親子三世代の事業承継を小説に!100周年企業として新たなブランディングに成功 | 企業出版ダントツNo.1の幻冬舎メディアコンサルティング
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三世代の事業承継を小説に
100周年企業として
新たなブランディングに成功

社史・周年史メーカー(toB)メーカー(toC)記念誌・社史

マツ六株式会社

松本 將氏

マツ六株式会社代表取締役社長。小説内の将少年のモデル。大阪の四天王寺に実在する建築金物の開発・販売の老舗専門商社。社長就任後は建築や住宅の変化に柔軟に対応し、初代・二代目からの経営資源を受け継ぎ、新たな商材をはじめ販売手法の変革に取り組んでいる。新設住宅着工戸数が年々減少傾向にあるなか、高齢者向け住宅リフォーム事業で増益を続けている。

1.単なる社史では読まれない! 100年間の歩みをファンタジー経済小説に!

マツ六株式会社は、大正1033日に、私の祖父である松本六郎が金物店での丁稚奉公から独立して「松本六郎商店」を創業しました。創業以来、困っている人を救いたい、社会のニーズに応えたいという志を持ち続けています。私の父であり二代目社長の松本重太郎が事業を拡大し、代目社長の私が後継。親子三代での経営を続けて2021年、創業から100周年という節目の年を迎えました。そこで親子三代とマツ六株式会社が歩んできた歴史を何かしらの形で後世に残しておきたいと思っていました。

まず思いついたのが社史制作です。しかし、単なるデータやこれまでの歴史をまとめただけの社史は作りたくありませんでした。というのも、そういった従来の社史はあまり読まれませんし、それほど参考になりません。従来の社史とは異なる形でマツ六株式会社の軌跡をまとめる方法はないかと模索していた時に、「小説にする」というアイデアが生まれました。

サントリーホールディングス株式会社が『琥珀の夢』(2017/集英社)を出していますし、『海賊とよばれた男』(2012/講談社)は出光興産株式会社創業者の出光佐三氏をモデルにした小説です。企業規模の大小はあれど、どの企業にも「ドラマ」がある。そしてそういった書籍は誰しもの胸を打つものです。だからこそ今回マツ六の100年間のドラマを小説にするという挑戦を行いたかったのです。

制作するにあたって、いくつかの出版社から話を聞きました。100年間の史実を基にしたフィクションを制作するという壮大なプロジェクトです。小説にするにあたっては、100年間の裏側にある背景や因縁、人々の想いというものを描きたいと思っていました。読者にしっかりと読まれ、感動を与えることができるようなものにしたいと思い、複数の出版社から話を聞いた後、幻冬舎でマツ六の歩みを残すことに決めました。幻冬舎が一番一生懸命取り組んでくれるのではないか、という印象を持ったためです。刊行後周りからは、「幻冬舎をよく選んだね」「粋だ」という声をいただきました。

2.親子三世代の事業承継を小説に!企業文化や理念を人情ドラマに仕上げることに成功!

100年間を小説にするにあたり、どんなテーマにするのか。はじめ私は、創業者である松本六郎にフォーカスした内容を考えていました。しかし幻冬舎からの提案で、あえて創業者の六郎ではなく、私の父である二代目の重太郎に焦点を当てることにしました。というのも、こういった企業小説において二代目がフォーカスされることはあまりありません。そして昨今、後継者問題や事業承継が社会問題になっています。そうした事業承継のいちモデルとして、マツ六株式会社の私たちの同族経営ならではの一例を出すことができるのではないかと思い、事業承継を主題に定めました。事業承継をテーマにしながらも、それをダイレクトに小説内に落とし込むのではなく、家族の在り方にスポットを置きました。というのも、本作の著者の小説家・竹内清人さんに、小説では大切なことや伝えたいことは「読者に感じさせること」が一番大事という言葉をいただいたからです。経営者の私は比較的ストレートに言葉に表すので、小説ならではの表現の仕方というのは初めて体験しました。

創業以来、常に私たちは商品づくりにおいても、新しいサービスを展開するにおいても、唯一無二であることを追求しようというスタンスでいます。

私は、100年経ったからといって、多くの企業が「小説」という形でそれまでの軌跡をまとめて出版するということに対して躊躇してしまい、なかなかできないのではないかと考えています。これまでの企業活動を一冊にする際に大切なのは、コンテンツとなるような人に誇れることを企業として行ってきたか、世の役に立つことをしてきたか、ということです。当社も小説という描き方を選んだ際に、正直不安な部分はありました。しかし、幻冬舎と竹内さんがうまく一つの小説としてまとめてくれたので、唯一無二の100周年の出版になりました。

書籍を制作する際には、資料収集や情報をまとめることが非常に大変でした。作中にほんの少ししか登場しないキャラクターの年表なども作成して、登場人物の年齢設定や場面設定、時間軸など、細かい箇所でも矛盾が生まれないようにすり合わせを行いました。その点はとても苦労しました。

また、取材ではマツ六株式会社に所縁のある企業の経営者や人物に取材を行い、作中でも一部の方々に登場してもらいました。作中に登場いただいた方にはとても喜んでいただき、私としても嬉しかったです。

▲事業承継をテーマにしているものの、手に取りやすい柔らかなタッチのカバーデザインに。 幅広い読者層を狙った。
▲実在するマツ六の社員の面々をモデルに、実際のエピソードに基づいていきいきと描いた。
▲関西圏を中心に配本を行った。また新聞広告を出し、より多くの読者のタッチポイントを創出、書店展開を促す施策を行った。

3.周囲から絶賛の声が続々!100周年企業として新たなブランディングに成功!

出版後嬉しかったのは、周りの方々から「泣いた」や「感動した」など、心が揺さぶられたといった感想をいただいたことです。父の功績や想いを周囲が理解してくれるのはとても光栄だと感じています。感動したシーンや印象深かったセリフは、読者でそれぞれ異なるようで、様々な感想をいただきました。一つのエピソードをとっても、一人ひとり感じ方が違うように、100年間というマツ六の歴史も、人や立場によって多様な捉え方があるのだと実感しました。

刊行後は、知り合いや友人、取引先や社員といった周囲にはたくさん本作をお配りしました。

社員たちは書籍刊行をとても喜んでくれました。おそらく若手社員などは、本書を通じて当社の歴史や人物、裏側のエピソードを初めて知ることができた人も多かったことでしょう。自分たちが働いている会社の新たな一面に気づき、愛社精神を深めてくれたらと思っています。作中では、教訓という意味合いで、リストラの話や、経営が厳しかった際の話などもあえて描きました。長年働いている社員の方々でも知らなかったことも多かったようで逆に驚かされました。ビジネス本や社史という形を取らなかったことで、社員の家族なども読んでくれました。小説という切り口が読者層を広げることにつながったと思います。

私には大学教授の友人が多いのですが、大学の講義内で、本書を学生たちに紹介してくれているとのことです。事業承継の書籍というと専門的な内容のものがほとんどなので、『かぞくの南京錠』は学生たちにも読みやすいのだと思います。

また、ありがたいことにいまは新卒採用でたくさんの学生が面接にお越しになります。中には本書を読んで面接を受けに来てくれる方もいるようです。出版によって知名度が少し上がったような気がします。経営や会社などをあまり知らない人でも、小説にすればしっかりと読んでくれますし、マツ六の歩みを追体験しながら理解を深めてくれるので、採用ツールとしても有効な一冊です。

さらに新規で取引を行う際に「100周年で出版を行った」というと、多くの方々が興味関心を抱いてくれます。わざわざ買って読んでくださる方も多く、マツ六の大切にしている理念や風土、軌跡を理解いただくにはとても良い商談ツールとなっています。既存の取引先の方々からは、「マツ六さんらしさが書籍から垣間見える」という声をいただきました。企業文化や精神という部分がしっかりと書籍に反映されていたのだと改めて実感しました。100年目の節目として、良い資産を生み出すことができたと思っています。

また、出版後は『かぞくの南京錠』からマツ六を経営的視点で分析するという対談を行い、HP上にアップしました。小説とはやや異なる観点から、経営戦略について語り合っています。書籍制作において、創業から現在までを振り返り、未来に向けたビジョンを再確認することができたからこそ、このようなこれまでにない企画を生み出すことができたと思います。また、現在はコロナ禍で実現が難しいですが、実は作中で登場したマツ六所縁の地に聖地巡礼するという企画も考えていました。いつか実現したいと思っています。

 前述したように、私は唯一無二のことを追求したいという考えから、このように小説という弊社しか実現できないような形で100年の歩みを出版しました。単なる売り上げや事業規模という部分ももちろん大切ですが、企業活動の中で地域や人々、社会に貢献してきたかどうかという点を私たちは重視しています。先代たちが築き上げてきてくれたマツ六の文化や人々・地域とのつながりという部分があったからこそ物語のコンテンツが生まれ、今回の『かぞくの南京錠』を制作することができました。そうした企業文化を築いてくれた先代たちを心より誇りに思いますし、さらにそれを形にしてくれた幻冬舎には非常に感謝しています。今回の制作で、改めて100周年を迎えることのできたありがたみに気づくことができました。

 

4.企業出版を検討している経営者へのメッセージ

私にも将来後継者となる倅がいるので、平素から「私自身が先代として何を伝えていくべきか」ということを考えています。倅には、マツ六の文化や理念を自分自身で腹落ちしてもらう必要があると思っています。今回100周年での出版を通して実感したのは、小説という切り口は事業を未来に継承していくには非常に有効だということです。入社したとき、社員として10年目のとき、役員になったとき、社長になったとき……。自分自身が置かれている立場や状況、時代の流れによって、本書を読む視点や感想は大きく変わってくると思います。未来の会社を担う人々へ向けて想いを自然に伝える手段として、今回『かぞくの南京錠』を制作をすることができて本当に良かったと思います。

編集者の視点

●マツ六株式会社の理念や当時の想いが伝わるよう、いきいきとキャラクターを描くことを意識した。

●一般の読者が楽しむことができるよう、「南京錠」を物語のキーとして登場させてドラマチックに家族の在り方・事業承継の在り方を描き出した。

かぞくの南京錠

竹内 清人

マツ六株式会社

引き出しにしまわれたままの南京錠が、
過去への扉を開く。親子三代、100年の物語。

――1972年の夏、ボクとおじいちゃんは、「かぞく」を探す旅に出た。
商いの町・大阪を舞台にした100年にわたる金物卸商の事業承継。
「かぞく」愛あふれるファンタジー経済小説。
大阪船場の商人文化、戦後の沖縄復興、バブル経済の終焉……と
激動の近代日本を駆け抜けた、実在する老舗企業の歴史を映画脚本家が小説化。

大阪の老舗金物卸商の二代目社長であった父・松倉充太郎が亡くなった。
充太郎を見送るため、息子の三代目社長、将は告別式の喪主を務める。
葬儀当日、将は充太郎の引き出しから、ずしりと重い南京錠を見つける。
しまっていた理由を知る者は、いまとなっては将ひとりだ。
「長いこと隠しててすんません、充太郎さん」と、将は心のなかで父に詫び、
自身の胸ポケットに南京錠を収めると、ふいに将の心に遠い昔の記憶が蘇る……。
1972年、日本に沖縄が返還されたその年。
11歳の将は、小学校の担任に反発して不登校となり、
家業の金物卸商「マツ六」創業者である祖父・六郎の家に丁稚奉公することになる。
ある日、納戸の修繕をしていた六郎がよろけて頭を打った。
六郎は病院から帰ると、これまでの人生でやり残したことを清算するため、
突然旅に出ることを決意する。
心配した家族が六郎の旅のお伴に選んだのは、なぜか孫の将だった。こうして、これまで孫に向ける愛情を持たなかった老経営者と、
小学生の珍道中が始まる。
旅を通じてぎこちない二人の間に徐々に生まれる絆。
だが、祖父と将の父親には、経営者と跡継ぎとしての確執があった。
100年企業の祖父、父、子はぶつかり合いながらも会社とかぞくのために奮闘する。
果たして三人が見つけた会社とかぞくのカタチとは……。
商いの町・大阪に実在する建築金物卸商『マツ六株式会社』を舞台に繰り広げられる、
親子三世代の物語。

【目次】
プロローグ
第1章 戸車
第2章 げんこ
第3章 塩ビ管
第4章 マツ六の南京錠
エピローグ
あとがき対談


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