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自費出版の気になる費用!見積もりの出し方とは?【自費出版を学ぶ】

著者:幻冬舎メディアコンサルティング 編集局・部長 伊藤英紀

自らの思いや体験を、1冊の本として世に残したい――。そんな際の第一の選択肢となるのが、自分で費用を負担して本を制作し、出版する「自費出版」です。その費用はどうなっているのでしょうか。見積もりの出し方を含めて解説します。

1.自費出版とは?

本を出版する方法自体は、自費出版以外にもあります。例えば「商業出版」では、費用の総てを出版社が負担し、著者には原稿料や印税が支払われますから、著者にとってメリットの大きな方法といえます。ただ、誰もが商業出版で本を出せるわけではありません。本が売れなければ損をする出版社側としては、最低でも制作費以上の利益を得る必要があるため、「出せば必ず売れる」と思えるような、著名人や有名人に対してオファーをかけます。いくら作品に自信があっても、実績のないところからいきなり商業出版までたどり着くのは極めて難しくなっています。

その他に、出版社と著者が費用を折半して出版する「共同出版」という方法もありますが、出版社をパートナーとするには相応のハードルがあり、やはり簡単にはいきません。仮に企画が通ったとしても、本の内容に対して出版側の要望が入ることが想定され、自分の思い通りに本がつくれるわけではありません。

もっとも確実に本を出版したいなら、やはり自費出版を検討するのが一番でしょう。自費出版なら、自分の思いや体験を、余すところなく自由に表現できます。小説でも、写真集でも、ノンフィクションでも、絵本でも、好きなジャンルの本をつくることができます。

出版業界では毎日、たくさんの本が出版されますから、もちろん簡単にヒットするわけではないのですが、自費出版から人気に火が付いた本もあります。例えば現在も作家活動を続ける山田悠介さんが初めて自費出版した小説『リアル鬼ごっこ』は、刊行から半年ほどで1万部を突破し、累計200万部を超える大ヒットとなりました。当時の山田さんは19歳。アルバイトなどで出版費用を捻出したそうですが、一念発起で自費出版に踏み出したからこそ、大きな成功を掴むことができたのです。

2.自費出版の費用を左右する、3つのポイント

自費出版では、基本的には本の形式に決まりがありません。小説、写真集、詩や俳句の作品集、学術書、ビジネス書、企業による周年史まで、あらゆるジャンルで自費出版がなされています。

気になるのは費用ですが、どんな本がつくりたいかによって大きく変動します。具体的には、本の装丁や、サイズ、発行部数、流通方法などが、制作費を左右します。価格としては、安ければ10万~20万円、高いと1000万円以上かかるケースもあり、小説ならいくら、写真集ならいくらなどと一概には言えません。

自費出版の見積もりにあたっては、主に以下の3つの点から算出していきます。

①コンテンツの有無

原稿やイラスト、写真など、本のコンテンツとなる素材が発注時にどこまでそろっているかで、費用が変わります。原稿がすでに書き上がっていたり、絵本の絵と文がすべてそろっていたりするなら費用は抑えられますが、例えばライターに代筆を依頼するなど、一からコンテンツを作っていくなら、その分の制作費が発生します。ちなみにライターやイラストレーターといった専門家への依頼は出版社のコネクションを使って行うのが通例であり、「本にしたい思いやアイデアがあるけれど、自分では書く自信がない」といった場合にも、まずは出版社に相談してみると、形にする方法が見つかるはずです。

②本の仕様

自分が作りたい本の大きさも、費用に影響してきます。原則的にはどんな版型であっても自由に作ることができるのですが、一般的に流通している「定型サイズ」があり、その範疇に収めてコストを抑えるのが基本です。具体的には、以下のような定型サイズから選ぶケースが多いです。

B6判(横128mm×縦182mm)・・・コミックなど単行本のサイズ
四六判(横128mm×縦188mm)・・・文芸書など、広く使われているサイズ
A5判(横148mm×縦210mm)・・・ビジネス書などでよくあるサイズ
B5判(横182mm×縦257mm)・・・写真集などに用いられるサイズ
A4判(横210mm×縦297mm)・・・社史や記念誌などで使われるサイズ

こうした版型とともに、ページ数によっても費用が変わり、ページが多くなるほど費用も増えていきます。また、一般的にはモノクロよりもカラーページのほうが高くなります。その他に、表紙がソフトカバーかハードカバーかといった製本の仕方や、使用する紙の材質、印刷手法などの要素も費用に反映されます。

③発行部数

発行部数が多いほど、紙や印刷代などの実費が増えていきます。最低発行部数は、自費出版を取り扱っている会社によって様々ですが、中には数十部から受け付けているところもあります。発行部数を大きく左右するのは「書店に流通させるかどうか」です。書店に並べるなら、少なくとも1000部以上は流通させるのが一般的です。一方で、流通させずに知り合いに配るような場合なら、必要な分だけ刷ればよく、その分費用は抑えられます。

このように、諸条件によって見積もりは大きく異なってくるため、より詳しい金額を算出したいなら、各出版社のウェブサイトを訪れて見積もりの依頼をするのがベストです。中にはウェブサイト上の操作のみで簡易的な見積もりを算出できるところもありますから、それらを活用して大まかな費用を掴むといいでしょう。

3.自費出版の費用に含まれるサービスとは

自費出版の費用の中に含まれるサービスは、出版社によって異なります。すべての素材の持ち込みを条件に格安で出版してくれるところや、企画出しから共に併走してくれるかわりにそれなりの費用がかかるところなど、さまざまでしょう。

自費出版に含まれるサービスの例としては、企画・編集提案、原稿整理、校正、タイトル・帯文の企画制作、カバーデザインの企画制作、印刷、製本、電子書籍化、書店流通などが挙げられます。

中でも近年、注目を集めているのが、電子書籍化です。タブレットやスマートフォンといった電子媒体で読書をする人が増えており、電子書籍の流通量も少しずつ伸びてきています。手軽に本を検索、試し読みでき、通常の書籍よりも安い値段で買えて、持ち運びの手間がないといったメリットもあり、今後も電子書籍の需要は高まるかもしれません。

自費出版において、とにかく費用を抑えて本が出したいなら、電子書籍は有力な選択肢になります。紙代や印刷費用、流通費、在庫がゼロで済み、コストがかからず配本できるというのが大きな特徴です。仮にすべてのコンテンツを自分で用意できるなら、出版社などの電子書籍化サービスを用いても数万円で出版できます。なお、原稿作成やデザインなどのコンテンツ作成については、既存の本と変わらぬ費用がかかってきます。印税に関しては、既存の本より電子書籍のほうが高い傾向があり、価格の70%前後に設定されているケースもあります。

ただし、需要が増えているとはいえ、本の流通量から比べればその市場はまだまだ小さく、電子書籍の自費出版をきっかけに成功を収めたという人は、極々限られています。現状においては、やはり既存の出版のほうが圧倒的に影響力が大きいため、まずは既存での自費出版を検討することをおすすめします。既存の本を電子化する場合、費用は数万円で収まりますから、出版のバリエーションの一つとして電子書籍をつくっておくというような活用の仕方をするといいでしょう。