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書籍ブランディングとは? メリットから事例まで完全解説

著者:幻冬舎メディアコンサルティング 編集局・部長 伊藤英紀

企業の認知度を上げ、顧客からのロイヤルティを高める施策として欠かせない、ブランディング戦略。ロゴや商品のデザインを統一したり、社会に対し企業のミッションやビジョンを発信したりと、その方法は目的によってさまざまですが、多くの企業にとって最適解になり得るのが、ブランディングを目的として書籍の出版を行う「書籍ブランディング」です。

書籍ブランディングとは?

書籍ブランディングでは、あらかじめブランディングというゴールに向かって書籍を制作し、出版します。出版社が費用を負担して書籍を制作する「商業出版」の場合、その目的は本の売り上げで収益を得ることであり、できるだけ多くの人に本を買ってもらう必要がありますが、出版がブランディング目的の場合、企業がアプローチしたい特定の顧客層にリーチする内容に仕立てることで、販売部数より出版後のターゲットからの反響を重視するという特徴があります。

書籍という媒体の最大の特徴は、社会的な信頼性の高さです。現代では、インターネットを通じて膨大な量の情報が毎日発信されていますが、誰もが匿名で気軽に情報を出せるようになったことで、情報の信頼性を担保するのが難しくなっています。しかし書籍は、出版社や編集者、校閲者といったプロの手を通じ、その責任のもとで制作されるため、情報源として十分信頼できるものであり、実際に経営者を始めとした多くのビジネスマンが、書籍を重要な情報源として活用しています。

書籍には、絞り込んだターゲットに対して深い情報伝達を行うことができるという特長もあります。書店に並ぶ書籍は、ジャンル別にセグメントされて配置されており、ターゲットにリーチしやすい特性を有しています。ボリュームのある情報が順序立ててわかりやすく記され、ターゲットへと無理なく浸透していきます。

さらりと読み飛ばしてしまいがちな広告や、数十秒見たら終わりという宣伝に比べ、書籍の活用は、自社の魅力や思いをしっかり伝え、理解を醸成していかなければならないブランディングという手法に適しているといえます。

書籍ブランディングをやるべき、5つの理由

書籍ブランディングは、企業が抱えるさまざまな課題の解決手法の一つとして有効に機能します。大きくは、以下の5つのメリットが挙げられます。

①認知度の向上

理念やビジョン、思いといった大切な情報を、順序立ててまとめて発信できるため、自らが望む方向性での、認知向上につながります。また、書籍出版により社会的信頼を得ることができます。

②ファンを増やす

前述のとおり特定のターゲットに対し、本当に伝えたいことを届けられます。書籍を用いた深い情報伝達により、広く浅く行う広告や宣伝といった施策に比べて、ターゲットがファン化する可能性が高くなります。

③リクルーティング

自社の理念や事業について、ボリューム感を持ってしっかりと伝えられるため、書籍がそのままリクルーティングにも活用できます。説明会などでは伝えきれない情報を補えますし、理念やビジョンに共感した優秀な人材を集める入り口ともなります。

④インナーブランディング

書籍の制作は、自分や会社の理念等の棚卸になります。編集者と打ち合わせを重ね、思いを話していく中で、自社の企業理念が明確になっていきます。また、出版をきっかけに改めて社員たちに企業理念を伝え、浸透させることで、社員のモチベーションが上がり、自らの会社に誇りを持って働くことができるようになります。

⑤集客

書籍の出版をきっかけに、顧客の興味関心が高まり、問い合わせを生みます。また、出版後の講演会など、ターゲットとの接点が増えることも集客につながります。

成果を上げるための5ステップの実践で、期待以上の効果も

では、実際の書籍ブランディングがどのように進んでいくのか。出版社によってその進め方は異なってきますので、本稿では「幻冬舎流」のノウハウを例にとって解説します。

①つくる

企画や編集といった、本制作のフェーズです。書籍の企画立案、市場調査、流通・プロモーション戦略の立案、取材、撮影原稿作成、デザイン、印刷・製本などを行います。ただの「本づくり」の作業ではなく、第三者的な視点で企業の強みを分析し、ターゲットの知りたい情報へと変換していく力が求められます。

②知らしめる

広告や宣伝、プロモーションのフェーズです。書籍の販売に合わせ、雑誌、新聞、Webなどへのパブリシティ活動や、新聞広告の掲載、電子書籍の配信などを展開していきます。ターゲットの手元へ書籍を届けるには、書籍を多くの人に知らしめることがそのカギとなります。

③売る

販売戦略の策定と実行のフェーズです。流通網を活用した書店への流通や、エリアマーケティングの実施、出版後に売れ行きが良好な書店への再配本など、戦略的に書籍を販売していきます。1か月で約6,000冊の書籍が刊行される出版マーケットにおいて埋もれさせないためには書籍を確実に露出し、ターゲットに最大限のアピールを行う必要があります。

書籍ブランディングの成功事例

最後に、書籍ブランディングをうまく活用して大きな成果を収めた企業の事例を紹介します。

1920年に創業した老舗の木工家具メーカーである、飛騨産業です。最盛期には60億円の売り上げを誇っていましたが、バブル崩壊をきっかけに凋落し、一時は廃業寸前まで追い込まれました。そんな逆風の中、2000年に新たに社長となった岡田贊三氏に、会社の命運が委ねられることになりました。

岡田氏は、「家具づくりは、森林づくり。国産材で地域を守っていく」という理念を打ち出し、「販売戦略」「製品開発」「生産体制」「後継者育成」「ブランディング」「地域プロモーション」の6つの改革に取り組んで会社の立て直しを図りました。

書籍ブランディングに関しては、もともとインナーブランディングが主な目的だったといいます。社員たちに、会社の歴史やこれからのビジョンをしっかりと伝え、今後は一体となって進んでいきたい――。そんな思いから、プロジェクトが始まりました。
そうして完成したのが、飛騨産業のモノづくりの理念や、その背景にある飛騨高山の文化・風土を、エッセイ調の文章と瑞々しい写真で紹介した書籍『よみがえる飛騨の匠』でした。

本書は、2017年の出版後から大きな反響を得ました。TV『カンブリア宮殿』の取材を始め、数々のメディアに取り上げられ、講演依頼なども殺到。結果として、目的であったインナーブランディングに加え、会社の信頼性が高まり、認知度が向上し、売り上げも伸びるという大きな効果がありました。書籍ブランディングのプロジェクトが、結果的に会社の経営を軌道に乗せる強力な追い風となったのです。

このように、書籍ブランディングでは、当初の目的以上の効果が得られることが往々にしてあります。書籍をきっかけとして問い合わせが入り、商談へと発展し、業績に貢献した事例にも事欠きません。そうした複合的な効果も、書籍ブランディングの大きな魅力であると言えるでしょう。自社のブランディングや広告宣伝で悩みを抱えているなら、ぜひ一度検討してほしいところです。

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