著者インタビュー

赤字会社でも「売れる」ことを伝えて、 倒産の悲劇を1社でも多く防ぎたい。

山田氏

Q. 様々な案件を手掛ける中、今回、赤字会社の売却について出版を決意されたのはなぜですか?

倒産案件の申立代理人および破産管財人・監督委員として、様々な倒産事案を手掛けてきました。倒産はその会社だけの問題ではありません。取引先に多大な迷惑をかけることはもちろん、不幸にして連鎖倒産を引き起こしてしまうことも少なくありません。また一緒に会社を大きくしてきた同志である従業員も路頭に迷わせてしまいます。

経営者が倒産という最悪のシナリオを選んでしまう理由の一つに、経営者の生真面目さがあります。業績が悪化して赤字経営に陥っても、取引先や従業員のことを考えるあまり、思い切った策を講じることができず、ギリギリまで頑張って挙句の果てに倒産してしまう経営者が本当に多いのです。

一般的に、業績が悪化した会社を「売る」という方法は知られていません。しかし業績が悪化していても、その企業には「ダイヤの原石」ともいえる「強み」が埋もれています。それは、熟練工の技術かもしれませんし、取引先との信頼関係かもしれません。

たとえ赤字経営であってもその「強み」の部分だけを上手く切り分ければ、事業譲渡という方法で売却することができるのです。

事業譲渡をすれば、経営者が大切に育ててきた事業は存続し、従業員の雇用も確保できます。また、事業自体は買受会社に移行しますから、旧来の取引先との関係も継続することができます。

しかも、経営者は譲渡金を活用して債務をできるだけ縮小し、周囲への被害を最小限にしたうえで、経営者保証ガイドラインなどの法的措置を講じれば、最低限の生活を守り、破産を免れて、きれいな体で第二のスタートを切ることができるのです。一般的にあまり知られていない事業譲渡について、一人でも多くの方にわかりやすく伝えることで、倒産を減らしたいと願い、出版を決意しました。

読者を救うことができた。 出版が間違いではなかったと実感した瞬間

手紙

Q. これまで山田先生が出会った案件で印象的なエピソードを教えてください。

この本の読者からご相談をいただいた案件です。

愛知県内で美容院を経営する40代のオーナーからのご相談でした。本人は美容院を経営する意欲はあったものの、片腕として期待していたスタッフが事情により退職する見込みとなったこと、経営者の拠点は関西であり、関西方面での事業に集中したかったことから、その美容院を廃業しようと決意しました。

とはいえ廃業してしまえば、スタッフが失業しますし、何よりもお客様にご迷惑がかかります。廃業するか否か悩んでいた矢先に、この本と出会われたそうです。本を読み、一店舗だけでも事業を譲渡することができることを知り、ご連絡をいただきました。

事業譲渡は美容院という売りやすい業態であったこと、また、かねてより私の知人が美容院の譲り受けを希望していたこともあり、相談から4か月ほどという短期間にすべてが終了したのです。

事業譲渡が完了した後、店舗を閉めようか悩んでいた時にこの本に出会い、勇気を出して私に電話をして本当によかったと感謝のお手紙をいただきました。

私が出版を決意したことは間違いではなかったと実感できました。

中小企業を救うことが 日本経済の衰退に歯止めをかける

グラフ

Q. 赤字で苦しむ経営者を一人でも多く救っていくことで山田先生が実現したいことは何ですか。

日本の民間企業の99.2%は中小企業であり、そこで雇用される従業員は民間企業全体の70%を占めています。中小企業はまさに日本経済の基盤をささえているのです。

しかし、中小企業は減少の一途をたどり、1999年には484万社あったものが2014年には8割の381万社に減っています。これは、日本が成熟社会を迎えたことによる産業構造の変化、少子高齢化による市場の縮小などが原因ですが、大きな原因の一つが中小企業経営者の高齢化にあると思います。

私が申立代理人や破産管財人・監督委員を務めた倒産案件を通して見えてくるのは、高度成長期を支えてきた経営者たちの苦悩です。

彼らは、自らの利益よりも育ててきた事業を守ること、取引先を守ること、そして従業員を守ることを第一に考えています。しかし、経営環境の変化に追いつかず、自らも歳を重ねる中で、いつしか業績は右肩下がりとなり、赤字に転落してしまい、ついには倒産を迎えるのです。

しかし、その企業を事業売却という形で残せば、会社名は消えたとしても、その事業によって生み出される収益や雇用は存続し、日本経済の一翼を担っていけるのです。また、経営者がまだ若ければ、事業売却で債務を清算し、経営者保証ガイドラインで身ぎれいになることによって、新たな事業を起こすことも可能になります。

リーガル・サービスを通じて日本経済の発展に少しでも役立ちたいと願っているのです。

経営に行き詰まったら 勇気をもって相談してほしい

山田氏

Q. 読者の皆様へのメッセージをお願いします。

事業の存続で悩んだら、とにかく勇気をもって早めに相談してほしいと思います。本書では、赤字会社を「事業譲渡」という形で売却する方法を解説しましたが、この方法以外にも様々な法律を駆使して経営者を守ることができます。

経営者にとって、事業の存続について相談する相手はなかなか見つけにくいものです。たとえば、取引銀行に相談すれば、業績悪化を理由に融資をストップされるかもしれません。経営者仲間に相談したら、外部に漏れるかもしれません。もちろん、幹部社員に相談しても、社員に動揺を与えてしまいます。

他人に相談できないから、経営者は一人で悩み続けることになってしまうのです。その点、弁護士なら中立の立場で、個人のプライバシーを尊重しつつ適切なアドバイスをすることができます。

業績悪化や廃業について、罪悪感を持つ必要はありません。あきらめてしまう前にとにかく勇気をもって相談してください。そうすれば、あなたが会社にかけた思いは次の世代に受け継がれていくことになるのです。

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弁護士事務所しょうぶ法律事務所

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