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不動産投資業界で「プル型営業」を実現させた企業出版の力

著者:GGO編集部
企業ブランディングコラム

本原稿は、WEBメディア「幻冬舎ゴールドオンライン」で配信(2020年11月27日付)された原稿を転載したものです。

企業が事業投資として書籍を出す「企業出版」は、集客・販促、採用、周年事業といった企業のさまざまな課題解決において大きな力を発揮します。本連載では、商業出版との違いなどの基本知識から、企業出版の実践(書籍マーケティング)で成功を収めるための具体的なノウハウまで、株式会社幻冬舎メディアコンサルティングで取締役を務める佐藤大記氏が詳しく解説します。

企業出版が不動産業界の営業現場を激変させた

企業出版では大きく6つの業界、「不動産」「金融・投資」「士業」「医療・介護」「教育」「B to B」を主要ターゲットにしており、近年は「B to B」の領域で、AI(人工知能)やウェブマーケティングなどIT関連の書籍が増えています(『IT関連書籍が急増、企業出版が絶大な効果を発揮する6つの業界』参照)。

今回は、主要6業界のうち「不動産」について説明します。中でも投資用の不動産を販売する会社では、企業出版で本当に多くの成功事例が出ています。一般に、投資対象となる不動産はアパートかマンション(ワンルーム)で、それぞれ新築と中古がありますが、基本的にこれらの組み合わせだけですから、不動産投資会社の独自のスキームというのは、実はそれほど多くはありません。事実、不動産投資会社のHPやパンフレットに書かれている内容はほぼ同じであり、不動産投資各社は他社との差別化に苦慮しています。

一方で、投資家側からすると、多くの似たような不動産投資会社の中から、信頼できる企業を見つけるのは至難の業です。投資でお金を増やしたいけれども、会社選びを間違って失敗したら怖いという不安がつきまといます。

従来、不動産投資の営業はテレアポが主戦場でした。そこから何とか面談に漕ぎつけて、営業マンがクロージングまで持っていく、いわゆるプッシュ型営業が主流だったのです。しかし近年は、プッシュ型営業からプル型営業にシフトする、あるいはシフトを模索する不動産投資会社が急速に増えています。とはいえ、テレアポ以外で見込み客との接点をつくるのは容易ではなく、多くの企業がプル型営業への導入には苦労しています。

読者ターゲットを明確にし、対象を絞り込む

そうした中で、企業出版を積極的に活用し、プル型営業で大成功している企業があります。武蔵コーポレーションです。同社は関東一円を中心とした首都圏エリアに特化した収益不動産の資産運用を専門に行う企業で、このジャンルではまさにトップランナーといえる存在です。代表取締役の大谷義武氏は、改訂版・共著を含め幻冬舎メディアコンサルティングから9冊の書籍を出版しています。いずれも出版で大きな効果が見込める「集客・販促」「採用」領域の書籍ですが、9冊を戦略的に出版したことで、実際に絶大な成果を上げています。

たとえば、1冊目の『年収1000万円から始める「アパート事業」による資産形成入門』(2009年7月刊)は、発売後に書籍を経由して30件以上を受注しました。勝因の一つは同社がターゲットとする属性を明確に定めたことにあります。

年収1000万円以上の人で、資産運用をしたいけれど、ネット情報では信頼できる企業が見つけられないという場合、意識の高い人ほど書店に足を運びます。知識武装するためです。要は、問い合わせをした不動産投資会社で、営業マンの口車にうまく乗せられて騙されないようにするのが目的です。高額投資だけに、彼らには強い防衛心理が働いています。

書店の資産運用のコーナーには、たくさんの本が並んでいます。類書として「年収500万円」あたりを切り口にした不動産投資の本が数多く出ています。そこに「年収1000万円以上」というキーワードが目に飛び込んでくるわけです。年収1000万円以上の人にとっては、「これこそ自分の本だ!」と手に取る動機づけになります。

実際に読んでみると、「この会社は信頼できる」「この会社しかない」と納得できる内容であり、武蔵コーポレーションが主催するセミナーに、自らの意思で参加することになります。そこで書籍の内容と同じ説明を聞き、信頼の気持ちが強い確信に変わります。そのうえで個別相談を受ける。書籍を読み、セミナーの説明も聞いて同社の不動産投資の仕組みを理解しているので、あとは疑問点だけを確認すればよく、コミュニケーションがスムーズにいきます。

営業マンも力業でクロージングする必要がありません。「いかがですか、ご関心があれば詳しいご説明をします」と言うだけで十分です。相手はすでに投資の決意が固まっており、あとは背中を押してほしいというムードになっているからです。非常に効率がよく、生産性の高い営業の仕組みといえます。

武蔵コーポレーションはこの成功を機に、たて続けに書籍を出版しています。ここで大事なポイントは、すべての書籍にセグメントがあり、テーマが明確であるという点です。たとえば、2冊目の『空室率40%時代を生き抜く!「利益最大化」を実現するアパート経営の方程式』(2010年5月刊)は、不動産管理の本です。プロパティマネジメントをしっかり行い、利益を最大化させるためのアパート管理運営ノウハウについて、実際の管理物件実例も交えて公開しています。

6冊目の『会社の経営安定 個人資産を防衛 オーナー社長のための収益物件活用術』(2014年8月刊)は、「オーナー社長のための」という点がポイントです。同じ社長であってもサラリーマン社長は除外しています。これぐらい読者ターゲットを明確にし、対象を絞り込んでいるのです。

同社は、このように企業出版を積極的かつ継続的に活用し、不動産投資業界で主流だったプッシュ型の集客から脱却し、プル型の集客に徹しています。見込み客に本を読んでもらい、セミナーに自ら足を運んでもらう。そしてクロージングするというスタイルを確立しているのです。

近年、不動産投資会社の世界では、プッシュ型営業からプル型営業へのシフトが進んでいますが、そこにはこの武蔵コーポレーションの成功が少なからず影響していると思われます。実際、不動産投資分野での企業出版は増える一方です。不動産投資会社が書籍を出す理由は、業界内での他社との差別化、見込み客から選ばれる企業へのステージアップなどで、最終的には営業の効率化、生産性向上につながることを期待しています。

いまやプッシュ型営業だけの不動産投資会社は少数派ともいえ、その少数の会社もこのままでは生き残りは厳しく、プル型営業に移行せざるを得ない状況です。その具体的な手段として、明確な成功事例が存在する企業出版を選択する会社は「まだまだ増える」と見ています。

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