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大量に得られるデータを 的確に読み解く

デジタルマーケティングの最大の特徴は、ウェブ上の顧客行動について、あらゆるデータが取れることにあります。自社のウェブサイトであれば、何人が見に来ているか、どのページを見ているか、どこから来ているかなどの基本的な情報はもちろん、どういう順番でどのページを見ているか、などの情報もすべてアクセスログとして残ります。

広告を打てば、広告会社のツールによって、広告媒体やキーワードごとに、表示回数、クリック率、コンバージョン率、CPA(問い合わせ1件獲得あたりのコスト)などの広告出稿結果はもちろん、競合企業の広告出稿動向まで知ることができます。もっとツールを入れて分析するならば、ページ内で見込み客がどのようにマウスを動かし、どこでスクロールを止めてなにを見ているのかまで知ることができます。

また、訪問者のIPアドレスを分析すれば、企業名まで分かるため、どのような企業がどんな関心を持って、なにを見ているかまで分かってしまうのです。さらに、アクセス解析を助けるツールも、年々進歩しています。マーケティングオートメーションを導入すれば、個人を特定してアクセス傾向を分析することもできます。例えば、「昨日、営業訪問したA社の田中部長が、今日になって何度も自社の会社情報を見ている」「担当の伊藤さんも、価格のページを何度も見て、Q&Aでライセンス費用・保守サポート費用のコンテンツを読んでいるな」というような具合です。

ここまでの情報が分かれば、冷やかしの案件ではなく、部長クラスまで自社に興味を持ってくれていることや、導入コストだけでなく、導入後のランニング費用まで含めたトータルコストが重要な判断軸になっているであろうなどの推測を立てることができます。


そして、次の営業訪問では、自社も営業部長に同行してもらい、費用面の不安感を解消してもらおう、などのシナリオを策定できます。このように、あらゆるデータを取得し、営業やマーケティングに活かしていくことができるのがデジタルマーケティングの最大の特徴です。

しかし、一方では、あまりに大量のデータを取得できるがゆえに、どのデータをどのように読めばよいのかが分からなくなってしまうという問題もあります。私の経験では、基本的なデータ分析だけをしている場合でも、そのデータを十分に活用して、マーケティングに活かせる示唆を得ている企業は、非常に少ないと感じます。

また、データ分析についての誤解もあります。

それは、データを見ることが、なんらかの問題を探すことと同一視されていることです。

「ボトルネックを探す」などといわれたりしますが、データのなかで目立つ箇所を探し出して、そこを改善してほかと同じにすることで、マーケティングの全体がうまくいくような錯覚をしてしまうことが多いのです。例えば、多くの見込み客がAというページから入ってきて、A→B→Cとページを移動して、最終的にCからウェブサイトを離脱していたという事例があったとしましょう。本来、移動してほしかったのはCの先にあるページDであり、そこにリード獲得の窓口があるという場合、多くの人は、C→Dと行かなかったのは、ページCになんらかの問題があり、そのボトルネックを解消することで、ウェブサイトの改善が行えると考えます。

実際、ページCからDへの移動率は、ほかと比べて有意に低く、データ上でもその数字が目立つために、そこが問題であると考えられがちです。しかし実際には、ページCの改善によってこの問題が解決できる確率は、決して高くはありません。ゼロではありませんが、ほとんどの場合、問題はページCではないのです。

ページCが本当に問題になっている場合は、例えば、ページCからページDへの移動ボタンが存在しないとか、ボタンは存在していても非常に分かりにくい場所にあるとか、そのような、誰が見ても一目瞭然で問題が分かるようなことが多いのです。しかし現実には、そのような明白な問題があるケースは少ないうえに、そもそも、そのような問題は、わざわざデータ分析で数値を比較しなくても、それ以前に誰かが気づいているものです。


ユーザーがページCで離脱してしまっている要因はページC単体にあるのではなく、ページA→B→Cという閲覧履歴全体のなかにあることが多いのです。例えば、見込み客はページCの段階で、すでに情報収集の用事が済んでしまって、ページDに行く必要がなかったのかもしれません。

あるいは、ページCに到達するまでのA→B→Cと見てきたなかで、ウェブサイトの情報量に失望し、このサイトには欲しい情報がなさそうだから、これ以上見る必要がないと見切られてしまったのかもしれません。もしくは見込み客の温度がまだそれほど高まっていなくて、ページCの先にあるページDの情報に対してまだ興味がなかったのかもしれません。

ひょっとすると、現在のページCからページDへの移動率は、確かにほかのページと比べると数値的には低いけれども、リード獲得の最終段階への誘導率としては十分な数値であり、最初の目標設定が高すぎたのかもしれません。ボトルネックと思われる問題を見つけたとしても、そもそもそれが本当に問題なのかどうかも怪しいのです。


そして、もしそれが本当に問題だとしても、問題が発生している理由は、その場所以外でいくらでも考えられるため、ボトルネックとされた箇所だけを改善しても、数値の改善につながらないケースが多いのです。では、どうすればよいのでしょうか。

データ分析の目的を「ボトルネックの抽出」ではなく「成功要因の明確化」に変更することが必要なのです。ボトルネックを発見したとしても、問題点がどこにあるのかを見つけることは難しいのですが、成功要因を発見したとすれば、そこにリソースを集中投下することで、かなりの確率で成果をさらに上げることができます。

具体的には次の2つを実施することが大切です。


⑴ 成功要因を明確化し、徹底改善・徹底強化する

⑵ 成功要因とは無関係な部分に使っている費用を特定し、別の活動に回す

2つとも当たり前の話のように感じる人が多いのではないでしょうか。

しかし、この2つを徹底できている企業はほとんどありません。

まず、1つ目の「成功要因を明確化し、徹底改善・徹底強化する」についてです。

私の会社では毎月、さまざまな企業からマーケティングの相談がありますが、自社のデジタルマーケティングの「問題点」を整理している企業はあっても、「成功要因」を明確に認識している企業はほとんどありません。

成功要因がどこにあるのかを明確にしないまま、デジタルマーケティングに取り組んでいることが多いのです。企業の認知度や商品競争力、市場性、競合状況、マーケティングの外注パートナーの能力など、さまざまな要素によって成功要因は異なるので、「確実にこれが成功要因である」とまで言い切るのは難しい場合が多いと思いますが、「成功要因はきっとここにあるのではないか」という仮説は必要になります。

問題点を挙げ始めればきりがなく、問題点がなくなれば成功するわけではありません。あくまでも、「成功要因の獲得によってのみ成功することができる」というシンプルな原理原則に一度立ち返る必要があります。デジタルマーケティングで成果を創出していくには、成功要因に着目することが重要なのです。

2つ目の「成功要因とは無関係な部分に使っている費用を特定し、別の活動に回す」ということも、当たり前のことでありながら、実行できていないことが多くあります。デジタルマーケティングの実施にあたっては、ウェブサイトの運用は制作会社に、インターネット広告は広告代理店に、SEO施策はSEO会社に、マーケティングオートメーションの運用支援はマーケティング会社に、といった形で、さまざまな会社が関わっています。

そのため、発注企業側は、全体像を把握することが難しくなってしまうのです。各社のレポートのフォーマットが異なっていたり、そもそもマーケティングに対する考え方がパートナー企業間で統一されていなかったり、分業体制によって最終成果を誰も見ていなかったり、といった問題が発生するためです。

また、全体像を整理して成功要因が特定できたとしても、各社との契約の縛りによって、成果が出ている施策に予算を集中させることが難しいということもあるでしょう。理由はさまざまだと思いますが、成功要因を特定し、そこを徹底強化し、予算配分を増大させることで成果を最大化する、というシンプルな方法を実行できていないことが多いのです。


この問題を解消することができれば、デジタルマーケティングの成果を大きく伸ばせる可能性があります。

書籍名:「分析」で成果を最大化するBtoBビジネスのデジタルマーケティング

著者:中田 義将 (株式会社リーディング・ソリューション)

1978年生まれ。株式会社リーディング・ソリューション代表取締役。 早稲田大学政治経済学部卒業後、大手経営コンサルティング会社入社。グループ会社役員を経て、2004年株式会社イングロス(現・株式会社リーディング・ソリューション)を設立。B toB企業を中心に、上場企業からスタートアップ期のベンチャー企業まで、業種・規模にかかわらず幅広くマーケティングを支援している。上場企業・有名企業を中心に、多数のコンサルティング実績、マーケティング支援実績がある。

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