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〈3サイトを1カ月半で立ち上げ〉

【デジタルマーケティングの実施】

ウェブサイトを立ち上げることが目的でマーケティングを行わない場合や、ウェブサイト立ち上げの担当部署とマーケティング担当部署が分かれている場合などは、ウェブサイト完成後に改善を行わない前提になるため、しっかりと時間をかけ、精密なウェブサイト設計を行うことが重要でしょう。

しかし、成果創出を目的とする場合は、前提が異なります。ウェブサイトの制作期間中は成果が出ないだけではなく、どれだけ緻密に設計を行っても、実際に集客をしてみるとユーザー行動が想定と異なり、結局、のちにウェブサイトの修正が必要になるというのは日常茶飯事です。

そのため、ウェブサイト制作の目的が「リードを獲得する」という点に絞り込まれているときには、時間をかけずにまずは立ち上げて、マーケティングをしながら改善していくスタイルを取るほうが、コスト面でもスピード面でも成果面でも、すべての面でメリットがあります。

PDCAを回しやすいというデジタルマーケティングの特性から考えて、綿密に計画を立てるよりも、のちに修正が入る前提で、まずは公開してしまうというスタンスのほうが実践的なのです。

とはいえ、スピードを重視する場合でも、最初から想定できる問題への対処や、マーケティング実施にあたって必要な事項の実装については、二度手間にならないように、あらかじめ考慮しておくことが大切です。今回の各サイト立ち上げにあたっては、後述する1to1マーケティングとの整合性とSEOを重視した設計を行うように注意しました。


〈1to1マーケティングの実施〉

ウェブサイトが立ち上がったE社では、さっそく1to1マーケティングに取り組みました。対人営業の個別対応のようなきめ細かさで、適切なターゲットに適切な情報を発信し、自社サービスに興味を持ってもらおうという取り組みです。デジタルの1to1マーケティングの実現にはいくつかの方法がありますが、E社では2つの方法で取り組みを行いました。

一つはリマーケティング広告の出稿、もう一つはマーケティングオートメーションの活用です。


⑴ リマーケティング

リマーケティングとは、ウェブサイトに来訪したユーザーに限定して、広告を出稿していく方法です。 リマーケティングによる広告は、大手のニュース媒体や専門媒体、ブログ記事など、さまざまなウェブサイトで表示されます。

ネットサーフィンをしていて見る広告は、以前に訪れたウェブサイトのものだったり、あるいはどこかで見たようなものだったりしないでしょうか。あるいは、なんらかの商品販売サイトなどを一度訪れると、その後、その商品の広告を頻繁に見かけることはないでしょうか。

それはおそらくリマーケティング広告です。

リマーケティング広告は、BtoCではリマインダーや、購入意欲を煽る手法としてよく使われていますが、BtoBの場合は、あまりしつこいと逆に印象を悪くする可能性があるので、過度な使用には注意が必要です。BtoBでは、BtoCと異なり、衝動買いがあるわけではないため、単純にしつこく広告を出すだけでは問い合わせは増えていきません。BtoBでリマーケティング広告を使用する場合は、ユーザーが求めている情報に限定して広告出稿を行うことが重要になります。

 

実際にリマーケティング広告を使用するときには、特定のページにアクセスしたユーザー、そのページで滞在時間が一定時間以上のユーザーなど、ユーザーの行動履歴と連動したターゲット設定を行うことができます。

例えば、価格ページまで見たユーザー、というセグメントを作成し、それらのユーザーに対して、商品比較表ダウンロードなどの広告を出していくことで、ウェブサイトへの再来訪と回遊を促し、問い合わせにつなげていくことができます。

もちろん、「ページA、ページB、両方を見たユーザー」というセグメントや「ページAはアクセスしたが、ページBには至らなかったユーザー」など、細かいセグメントもできます。このような形でリマーケティングを使えば、ユーザーの行動履歴に応じてぴったりの広告を出していくことが可能になります。

ユーザーセグメントの定義、セグメントごとの広告制作、広告配信設定など、初期業務の負荷は大きいのですが、自動的に、企業から見込み客の購買意欲に応じて適切な情報発信を行えるようになるので、効果が大きい施策といえます。

一見、営業マンの個別対応ほどの精度はないように感じられますが、デジタルの強みは、煩雑な作業でもコンピュータが面倒がらず、正確に実行してくれるところにあります。

セグメントをより細かくし、メッセージを緻密に組み立てていくことで、ユーザーの興味関心に合致したメッセージ発信を行っていくことができるようになります。

E社では、リマーケティングを実施するためのユーザーを約40ものセグメントに分け、100種類近くの広告を制作し、それぞれに対して適切な情報発信を行いました。その結果、見込み客の育成(ナーチャリング)が可能になり、ウェブからの問い合わせも徐々に増えてきました。


⑵ マーケティングオートメーション

マーケティングオートメーションは、使い方を間違えなければ有用なツールです。特に1to1での情報発信の効果が大きい、長期の購買行動を前提としたような商材のマーケティング活動で効果を発揮します。 マーケティングオートメーションが、リマーケティングと異なるのは、個人が特定できることにあります。

マーケティングオートメーションを使った1to1マーケティングでは、実名のユーザー一人ひとりの行動履歴を記録することができるので、個人の興味関心のありかが分かるようになります。

例えば、「以前に営業したが、商品導入が見送りになったA社の中村課長が最近頻繁にウェブサイトに来て商品情報を見ている」というような情報を得ることができるのです。ただし、マーケティングオートメーションの対象となるのは、自社がメールアドレスを取得した個人だけなので、対象数がそれほど多くなく、数が限定される難点はあります。

マーケティングオートメーションでは、ツールから送信したメールをクリックしたとき、あるいは、マーケティングオートメーションと連動したウェブフォームで個人情報を送信したときに、個人を特定してトラッキングする仕組みになっています。企業の持つ見込み客の数が多くても、そのうちマーケティングオートメーションから発信したメールをクリックしたり、ウェブフォームに入力した人のみが対象となるため、マーケティング対象者数は少なくなってしまうのです。

また、マーケティングオートメーションを利用するのであれば、見込み客に対してフォローのメールを送り続ける必要があります。そのため、メール用のコンテンツを定期的に作成し、個別にメールを送り続けるシステムの構築も必要になります。

このように、マーケティングオートメーションにはいくつかの問題点がありますが、それらをクリアできるのであれば、非常に価値が高いツールになります。リマーケティングでは、個人を特定したマーケティングができないという問題が残りますが、マーケティングオートメーション・ツールを効果的に併用することで、その問題を解決することができます。


〈コンテンツの継続追加〉

E社のデジタルマーケティングにおいては、潜在ニーズの見込み客を集める情報サイトへの新規流入の増加と、資料をダウンロードしてもらうことによる大量リード獲得がマーケティング成功のカギとなります。 なぜならば、E社の商材には顕在ニーズが少ないので、潜在ニーズから顕在ニーズへの育成が必須であり、そのためには、まずは、潜在ニーズユーザーのリスト数が一定量以上あることが前提になるからです。

できる限り費用をかけずに集客を増やすための最も確実な方法は、コンテンツの作成です。ウェブページが増えれば増えるほど、ウェブサイト内のテキスト量が増え、さまざまなキーワードでSEOが効いてくるためです。E社との打ち合わせでは、季節に合わせたコンテンツや、業界の最新動向、時事情報などについてヒアリングをしながら、毎月、翌月に追加する記事テーマを設定し、コンテンツ作成を進めていきました。

特に時事情報については、非常に重要になります。

業界内で大きなニュースなどがあると、一時的に関連するキーワードでの検索回数が大きく跳ね上がります。このタイミングでいかにスピーディーに記事を投入できるかは非常に重要になります。E社の場合は、時事情報が発生した場合は、スピード重視でまずはE社内で速報レベルの短い記事を作成して公開し、のちほど、私の会社で作成したコンテンツに差し替えるという対応をしていくことで、瞬間的な検索回数の増大に対応しつつ、記事の質も担保していきました。

このような形でウェブページを継続的に増やしながら、同時並行でリード獲得を行うためのダウンロード資料についても定期的にアップをしていきました。セミナー実施時にはその資料や、新しい営業資料ができればその抜粋、ウェブページの記事本数が一定量になればそのまとめ資料……など、できる限り手間をかけずにダウンロード資料を作成し、ウェブサイトにアップしていきました。

ウェブページやダウンロード資料を追加するたびに、SEO対策を実施し、リマーケティング設計のなかに組み込み、さらに、マーケティングオートメーション施策にも組み込みを行っていきます。これらの作業を統合的に継続して実施し続けることで、徐々にマーケティング効果は高まっていきました。

〈マーケティング施策の最適化〉

E社のケースでは、マーケティング対象のウェブサイトは、3種類になります。それぞれに対し、SEO改善、ウェブサイト改善、コンテンツ強化、広告改善、コンテンツ改善などの施策が発生し、さらには、マーケティングオートメーションの運用まで行う必要があり、作業はかなりの分量になりました。

そのため、すべての施策に同時に広く手をつけるのではなく、毎月、マーケティング状況分析を行いながら、「特に成果が出ている箇所」に集中して改善を実施しました。

デジタルマーケティングの改善を行う場合、どうしても、うまくいっていない施策を改善したくなってしまいます。数字で明確に結果が出るため、「なぜ、この施策はうまくいっていないのだろう?」と疑問に思うことから始まり、うまくいかない原因探しを始めてしまうのです。しかし、私の経験では、成果が上がっている施策に対してさらに改善を施すことで、短期間で大きな成果を挙げることができます。E社においても、成功している施策を見つけ、そこを徹底改善したうえで予算を重点配分していくことで、短期間での 成果創出を実現していきました。

常にマーケティングの状況を見ながら改善箇所を絞り込むことにより、今、なんの改善を実施するのが最も効果的であるかを的確に把握し、最小の労力で改善を図ることができるのです。


【デジタルマーケティングの結果】

これらの取り組みにより、開始前はゼロだったウェブサイトからの商談創出が、月に20件超になりました。また、商談まではいかずとも、リード獲得自体は月間170件程度がコンスタントに出るようになりました。そのようにして獲得したリードのなかから、マーケティングオートメーションによって、見込み客の商談に対する温度の分析を行って、営業マンが営業活動に行くケースもあります。リードから生まれた商談を数えれば、デジタルマーケティングによる月間の商談創出はさらに多くなるでしょう。

E社にとって、いちばん大きな成果は、営業活動が仕組み化されたことです。これまでは社長の営業力に頼っていたE社でしたが、リード獲得から営業マンによる訪問までが、デジタルマーケティングで仕組み化されたことで、社長の人脈に頼らずとも営業活動ができるようになりました。

また、デジタルマーケティングで、営業マンまで自動的に業務が流れていくことで、人が動かずに新規開拓を行えるようになりました。

E社は、さらなる成長への一歩を踏み出したといえるでしょう。

書籍名:「分析」で成果を最大化するBtoBビジネスのデジタルマーケティング

著者:中田 義将 (株式会社リーディング・ソリューション)

1978年生まれ。株式会社リーディング・ソリューション代表取締役。 早稲田大学政治経済学部卒業後、大手経営コンサルティング会社入社。グループ会社役員を経て、2004年株式会社イングロス(現・株式会社リーディング・ソリューション)を設立。B toB企業を中心に、上場企業からスタートアップ期のベンチャー企業まで、業種・規模にかかわらず幅広くマーケティングを支援している。上場企業・有名企業を中心に、多数のコンサルティング実績、マーケティング支援実績がある。

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