問い合わせが来るという会社も中にはあるかもしれません。


口コミや紹介での新規開拓が多いということは、お客様の満足度が高いことの証ですから、大変素晴らしいことです。ただ、どれだけ口コミ・紹介が多くとも、新規開拓をそれだけに頼るのは危険です。口コミや紹介は、あくまでもお客様の厚意によって行われるものであり、多少の働きかけはできるにせよ、自社ではコントロールできないからです。


来月にどれだけ新規開拓できるのか、一年後はどうなっているのか、目途が立ちません。


新規開拓は経営の重要事項ですから、やはり数カ月先、できれば、半年・一年先くらいまでは、きちんと計画できるようにしたいところです。


一般に、中小企業は、創業経営者の営業力や人間力、あるいは古くからの付き合い、地域的なしがらみなど、属人的な要素に頼った営業を行っていることが多いものです。


しかし、グローバル化によるアジア諸国や発展途上国などからの競合企業の進出、効率的で低価格な製品やサービスを提供するベンチャー企業の出現、大企業によるニッチ市場への参入というように、ビジネスの動きがかつてないスピードで絶えず変化する中、従来の営業手法は徐々に力を失ってきています。


また、戦後の焼け跡の中から企業を立ち上げた創業社長が、二代目、三代目へと事業を継承していくことで、人の入れ替わりが起こり、属人的な営業が通用しなくなるような現象も起きています。


こうした時代や環境の変化が見込客開拓を難しくしている状況下で、新規開拓力低下に対する解決策を「営業力強化」のみに求めるのは、無理があるといえるでしょう。


もちろん、社員の営業力を高めることは解決手段の一つにはなり得ますが、営業力といった漠然とした能力の獲得には時間もコストもかかります。たとえ高額な研修やセミナーを社員に施したところで、一時的なモチベーションアップにはつながるものの、組織的な営業力の強化につながった事例は非常に少ないのが現実です。また、そうやって社員教育に投資したところで、営業力をつけた優秀な社員が、いつまでも会社に留まってくれるかどうかも不確定な時代です。


安定的な経営をめざして会社自体の営業力、新規開拓力を高めたいのであれば、時代や環境の変化に合わせた「仕組み」を考えるべき時が来ているのです。

こちらのコンテンツは書籍『新規顧客をウェブサイトで開拓する方法』から抜粋しております。

書籍名:新規顧客をウェブサイトで開拓する方法

著者:中田 義将 (株式会社リーディング・ソリューション)

1978年生まれ。株式会社リーディング・ソリューション代表取締役。 早稲田大学政治経済学部卒業後、大手経営コンサルティング会社入社。グループ会社役員を経て、2004年株式会社イングロス(現・株式会社リーディング・ソリューション)を設立。B toB企業を中心に、上場企業からスタートアップ期のベンチャー企業まで、業種・規模にかかわらず幅広くマーケティングを支援している。上場企業・有名企業を中心に、多数のコンサルティング実績、マーケティング支援実績がある。

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