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〈広告媒体を選定し広告出稿〉

C社では、クリック課金型のバナー広告を出稿することにしました。クリック数に応じて広告費が決まるものをクリック課金型広告といいます。できる限り効率よく広告展開を行っていくため、次の3つのポイントに注意しました。


⑴ 媒体決定においては、広告露出回数よりもターゲット含有率を重視する

ひとくちにバナー広告といっても、Yahoo!や新聞媒体、業界専門媒体、ブログなど、数多くの出稿先があります。どこに出稿するかを決めるにあたって、多くの人が気にするのが広告の露出回数(出稿先ウェブサイトのアクセス数)です。より露出を高めたほうが、成果が出そうな気がしますが、実は、バナー広告で大切なのはどれだけ多くの人に見てもらえるかではなく、どんな人に見てもらえるかです。

ターゲットが確実に見ているであろう業界専門誌や、業界の専門サイトなどに広告を出稿すると、露出回数は少ないのですが、見込み客に確実に見てもらえるのでCPA(リード1件獲得あたりの広告費)が少なくて済みます。大手のポータルサイトや新聞媒体に広告出稿した場合と比較すると、CPAに20倍もの差が出ることもあります。

専門誌や専門サイトは、大手媒体と比較すると、広告出稿単価が安く、そのわりにターゲットがクリックする確率が高いため、広告の効率が非常に高くなります。


⑵ 広告出稿対象者を徹底的に絞り込む

最近のインターネット広告では、広告主の指定した興味・関心を抱いているユーザーだけに、バナー広告を表示させることができるようになりました。ウェブサイトの閲覧履歴などから、ユーザーの興味・関心を類推できるからです。同じウェブサイトを開いても、人によってバナー広告欄に表示される広告が違っているのです。これをターゲティング広告と呼びます。

広告出稿当初に、ターゲットを極限まで絞り込んだ複数のセグメントを作り、広告出稿を行っていきました。そして、実際に成果が出たセグメントは少しずつ条件を緩めながら、CPAが合うところまでターゲットを広げていくアプローチをとりました。一方、成果につながらないセグメントは出稿を停止していくことで、短期間で広告出稿を成果につなげていきました。


⑶ 「いかにクリックさせないか」を重視して広告クリエイティブを制作

バナー広告のデザインやコピーを検討する際、通常は、できる限り多くの人にクリックしてもらえるようなインパクトのある広告が良いと考えることが多いでしょう。実際、バナー広告の良し悪しはクリック率で評価されることもあります。

しかし、今回C社で使ったのは、クリック課金型の広告です。クリック課金型の場合、クリックされた回数に応じて、広告料金が高くなるため、ターゲット以外に闇雲にクリックされる広告は費用対効果が低い広告になってしまうのです。クリック課金型の広告では、ターゲット以外に「いかにクリックさせないか」が重要になります。ターゲットは確実に興味を持つが、ターゲット以外はまったく興味を持たない、そんな「一般受けしない」広告をいかに作るか、というのがポイントになるのです。


〈2.5カ月サイクルでのキャンペーン実施〉

デジタルマーケティングで大事なのは、PDCAサイクルを細かく回すことです。仮説を立てて(Plan)、試行し(Do)、効果を測定し(Check)、効果に合わせて改善を施す(Act)ことで、デジタルマーケティングの成果は高まっていきます。

C社のバナー広告出稿でも、このPDCAサイクルを細かく回しました。そのようにして効果測定を続けていくと、面白いことが分かりました。キャンペーンページを作成して、バナー広告を出稿すると、当然、数多くのアクセスが得られるのですが、それを一定期間続けると、だんだんと客足が落ちていきます。

キャンペーン効果と成果の関係性を分析してみると、図表16のように一定の法則性が見えました。1つのキャンペーンの効果が持続する期間はだいたい2.5カ月間だったのです。

出稿している場所やターゲットが同じですから、おそらく興味のあるユーザーが全員広告をクリックしてくれて、ウェブ上のユーザーが一巡するまでの期間が2.5カ月ということなのでしょう。ユーザーは、興味のある広告を見たからといって、すぐにクリックしてくれるとは限りません。その日は忙しいかもしれませんし、初見ではクリックするほどの興味が湧かないかもしれません。しかし、何度も同じ広告を目にしていると、だんだんと気になってきて、中身を見たくなるものです。そのようにして、だいたいの見込み客を回収するまでの期間が、C社の場合は2・5カ月間でした。

そこで、1つのキャンペーンの期間を2・5カ月とし、その期間を過ぎたら広告出稿を取りやめることにしました。とはいえ、1本の広告キャンペーンだけを2・5カ月間ずっと続けていても、ユーザーの飽きが早くなります。そこで、毎月1本新たな広告キャンペーンを投入し、常に2~3種類のキャンペーンがウェブ上で行われているようにしました。

広告の内容が違えば、興味を持ってくれるユーザーもまた違ってきます。このように、何種類かの広告を同時に走らせることで、広告から得られるユーザー数も多くなり、短期間での成果創出につなげていきました。また、2.5カ月間露出して、いったん撤収したキャンペーン広告を、6カ月の期間を おいて再び出稿してみたところ、以前と同じような集客効果が得られることも分かりました。

この結果は、次年度以降のマーケティング負荷を大きく減らすことになります。取り組み1年目は、新しいキャンペーンをゼロから企画し続けなければなりませんでしたが、翌年以降は、それらのキャンペーンのなかで成果が出たものを再利用できるので、キャンペーン企画の労力を大幅に削減することが可能になります。このような細かな分析を行うことで、最小労力・最小コストで、最大成果を挙げることが可能になっていくのです。


〈獲得したリードにはメールマーケティングを実施〉

このようにして、キャンペーンページに効率的に集客することに成功しました。キャンペーンページvの訪問客に対しては、さらなる情報や資料を提供する代わりに、社名や氏名・メールアドレスをもらう仕組みにしていたため、課題を抱えている担当者の個人情報が継続的に集まり始めました。

 

このように、ただアクセスしてくれただけでなく、メールアドレスなどの連絡先まで獲得できた見込み客を、リードと呼びます。このキャンペーンページで獲得したリード情報は、展示会で獲得した名刺と比べれば、より具体的な課題を抱えているという意味で、質が高い情報といえるでしょう。 ただ、この段階では、まだ最終的な目的の達成にはなりません。

C社の場合は、キャンペーンページで獲得したリードに対して、さらにマーケティングオートメーションを利用し、ナーチャリング(育成)を行っていきました。ナーチャリングとは、商品に興味を持っているリードに対し、継続的に商品の特性や使い方や課題の解決方法などの情報を提供することで、購入意欲を醸成していく活動のことです。

マーケティングオートメーションを使うと、リードごとの行動履歴(アクセスログ)に基づいて自動的に最適なメールを送ることができます。見込み客が抱える課題に合致した情報を定期的にメールで送信することで、「自社の抱えている課題はC社で解決できる」ということを認識してもらい、見込み客が購入段階にきたときに購入先の候補として挙げてもらうことを目的にしています。

マーケティングオートメーションを利用したナーチャリング活動を取り入れることで、ただリードを獲得するだけでなく、認知の向上や好感の形成、商談数の増加につなげていきました。


【デジタルマーケティングの結果】

これらの取り組みにより、C社のデジタルマーケティングは、当初に予想していたよりも良い成果を挙げることができました。デジタルマーケティングへの移行を目的にしていたC社は、当初の予定どおりに、毎年の展示会への出展数を2件減らしたものの、それによるリード減少分は、十分にデジタルマーケティングで補うことができました。

リード獲得件数の20%をデジタルに移行する、という目標も無事に達成しました。

さらに、継続的なバナー広告投下とメールマーケティングの効果で、C社が提供するさまざまなソリューションをより広く見込み客に認知させることができ、C社の社名での検索数が急増しました。その結果として、すぐに商談に入ることができるような問い合わせも増加し、前年に比べて商談数も1.5倍になったとのことです。

書籍名:「分析」で成果を最大化するBtoBビジネスのデジタルマーケティング

著者:中田 義将 (株式会社リーディング・ソリューション)

1978年生まれ。株式会社リーディング・ソリューション代表取締役。 早稲田大学政治経済学部卒業後、大手経営コンサルティング会社入社。グループ会社役員を経て、2004年株式会社イングロス(現・株式会社リーディング・ソリューション)を設立。B toB企業を中心に、上場企業からスタートアップ期のベンチャー企業まで、業種・規模にかかわらず幅広くマーケティングを支援している。上場企業・有名企業を中心に、多数のコンサルティング実績、マーケティング支援実績がある。

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