「新規エリア出店のたびに広告」はムダ! 全国規模の知名度向上を一気に実現するには?
企業が商圏を拡大し、新規出店する際に課題となるのが「採用」です。限られたエリアでは知られている企業であっても、他の都市では認知度が低い場合、欲しい人材が来ない、もしくはそもそも応募が集まらないといったことが起こります。今回は、書籍出版によってこれらの課題を解決した事例をご紹介します。
毎回ゼロから必要となる莫大な広告費
新たな商圏で事業展開を行う際、集客はもちろん、働き手の確保のために積極的な広報活動が必須となります。
新聞やタウン誌などの紙媒体広告やテレビCM、交通広告など、即効性の高い施策はあるものの、高額な出稿料がかかるため、効果が出なかったときの金銭的なダメージは大きなものとなります。
さらに、たった一度の告知では、新規参入するエリアにおいての認知度アップ・浸透にはつながりにくく、継続的に出稿しなければ大きな効果は見込めません。
今や全国展開を実現している「アンビスホールディング」も、商圏拡大時の「採用」には頭を悩ませていました。
「あの“有名”企業が我が町に来た」を実現 ~採用・集客に絶大な効果
2020年4月オープン予定の施設を含め、全国24カ所で在宅型療養病床を提供する医療グループ「アンビスホールディングス」。
これまで、第1号となった三重県の施設からスタートし、関東、東北と、東日本を中心に少しずつ商圏を拡大してきました。「志とビジョンある医療・介護で社会を元気に幸せに」を企業理念に置いていましたが、エリア拡大のたびに、“無名”から“有名”にすることが課題となっていました。
そこで、新しい医療・介護モデルの提案と課題解決に向けて取り組む、自社の姿勢を知ってもらうツールとして、2018年に書籍を出版することを決めました。タイトルは『医療難民を救う 「在宅型医療病床」』。書店での流通や媒体への掲載などを含め、書籍の効果で認知度は大きくアップしました。
商圏拡大に伴う「採用」についてもこの書籍を活用。同社に興味を抱いてくれた医師・看護師に対して、就職の検討材料として後押しになるよう書籍を配布し、その結果、看護師採用においては書籍経由での就職希望者が数十名に上りました。書籍を通じて自社の企業理念・ビジョンに共感してもらうことができ、同じ思いで働きたいという仲間の採用へとつながったのです。
また、採用効果だけではありません。「アンビスホールディングの施設に入りたい」と、入居相談が4~5倍に増加。複数の法人からの経営相談や、医師からのキャリア相談も殺到しました。アンビスホールディングスが考える未来の医療をつづった一冊は、採用と集客、そして顧問業の拡大にまで寄与したのです。
同社はその後も順調に全国展開しており、2019年10月には東証JASDAQに新規上場も果たしています。たった一度の出版が企業のブランディングを大きく成功に導いた事例です。