1. 経営再建のヒントになれば・・・自身の経験をまとめた
私は65歳のとき、自身が医師として勤めていた病院で、突如経営者としての使命を担うことになりました。医師としての経験はあっても、経営者としての経験はゼロ。さらに、いざ経営の蓋を開けてみると、医師として勤務する中では知りえなかった多額の負債を知ることとなりました。ただその状況を、診療方針の変更やMS法人との権利調整、そして不撓不屈の精神によって打開し、現在では黒字経営を実現しています。
経営が安定している現在、「経営者には知識と経験が不可欠。しかしそれ以上に大切なのが、ともに走り続けてくれる協力者・理解者の存在だ」――そう実感しています。多くの医療機関や中小企業が赤字を抱える昨今、私の経験が経営再建のヒントになればと考え、出版を決意しました。
2. 経営のノウハウ書ではなく、あえてストーリー形式で出版
巷にありふれた自叙伝や新しい治療法の発信ではなく、経営に苦しむ医療経営者のための書籍にしたかった。私の周りでも医師としては一流でも経営者としては新人という方が多く常に解決法を探していた。にもかかわらず解決方法が示された類書がすくなかった。編集者さんからは、私が経験したことをベースに、同じように苦しむ医師の共感を呼ぶ書籍にしましょうとご提案いただきました。ですので、実用書というよりストーリーに近いジャンルでの出版となりました。
▲治療法ではなく、医師として経営者として生きる著者の等身大を描いた4冊を出版。ありきたりノウハウ書ではなく、生き様を描くことで、同業からの信頼からを獲得することを狙った。
▲経営権を引き継いだ当時の状況を赤裸々に公開し、具体的にどのように取り組んだのかという解決方法を明示。当時の心境も織り交ぜることで読者である医療経営者からの共感を得ることを狙った。
3. 出版後2か月で全国の同業経営者から30通を超える反響!
書籍の影響力の大きさを実感
最も嬉しかったのは、同じ医業経営者からの感謝の手紙です。勤務医時代の同僚や大学・医局時代の先輩・後輩からの声はもちろん、全国の医業経営者から反響があったことには大変驚きました。特に「同じ医業経営者として勇気づけられた」「自身は勤務医だが、病院経営に関心を持つようになった」という声が多く寄せられ、その数は2017年11月現在で36通を数えるほどです。中には手書きで熱い思いをつづっていただいたものもありました。
経営者になる前の私もそうでしたが、多くの医師は“医療のプロフェッショナル”であっても“経営のプロフェッショナル”ではありません。そんな医師にとって、経営について考えていただくきっかけとなれば幸いです。私の知識と経験が一人でも多くの医業経営者、医師に届くこと、ひいては日本の医療界に貢献できることを期待してやみません。
▲日経新聞・毎日新聞・産経新聞にて連合広告を掲載。新聞広告を見て書店に訪れた方への受け皿として、書店でも大型展開を実施。書店にて話題性のある書籍という演出を行った。
4. 出版を検討している企業へのメッセージ
医業経営者に限らず、経営者は多くの困難や苦難を乗り越えたからこそ現在の姿があるのだと思います。その困難や苦難を乗り越えてきた道のりやノウハウ、経営者として持つべき考え方は、まさに今困難や苦難に直面している経営者から強く求められているのではないでしょうか。
私が先人の著書から経営の基礎を一から学んできたように、書籍からは単なるノウハウだけでなく、経営に必要な考え方をはじめとするさまざまな知識を学ぶことができます。私自身、書籍を出版したことによって、改めて自身がいかに他者の知識や経験から学び、自身の経営に反映しているかを思い知らされました。皆さんの持っている知識や経験を、書籍出版という形で広く発信する機会があれば、勇気づけられ、救われる読者が必ずいるはずです。
編集者の視点
●実用書ではなくあえてストーリーの形式をとることで、読者からの共感・反響を狙った。
●医療経営者にターゲットを絞り、経営に苦しむ医師に向け、専門用語も交えながら原稿を執筆。