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〈効率重視でコンテンツ作成〉

作成するべきコンテンツを洗い出した後は、実際にコンテンツの作成を開始します。

理想は、すべての見込み客に対して、できる限り相手に合った個別の情報を提供することです。そのためには、テーマごとに考えうるコンテンツを、一つひとつ丁寧に制作していくことが必要ですが、労力の観点からも、費用対効果の観点からも、そんなことは不可能です。

コンテンツの作成には手間と時間がかかるので、一朝一夕にすべてをそろえることが難しいのです。これがコンテンツマーケティングの弱点になります。そこで、できる限り効率よくマーケティングを進めていくために、最初は特定のテーマを深掘りせずに、広く浅くコンテンツを作成して、PDCAサイクルを回して、反応の大きかったものから優先的に、徐々に深い内容のコンテンツ作成へと移行することにしまし た。

そして、完成したコンテンツから順次ウェブサイトに公開していき、作成した記事数とコンバージョン(資料ダウンロードや問い合わせなどのアクション)への関与数を視覚化しながら記事作成を進めていきました(図表19参照)。コンバージョンへの関与数とは、コンバージョンに至ったユーザーがどの記事を閲覧していたかを調べたものです。

記事の本数が少ないのにコンバージョン関与数が多い、左上の象限は、記事本数を増やすことでさらにコンバージョンを増やすことができると推定されるため、最優先でコンテンツを増強すべきテーマとなります。

具体的には、「代替サービスとの比較」「基礎知識」「用語集」などの記事です。

このなかで「用語集」については、懐疑的に感じる方もいらっしゃるでしょう。専門用語を説明するだけのコンテンツで、自社サービスの興味喚起につながるのか、という疑問です。しかし、これまでの支援先でも、用語集は、説明内容と導線設計をしっかりと作り込めば、大きな成果を生み出すことが少なくありません。

特にD社では、検索ボリュームがかなり大きく、また、コンバージョン関与数も多かったため、重点的に用語説明の記事を増やしていくことになりました。

一方、記事本数を増やしたのに、コンバージョン関与数が少なかったのは「関連法律」の記事です。こちらについては、検索回数も多かったのですが、ただ法律を調べたいだけの情報収集ユーザーがほとんどで、サービスの購入検討者とは異なるターゲットであったために、コンバージョンにはさほど寄与していないという分析になりました。これらのテーマについて、今までに作成した記事を削除する必要はないものの、これ以上のコンテンツ作成は行わず、CVに影響が大きいコンテンツ作成に労力を集中していきました。

このような効率を考えた進め方の工夫によって、できるだけ記事作成の労力を抑えながら、成果を生み出していくことができました。


〈リード獲得用のダウンロード資料も拡充〉

コンテンツマーケティングにおけるコンテンツの役割は、集客と啓蒙とリード獲得の3つに分けられます。

集客は、検索エンジンから見込み客をひっぱり込むことを目的にした記事です。啓蒙は、コンテンツの中身を読んでもらうことで、基礎知識を獲得し、商品・サービスの価値や優位性を理解してもらうことが目的になります。

リード獲得は、見込み客にとって有用な資料を準備し、そのダウンロードと引き換えにメールアドレスや会社名・氏名などの連絡先を入手することです。最初に充実させるべきは、もちろん集客と啓蒙のためのコンテンツです。しかし、せっかく集客しても、それだけで終わってしまっては問い合わせにつなげることができないため、必ずリード獲得用のダウンロードコンテンツも併せて作っておかなければなりません。

問い合わせの獲得は、一朝一夕に実現できるものではなく、まずはメールアドレスなどリードを獲得してから、そのリードに対してメールマーケティングなどのナーチャリングを丁寧に行って、ある程度の時間が経過してから、成立するものです。

ウェブサイトとメールを通じての、たゆまぬ情報の提供と接触が、信頼性の獲得につながり、信頼性が担保されて初めて問い合わせにつながるのです。そのため、問い合わせ獲得のための最初の目標はリード獲得であり、その第一歩となるのが、ダウンロード資料の準備です。

D社のケースでは、当初は5種類のダウンロードコンテンツを用意して、ウェブサイトに掲載しました。ダウンロード資料は数種類用意しておくと、より広いユーザーニーズに応えることができるため、1種類ではなく、複数準備するのが一般的です。

その後、ページごとに、どのダウンロード資料へ誘導していくのが最もコンバージョン率が高いのかを分析し、誘導導線や誘導文言の改善を進めていきました。 ユーザーの興味によって、閲覧するページも異なり、最終的に欲しいと思うダウンロードコンテンツも違ってくるからです。

例えば、記事Aを読んだユーザーは、資料Aを最もよくダウンロードしてくれましたが、記事Bを読んだユーザーは、圧倒的に資料Bをダウンロードしていて、資料Aをダウンロードした人はゼロでした。このように、ユーザーの興味関心によって、ダウンロードされる資料も異なってくるので、最も適した資料のダウンロードページへの導線を作っておくと、ダウンロードへの誘導がスムーズになります。

また、PVが多いコンテンツについては、そのコンテンツに最もよく合致したダウンロード資料を新規で追加作成していき、コンバージョン率の向上を図っていきました。コンテンツ作成とダウンロード誘導改善を同時並行で進めていくことで、獲得できるリードが、どんどん増えていきました。


〈継続的なSEOで集客力を強化〉

コンテンツマーケティングといっても、集客は結局のところ検索エンジンに頼ることになります。コンテンツマーケティングの場合は、目標が問い合わせ獲得ではなく、資料ダウンロードなどのリード獲得になります。すぐに営業できないリード情報の獲得に広告費をかけるわけにはいかないため、コンテンツマーケティングでは、自然検索での表示順位を上げるSEOが、施策の中心となります。

そのため、記事ごとに丁寧にSEOを実施していくことが重要になります。地道な作業であり、作業量も膨大になりますが、一つひとつ丁寧に改善を行っていくことが、実は一番労力が少なくて済む方法なのです。

具体的なSEOの手法は、事例1で紹介しています。


〈一度獲得したリードに対する定期接触を実施〉

ダウンロード資料と引き換えに獲得したリード(メールアドレスを入手した顧客)に対しては、定期的にメール配信を行っていきました。具体的にいえば、一度獲得したリードに対しては、コンテンツをアップするたびにメールを配信することで、再来訪を促していきました。

これは、アナログマーケティングでいえば、営業マンの御用聞きにあたります。しつこい営業は忌避されることもありますが、新しく有用な情報がウェブサイトにアップロードされたことを知らせるメールを嫌がる人はあまりいません。メールマーケティングによる定期的なフォローによって、D社の事業やサービスを思い出してもらい、必要性を感じたときにすぐに戻ってきてもらえるようにしました。これによって、ウェブサイトへのリピートは飛躍的に増えました。また、細かく分析をしていくと、自然検索からウェブサイトに来訪したユーザーのリピート率は65%にも上っており、SEOで新規顧客を集めなくても、リピーターから問い合わせを確保できるようにもなりました。


【デジタルマーケティングの結果】

これらの取り組みにより、1年間で、問い合わせ数は約3倍に増えました。

月間数件程度だったリード獲得数も、ダウンロードコンテンツの整備が功を奏して、月間約200件程度まで、大幅に増加しました。

最初に質の高いコンテンツを一定数そろえるまでは時間と手間がかかりますが、コンテンツ作成量が一定ラインを越えると、その後は、充実したコンテンツが長期間変わらず集客を続けてくれます。

ある程度のコンテンツがそろったあとは、新規コンテンツの追加を止めたのですが、その後も、問い合わせ獲得数・リード獲得数が減少することはなく、最初にかかったコストを取り戻せるようになりました。

ニッチな市場で、ほかにデジタルマーケティングに力を入れている競合企業も存在しないために、関連キーワードで検索すると必ずD社が検索結果の上位に表示されます。それが信頼感を生み、集客を増やしました。

また、最初は時間がかかっても、手を抜かずに品質の高いコンテンツを作ったことで、D社のウェブサイトに行けばこの業界のことがすべて分かると思わせたことも、信頼感を強めることに役立ちました。

その結果、すぐに問い合わせにはつながらなくても、ウェブサイトへのリピーターが増加し、将来の見込み客をたくさん作ることに成功しました。

書籍名:「分析」で成果を最大化するBtoBビジネスのデジタルマーケティング

著者:中田 義将 (株式会社リーディング・ソリューション)

1978年生まれ。株式会社リーディング・ソリューション代表取締役。 早稲田大学政治経済学部卒業後、大手経営コンサルティング会社入社。グループ会社役員を経て、2004年株式会社イングロス(現・株式会社リーディング・ソリューション)を設立。B toB企業を中心に、上場企業からスタートアップ期のベンチャー企業まで、業種・規模にかかわらず幅広くマーケティングを支援している。上場企業・有名企業を中心に、多数のコンサルティング実績、マーケティング支援実績がある。

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