出版後は、多方面から反響がありました。
書籍を通じて、私が重視している「心を起こすケア」の理念を広めることができ、多くの人々に共感いただくことができました。
私の独自の経歴や考え方に興味を持つ経営者の方々が現れ、「面白い」という評価をいただくことが増えました。現在、2社の社外取締役として運営や経営に携わっています。これらの依頼は、私の本を読んでいただいたことや、海外視察での交流がきっかけです。主な依頼内容は、社員を幸せにするという理念を基にした経営支援です。多くの企業が人材不足に悩んでいるなかでも、所属企業では人材に困っていない状況を維持できています。
このような成果も含めて、経営者の方々から「一度やってみてほしい」と声をかけていただく機会も増えており、新たなビジネスの展開につながっています。
また、多くの企業関係者が施設見学に訪れるようになりました。特に印象深かったのは、グッドタイムリビングさんからのご相談です。会長にも書籍を読んでいただいたことがきっかけで、担当者が施設運営方法についての相談に来られたのです。このほかにも、運営や経営について直接相談される機会が増えており、新たな出会いが生れています。これまでのつながりだけでは知られていなかった一面が、書籍によって新たに認識いただいていることが理由としてあるのではないかと思います。
採用面でも反響は大きかったです。私は現在も面接を自ら担当していますが、応募者から「本の人ですね」と声をかけられることが多くなりました。実際に、私の書籍を読んで「この会社で働きたい」と感じて応募してくださる方が一定数いらっしゃいます。書籍の内容と、会社のホームページで掲げている方針が一貫していることが、応募者に信頼感を与えているようです。その結果、入職者が増加し、人材が途切れることなく確保できている状況が続いています。ブランディングが強化され、第一志望先として選んでいただくことが増え、会社の理念に合う人材を採用しやすい環境が整っています。
採用には直接つながりませんでしたが、特に印象的だったのは、名古屋在住の看護師との出会いです。その方は私の書籍を本屋で偶然見つけ、感銘を受けてすぐに連絡をくださいました。最初の電話で私が直接対応したことに驚かれ、職場の厳しい状況やつらい経験を涙ながらに語ってくださいました。私は個人的に相談に乗り、LINEでの交流を通じて支援を続けました。その結果、その看護師は訪問看護ステーションに転職し、楽しく働ける環境を手に入れることができました。現在も交流は続いており、「書籍をきっかけに人生が大きく変わった」と感謝の言葉をいただいています。
看護業界では悩みを抱える方が多く、私の考えや経験が励みや指針となっているようです。起業を目指す看護師の方々から、起業に踏み出す勇気や具体的な方法について相談を受ける機会が増えています。
インナーブランディングの観点でも、書籍が企業理念や思いを職員全体に浸透させる重要な役割を果たしています。年に1回開催される全職員向けの研修では、書籍を題材として使用し、会社の理念や方向性を伝える取り組みを行っています。書籍を活用して会社の特徴を解説することで、社員の理解を深めることができています。このように、書籍はコーポレートブックとしての機能も果たし、教育や理念共有のツールとして多面的に活用されています。特に印象的なのは、書籍を通じて私の人間的な一面が職員に伝わるようになったことです。社長という立場でありながら、私も完璧な人間ではなく、失敗や苦労を重ねてきた経験があります。書籍に書かれた資格試験の失敗などのエピソードから、私の人間味やユーモアを感じてくれる声が多く聞かれ、「身近で親しみやすい存在」として受け止められるようになりました。このような不完全な一面が、職員に親近感を与え、組織への帰属意識を高める効果を生んでいるようです。
実際の現場でも、職員が利用者様と向き合う姿勢や行動から、会社の理念が確実に浸透していることを日々実感しています。例えば、利用者の表情や行動、食事量の変化からは、職員のケアの質や関わり方が如実に表れています。朝、利用者様が笑顔で過ごしている様子からは、前夜の夜勤が穏やかで質の高い時間だったことが確認できます。
また、書籍を通じた自己開示は、信頼関係を築く速度を格段に速めました。経営の成功だけでなく立ち上げ時の苦労も共有したことで、多くの方から相談を受けるようになりました。書籍を読んでくださった方との関係性は、そうでない場合と比べて距離感が近く、コミュニケーションもスムーズです。
講演依頼などでも「起業家ナース」というタイトルが私の代名詞として紹介時に使われており、活動を広げる上で名刺代わりとして大きな助けとなっています。
書籍が単なる情報提供の枠を超え、「共感」や「理解」を深める効果的なツールとなっています。