免疫チェックポイント阻害薬が話題となり、初めて登場する免疫治療のように説明されることもあります。ところが欧米では、免疫を重視する分子標的薬が1990年代から登場し、今日では従来型の抗がん剤を押しのけ、主流になっています。体内に飛び散ったがん細胞を狙い撃ちできるのはNK細胞だけです。薬自体は補助的な役割に徹し、免疫細胞にダメージを与えず、特にNK細胞の攻撃力を高めるADCC活性を作用メカニズムとするものが優先的に開発されてきました。その本命のNK細胞を体内から採りだし、体外培養によって増強するのがANK療法(自己リンパ球免疫療法)です。
本書では、他の免疫療法とANK免疫細胞療法の違いや、免疫ががん細胞を狙い撃ちするまでのメカニズムを、豊富な図を用いて分かりやすく解説します。
改訂版にあたって、免役チェックポイント阻害薬についての最新情報や日本で初めて保険適応になった免疫細胞療法「CAR-T療法」について加筆。
さらに巻末資料として、海外誌に掲載されたATL(成人T細胞白血病)に対するANK免疫細胞療法の論文や学会誌掲載症例報告も紹介します。
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エビデンスを構築し、日本の医薬品メーカーへのライセンス販売を行う業務などに従事するが、「薬でがんは治らない」現実に直面。2004年「細胞医療によりがんから生還を目指す」リンパ球バンク株式会社に投資、同社社外取締役に就任。2007年、同社代表取締役社長。(2020年当時)
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INDEX
1. ANK免疫細胞療法のメカニズムをわかりやすく伝えたい
ANK免疫細胞療法とは、私たちの体内で日常的にがん細胞を撃退している免疫細胞=NK細胞の力を使うがん治療法です。がんに眠らされてしまったNK細胞を体の外に採り出して覚醒させ、パワーアップして、がんに立ち向かわせます。私たちの会社は、直接がん患者さんを治療して、命を助けるわけではありません。ANK療法を実施するために必要な細胞培養センターを設立するなど、治療を行う医療機関を支援するのが最大の仕事です。また、がんと免疫の関係や、免疫細胞療法の基本的な原理を認知させることが、結果的に一人でも多くの患者さんの命を救う道につながると考え、がん治療に関する情報提供を行ってきました。
免疫チェックポイント阻害薬が、話題となり、初めて登場する免疫治療のように説明されることもあります。ところが、欧米では、免疫を重視する分子標的薬が90年代から登場し、今日では従来型の抗がん剤を押しのけ、主流になっています。体内に飛び散ったがん細胞を狙い撃ちできるのはNK細胞だけ。薬自体は、補助的な役割に徹し、免疫細胞にダメージを与えず、特に、NK細胞の攻撃力を高めるADCC活性を作用メカニズムとするものが優先的に開発されてきました。その本命のNK細胞を、体内から採りだし、対外培養によって、直後、増強するのが、ANK(Amplified :増強されたNK)自己リンパ球免疫療法、略してANK療法です。国内で実施される他の免疫細胞療法とは、完全に一線を画したもので、明確な免疫副反応を伴うおそらく唯一のものであるこのANK免疫細胞療法のメカニズムを、よりわかりやすく、手軽に知っていただきたいとの思いから、本書の制作がスタートしました。
2. わかりやすく伝えるため、
やわらかいタッチのイラストとともに図解で説明
これまで情報発信の一環として、新聞広告、雑誌広告、セミナー開催などを行ってきました。書籍は十分な情報量を用いて、読者に詳細な治療効果等を説明することができます。これまで3タイトル、出版してきました。『がん最先端治療の実力――三大療法の限界と免疫細胞療法』では、「標準治療(三大療法)で、本当にがんは治るのか?」という素朴な疑問に答える形で、免疫細胞療法を解説しました。
『進行がんは本当に治るのか?――ANK免疫細胞療法の実態』では、ANK免疫細胞療法を実施する医療機関を紹介するとともに、ANK免疫療法の基本的な原理をやわらかいタッチのイラストを用いて表現しています。
『図解でわかるがん治療 ANK免疫細胞療法』では、イラストとマンガを多用し、がんと免疫システムの関係から、ANK免疫細胞療法の詳細、ANK療法と標準療法の併用等について、分かりやすく解説することを目的としています。
ANK免疫療法が社会に認知されるにしたがって、書籍のテーマをより絞り込み、他の免疫療法との違いを正しく伝えられるようになってきました。
がんで親族を亡くされた遺族の方々からは、「ANK免疫細胞療法について、もっと早く知っていれば……」といった声を頂戴しています。


3. 出版後、患者が増加。月一桁台から20人以上に。
3タイトル出版し、それぞれ新聞広告や雑誌広告、セミナーなどメディアミックスの戦略を幻冬舎さんが企画してくださいました。
当初、ANK免疫細胞療法のメカニズムを患者さんにわかりやく伝える目的でスタートした出版でしたが、思わぬことに提携医療機関の患者さんが月一桁台から20人以上に増加しました。
セミナーでも書籍をテキストとして活用させていただきましたが、来場者の方々の理解促進にも効果があり、喜びの声をいただくようになりました。
また、全国に流通させたことで、遠方のためセミナーに参加できない層へもアプローチが可能になり、嬉しかったですね。企業出版の費用対効果を実感しました。

4. 出版を検討している企業へのメッセージ
書籍は、新聞広告、雑誌広告、セミナーなどの他媒体とメディアミックスをする、という観点で捉えるとより広告効果は大きくなると考えています。
セミナーは私自身が来場者の前に立って、直接説明できますし、質疑応答の時間を取ることもできます。限られた人数の方々に対しては、ダイレクトなコミュニケーションができる媒体です。
書籍はセミナーに来られなかった人に対して、私の代わりとなって読者に語りかけられる媒体です。全国の書店やオンライン書店を通して、読者の方がANK免疫療法を知ろうとして手に取ってくれます。
新聞広告では、書籍の存在をより多くの潜在的な読者に伝えることができます。
今後も多くの方々に、がんと免疫の関係、ANK免疫療法について、正しく知っていただけるよう努めてまいります。
編集者の視点
●セミナーにて書籍をテキストとして活用できるよう、書籍サイズを大きめにし図版が大きく分かりやすいように工夫。
●「ANK免疫細胞療法」を気軽に知ってもらう機会を創出するため、柔らかいタッチのイラストを使用。