企業 ブランディングコラム

企業出版(ブランディング出版):HOME > 企業 ブランディングコラム一覧 > 非検索ユーザーへのリーチにより、1年でリード獲得の20 %をデジタルに移行

サービス案内

非検索ユーザーへのリーチにより、1年でリード獲得の20 %をデジタルに移行

機械製造業C社/250名(上場グループ企業)

BtoBビジネスの場合、自然検索からでは問い合わせがほとんど取れないことも珍し しくありません。

あまりにも市場が狭すぎて自然検索がほとんど見込めないというケース。あるいは、検索は一定数あるものの、あまりにもサプライヤーが多いために、競争が熾烈となりとても採算が合わないというケース。また、成熟業界であり、検索しなくても多数の業者と取引があるため、わざわざインターネットで取引先企業を探さないというケースもあります。

事例3

本事例では、非検索ユーザーへのリーチでリード獲得数を大幅に増加させた方法を紹介します。


【課 題】

機械製造業のC社は、とある特定の分野でシェアナンバーワンを誇り、高収益を挙げてきた優良メーカーでした。ところが、業界が成熟期に入り、それ以上の伸びが見込めなくなってきました。近年は業績の頭打ち感が出てきており、また競合企業の追随により、徐々に収益性が落ち始めてきていたのです。

そこで、収益性を高めるために、現在のシェアを維持しつつ、マーケティングコストを切り下げていきたい、という要望が社内から出てきました。C社はそれまで、展示会出展を中心にリードを獲得してきました。しかし、展示会への出展は、人的コストも金銭コストもかかります。また、展示会終了後、獲得した名刺に1件1件営業のアプローチをしても、受注に至る確率は極めて低く、リード獲得後の営業効率も高いとはいえませんでした。

リード獲得コストや、受注に至るコストを考えた際に、今後は展示会出展を減らし、徐々にデジタルへ移行していくことが必要であろうという結論に至ったのです。デジタルマーケティングは、アナログマーケティングに比べると、確かにコストは下がります。それは、人が動かなければならない部分を、ITで代用するからです。しかし、デジタルマーケティングで、本当に展示会を代用できるほどの成果が挙がるのかについては、社内ではまだ半信半疑の人が多く、その点がネックとなっていました。

 

デジタルマーケティングは、経営層にとっても、マーケティング担当者にとっても、いまだによく分からない世界で、その仕組みや成果が十分に知られていないのです。よく分からないものに対して、大金を投資する人はいませんから、企業のデジタルマーケティングの導入は、どうしても少ない予算で試験的な取り組みからのスタートになります。しかし、予算を十分に取らずに始めたがゆえに、失敗することも多く、それがデジタルマーケティングに対するネガティブなイメージを引き起こしています。C社もその例に漏れませんでした。

C社は、これまでもデジタルマーケティングに興味を持って実施してきたものの、年に数回ほどの単発のキャンペーンを行うのみで、本格的な展開はしてきませんでした。継続的な取り組みがなされていなかったために、キャンペーンの成果はほとんど上がらず、デジタルマーケティングは成果につながらないもの、というネガティブな印象が社内にはあったそうです。

しかし、年々低下する収益に、とうとう、本腰を入れて取り組んでみてはどうかという案が通りました。一方で、C社の社内にはデジタルマーケティングに懐疑的な声も残っていたため、1年で結果を出してほしいとの要請でした。具体的にいえば、1年以内にC社のリード獲得件数の20%を、デジタルマーケティングから挙げてほしいといわれたのです。決して簡単な目標ではありませんでしたが、不可能な数字ではありません。


こうして、目標の達成に向けて、短期間での集中的なマーケティングが始まりました。

【方 向 性】

C社は、それまでデジタルマーケティングをほとんど行っていなかったので、方針を定めようにも、その根拠となるデータがありません。そこで、最初にテストマーケティングを実施することになりました。2カ月間のテストマーケティングでさまざまな施策を試し、C社の事業においては、どんな施策が効果があり、どんな施策が効果がないのかを検証したのです。

というのも、BtoBのデジタルマーケティングは、企業ごと、事業ごとの個性が強く、他社で成功した戦略や施策をそのまま別の会社に適用しても、うまくいくとは限らないからです。商品やサービスの特性、市場や競合他社の特性、さらにはキーワードの特性などもあって、当初の予想どおりにならないことがほとんどなのです。

しかし、デジタルマーケティングでは、試行と検証、つまりPDCAサイクルを回すことが容易であるため、実地のデータに基づいてマーケティングの確度を高めていくことができます。そのため、結果的にはアナログマーケティングよりもマーケティング効率が大きくなることが多いのです。

C社の場合、リスティング広告やディスプレイ広告、SNS広告、純広告、SEO、ウェブサイト改善、ランディングページ制作など、考えられるありとあらゆる施策を、それぞれ少額のコストで2カ月間ですべて実行して、実際にどのような効果が出るかを検証していきました。

 

各施策の評価のために最初に行ったのはIP解析です。IP解析を行うと、ユーザーがウェブサイトを閲覧している場所(IPアドレス)から企業名を判別することができます。

つまり、どのような企業がウェブサイトに訪れたかを知ることができるのです。実際の判明率は、20~40%程度ですが、次のような貴重な情報を得ることができます。


● どの集客施策がターゲットとなる企業を呼び込むことができたのか

● どのような企業がC社の商品やサービスに興味を持っているか

● 業種や規模によって興味のありか(アクセスするページ)に違いはあるのか

● 商品・サービスに興味がある企業は、具体的にどのような行動をしているのか

● 問い合わせに至った各企業はどのようなページを閲覧しているのか

C社では、私の会社のIP解析ツールであるLead Analyzer(リード・アナライザー)を利用して分析しましたが、無償ツールとしてウェブ上で配布されているので、興味を持った方はぜひ一度試してください。

IP解析によって、ウェブサイトのアクセス傾向はもちろんですが、SEO効果や広告効率を把握することができます。どの広告からどんな業種の企業が来ているのか、どの集客策がターゲット企業をより多く呼び込めるのか、問い合わせに至ったユーザーはどの広告から多く来ているかなど、広 告効果やSEO効果を分析する際にも使うことができます。

IP解析とともに実施したのは、ユーザー行動分析です。ウェブサイトに来訪したユーザーのマウスの動きを録画し、ウェブサイトに来訪してから離脱するまでの一連のユーザー行動を動画で見ることができるツールを導入しました。このツールを導入することで、アクセス解析では分からない具体的なユーザー行動を把握することができます。

ユーザーがウェブサイトに来訪してから、ウェブページ内のどのコンテンツに注目しているのか、どのコンテンツは見られていないのか、どこで迷っているのか、どこのボタンを押して移動しているのか、など、ユーザー行動を視覚的に把握することで、ユーザーの意図を推測することができます。

アクセス解析では、同じ「直帰(1ページのアクセスのみで離脱してしまうこと)」という行動をとったユーザーであっても、ページをじっくり読んで離脱している場合と、ウェブページに入ってきてすぐに離脱しているユーザーは、まったく質が異なると考えます。通常のアクセス解析だけではなく、IP解析とユーザー行動分析も取り入れながら、各施策の効果を検証していった結果、C社がマーケティングを実施したい商品は、検索エンジンからはほとんど問い合わせが取れないことが判明しました。

C社の商品の関連キーワードで検索をかけてきた訪問者は、情報収集が目的のユーザーが大半であり、問い合わせにはつながりにくいことが分かったのです。その関連キーワードは、商品比較時のみに使われるような限定されたキーワードではないうえに、まだ新しい概念だったので情報収集目的で検索されることが多かったのです。

また、購入意欲のあるユーザーもわずかながら存在していたのですが、キーワード自体がビッグワードであったため、検索回数が非常に多く、それに比例してライバル企業も多く存在しました。そのため、自然検索の表示順位を上げることは困難であり、リスティング広告で集客するにも費用が高すぎました。

v無理をしてSEOやリスティング広告に力を入れたとしても、CPA(Cost Per Action :問い合わせを1件獲得するための費用)が非常に高くなってしまいます。そうなると、C社の予算では目標とするだけの成果は挙げられなくなることが明らかだったのです。

すでに述べたように、BtoBのデジタルマーケティングの基本は検索エンジンからの集客になるため、そこから問い合わせが見込めないとなると、成果向上のためのハードルがかなり高くなってしまいます。しかし、ひとたび仕事を受けたからには目標に向かって、できる限りのことをするしかありません。検索マーケティングよりも難易度は格段に高まるのですが、ターゲットが集まる専門媒体を中心にバナー広告を出稿し、そこから問い合わせ獲得を狙っていく方向を目指すことにしました。

書籍名:「分析」で成果を最大化するBtoBビジネスのデジタルマーケティング

著者:中田 義将 (株式会社リーディング・ソリューション)

1978年生まれ。株式会社リーディング・ソリューション代表取締役。 早稲田大学政治経済学部卒業後、大手経営コンサルティング会社入社。グループ会社役員を経て、2004年株式会社イングロス(現・株式会社リーディング・ソリューション)を設立。B toB企業を中心に、上場企業からスタートアップ期のベンチャー企業まで、業種・規模にかかわらず幅広くマーケティングを支援している。上場企業・有名企業を中心に、多数のコンサルティング実績、マーケティング支援実績がある。

amazonサイトはこちら >

幻冬舎MC facebookページ

  • 企業 ブランディングコラム 一覧

関連コラム

第3章 データ分析を重視した デジタルマーケティングを いち早く取り入れた 企業だけが勝ち残る
データ分析で失敗する3つのパターン デジタルマーケティングには、データ分析のイメージ…
成功要因の明確化と強化によって 大量リード獲得に成功
ITサービス/100名(非上場) 最後の事例は、PDCAサイクルを回しながらマーケティン…
予算配分・リソース配分の最適化によって、 12カ月で新規事業売上が3倍に
サービス業/1000名(上場企業) 将来は市場拡大が確実視される新規事業を、いち早く手掛…
大量に得られるデータを 的確に読み解く
デジタルマーケティングの最大の特徴は、ウェブ上の顧客行動について、あらゆるデータが取れるこ…
お問い合わせ・資料請求