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顧客志向のウェブマーケティング会社は皆無 業者任せは100%失敗する

著者:GMCブランド戦略室

契約を取ってお金をもらうだけという発想のウェブマーケティング会社は、「まだやっていなければやったほうがいい」という営業スタンスで攻めてくるところがほとんどです。 その典型が、「サイトのアクセス数を上げるにはSEOを始めるのが当たり前」というセールストークで売り込むSEO会社です。

制作会社の営業トークの決まり文句は「サイトをリニューアルすべき」「コーポレートサイトとは別に販売用のランディングページが必要」などです。しかし何をもって必要なのかという根拠はありません。クライアントの事業内容、受注や販売の状況から、どのようなウェブマーケティングを仕掛けるかをまず考え、そのためにサイトリニューアルが必要だからという話ならば理解できます。単に「サイトをリニューアルしましょう」と言われて作っても、制作費が売上増につながらなければ意味がありません。

そのほかにも比較的新しいケースでは、DSP(Demand-Side Platformの略称。広告配信を希望している側のプラットフォーム)という種類のネット広告を営業してくる会社が増えています。確かにDSPはうまく使えばかなり効果のある手法ですが、素人には内容が理解しにくく運用も難しいため、苦戦する場合が少なくありません。よく分からないままに手を出すのはお勧めできません。

複数の手法が組み合わされて緻密な戦略が立てられたウェブマーケティングではない〝単品営業〞だと、どうしても売り手側の都合が先行します。 ひとまず広告を出してみようとか、検索の順位を上げようというだけで成功するほど、ウェブマーケティングは簡単ではありません。効果を出すためには戦略的に考えて手段を選ぶようにしなければなりません。これはネット広告やSEOだけでなく、あらゆるマーケティングに共通して言えることです。

ある日やって来た営業担当に言われてあっさり契約。運用を始めてからも相手の言いなりになっていたら、費用と労力を浪費してしまう危険性が高いといえます。

ビジネスに不可欠になったウェブマーケティング



私たちの生活に欠かせないインターネット。その影響力は年を追うごとに増していき、商品宣伝、集客、人材採用に至るまで、ビジネスのあらゆるシーンでも不可欠な存在になっています。

「ウェブマーケティング」なる言葉が生まれ、ウェブを活用した広告宣伝費も年々増加して、2018年には1兆4,480億円に達しています(電通調べ)。これは新聞、雑誌、ラジオでの広告費(7,903億円)を大幅に上回る数字です。多くの企業がウェブを重要な広告媒体として位置づけ、あの手この手の宣伝活動を繰り広げています。

しかしながら、多くの企業においてウェブマーケティングは「手探り状態」というのが実態です。独自のノウハウを持っている企業は少なく、ウェブを専門に扱う会社や広告代理店などに丸投げするか、専門知識のない一般社員がウェブ担当に任命されて悪戦苦闘しているケースがほとんどです。そういった会社には、ウェブマーケティング会社の営業マンが誘いの言葉をかけてきます。

「ウェブ広告を当社に任せてもらえば、今よりはるかに効果的な集客ができます」

「SEOに費用をかけて検索時の掲載順位を上げれば、御社のサイトが多くの人の目に留まるようになります」

「サイトのデザインが昔風で使いにくく、このままでは売上が伸びないばかりか会社のイメージまで落としてしまいます。最新のスタイルに作り変えましょう」 こういった営業トークを真に受け、売上増への期待からウェブマーケティングの外注を決める会社が実に多いのです。

実際に契約して業務を委託すると、検索サイトなどあちこちのサイトに広告が出るようになり、自社のウェブページも垢抜けたデザインになったりしますが、検索順位はなかなか上がらず、問い合わせ件数や売上が伸びる気配もありません。外注先に問い合わせても納得のいく返事はなく、のらりくらりとかわされるのみ……。

その結果、営業トークでさんざん聞かされたウェブマーケティングの手法は、実は「まやかし」だったのではないか――という疑いを持つ企業が増えていきます。

真面目なフリして楽をする業者たち



ウェブマーケティングの効果がなかなか上がらないとき、事業者は「SEOの施策は万全なので様子を見ましょう」「アクセス数は伸びているので、おいおい売上増にもつながっていきます」などと弁明しますが、実はほとんど何もしていなかったというケースが少なくありません。

氷山の一角ですが典型的な例を紹介しましょう。  元広告代理店勤務のAさんは、リスティング広告の運用代行サービスをしていました。 インターネットでキーワード検索をすると、検索結果を表示したページの上下や右側に文字広告が出てきます。これがリスティング広告で、インターネットでの集客にはよく使われる手法です。

リスティング広告を実施する際は、「どのキーワードが検索されたときに広告を出すか」をまず設定します。その広告の下線が付いた文字列をクリックすると企業が用意したプロモーション用のウェブサイトに飛び、製品やサービスの紹介から始まってサンプルの提供、イベントへの招待、会員登録などを案内するのが一般的です。

しかし、キーワードを設定して広告を出せばすぐに反響があって、製品やサービスがどんどん売れていく――ということにはなりません。設定を何度もやり直してようやくターゲット層にうまくヒットすることも多く、そのあたりの運用ノウハウがウェブマーケティングのプロとしての腕の見せどころでもあります。

Aさんは「効果があるからやりましょう」と口説いて、受注した後は放置したまま。いつクレームが来るかと毎日ヒヤヒヤしながら仕事をしていたといいます。 Aさん曰く、その広告代理店では新規顧客の開拓に忙しくて既存クライアントのフォローは後回し。それでも誰かが広告を見てクリックしてくれれば、広告代理店にはお金が落ちてくる。全然売上につながらないとお客さんに指摘されても、そういうときもあると説明すれば、ウェブ広告の実態がよく分かっていないクライアントはいくらでも言いくるめることができたといいます。解約すると言われたらあわててキーワード設定をいじり直したりして取り繕い、契約を延ばし延ばしにするというのがパターンになっていたというのです。

これでは、効果があると思って広告を出した企業側はたまったものではありません。

安さで売り込み手抜きするインターネット広告代理店



期待したほどの効果が出ない――ウェブマーケティングの世界では、残念ながらこの類の話が山ほどあります。

先の営業マンがいた会社のように、一度キーワード設定をしたら後は放置するという会社は珍しくありません。そういう会社の多くは手数料が安いことを売りにしています。価格でしか競争することができないからです。

するとどうしても薄利多売のビジネスになるので契約を多く取る必要があり、人海戦術で営業をかけてきます。アポイントを取る電話をかけまくり、少しでも興味がありそうな反応があれば訪問して、契約書にサインをもらうまであきらめずに何度もやって来ます。

ところが契約してリスティング広告を始めてみると、営業担当が言っていたような効果がありません。これでは文字通りの「安かろう、悪かろう」という状態です。 そんな会社が多いために、ウェブマーケティング業界は「営業がしつこい」とか「口だけはうまいがどうも信用できない」という印象を持たれてしまうのです。

解約されたら次を探せばいいという無責任な営業スタイル



自社サイトの掲載順位を上げるため、今や多くの企業で当然のように導入しているSEOについても問題が後を絶ちません。

あるときを境に、質の悪い某SEO会社が担当していたウェブサイトが次々と検索リストから姿を消しました。無理にほかのサイトからリンクを張るなどして順位を不自然に上げていたため、グーグルがペナルティの対象としてしまったのです。このことでクライアントから訴訟を起こされる事態にまで発展しました。

現在この会社はリスティング広告へと事業を転換し、格安の手数料を売りに営業しています。手数料は広告出稿料金の20%というのが業界の常識ですが、その会社ではなんと10%以下。この場合、クライアントから月額100万円の広告料を受け取っても、自社の利益は月10万円以下にしかなりません。そんな薄利多売のビジネスで有能な人材を雇えるはずはなく、素人同然のノウハウしか持っていない社員をかき集めて件数をこなしているというのが実態です。

一方で、頭が切れてウェブにも詳しく、広告宣伝の経験もかなりあるという優秀な担当者が営業にやって来る会社もあります。ところがこの人なら大丈夫と思って任せた途端、実際に担当につくのは経験の浅い若手の社員。それっきり、信頼を置いていた優秀な担当者は一切顔を出さなくなります。

どこの会社でも本当に優秀な人の数は限られているので、この営業担当がすべてのクライアントを担当するわけにいかないという事情はあるでしょう。それでも未熟な若手の面倒をみるわけでもなく、また引き継いだ社員も何十社もクライアントを抱えて、結局はろくな対応もせずに放置してしまうというのが通例です。

これらは今、ウェブマーケティング業界でよく見られるパターンとなっています。クライアントが成果を得られるかどうかは二の次です。解約されてもしかたない、また次の契約を取ってくればいいと割り切っているのでしょう。ウェブにしてもマーケティングにしても、目に見える物を売っているビジネスとは異なり、素人には分かりにくい話です。そこにつけ込んで次々とカモにしているのです。

ここまで紹介してきたのはかなり極端な事例だと思われるかもしれませんが、ウェブマーケティングの広告代理店といえばここ、リスティング広告ならあそこといわれているような有名な会社でも、似たようなことをしているところは多くあります。知名度があるから、会社が大きいからといって安心はできません。

こうした会社を根絶しない限り、〝ウェブマーケティング〞の名をかたった茶番劇がなくなることはありません。

効果検証・分析をしていないから改善提案が出せない



依頼者側のクライアントたちは、もちろんそんな内情は知る由もありません。うまくいかなければ、お金を払って任せているプロに解決してほしいと思っています。しかしそんな当然の要望に応えていない広告代理店やSEO会社、ウェブ制作会社などが、ウェブマーケティング業界には数多く存在しています。

ウェブマーケティングの成果が出ていない企業を訪問すると、必ずといっていいほど聞くのが「提案をしてこない」という不満の声です。

なぜ提案がないのかといえば、運用をせずに放置してしまっているので、新たな提案をするために必要となる現状の効果検証をしていないからです。不満が出るたびに改善につながるような提案を次々にする自信もないし、契約期間を長く引き延ばしたいために、たまに提案らしいことを言うことがあってもなるべく小出しにしていきます。

リスティング広告の場合、成果につながらない理由としては、キーワードの選び方を間違えている、広告を見せたいターゲットがきちんと絞り込めていない、広告のリンク先のサイトに行っても興味を引く内容になっていない、といったことが考えられます。

広告の掲載を始めると、たとえばGoogleアナリティクスのようなツールを導入すれば、訪問者が閲覧しているページ数、サイトに来てもすぐに出て行ってしまった訪問者の比率、1回の平均滞在時間などさまざまなデータが得られます。その結果をもとに、どこにどんな問題があったのか仮説を立てることで、次のステップに向けた提案ができます。この「効果検証→仮説→提案→実施→再び効果検証……」のループを繰り返していくのがウェブマーケティングの正しいやり方です。

この広告は効果がなかったけれども、原因が想定できるから次はやり方を変えてみよう。 一方であの広告は成果につながっているので、予算を増やした方がいい――。

こんなふうに提案してくれれば、クライアントも今度はうまくいくかもしれないという期待が持てるようになります。

詳しくは追って解説しますが、ウェブマーケティングを展開するにあたっては、リスティング広告やSEOのほかにも利用できるさまざまなサービスがあります。クライアントの事業分野、市場や顧客といった状況に応じて、また何を目指すかに合わせてそれらを組み合わせて運用していかないと、なかなか効果的なウェブマーケティングは実現できません。

しかしリスティング広告やSEOを単品で扱っている多くの会社は、自分たちの商品をいかに売るかということしか頭にありません。ですから仮に効果検証をしたとしても、総合的な視点からの提案はできないのです。

月次レポートの中身もごまかす



成果は出ない、提案もない――そんな会社からも請求書や内容の薄いレポート(報告書)は毎月しっかりと送られてきます。  請求される金額を見るたび、効果のはっきりしないものにこれだけ支払うのはお金をドブに捨てるようなものだという不満が募ります。

発行される月次レポートは、たいていは定型のフォーマットに数字を書き込んだだけのものです。  ただ数字が羅列してあるだけで、実際にはなんのことかよく分からないレポートを提出されることもあります。おそらく自動生成されるデータを多少加工してプリントアウトしたのでしょう。提出されたデータをどう読み解いたらいいのか、ウェブマーケティングに詳しくない一企業の担当者には見当がつきません。

それよりももっと問題なのは、数字が偽装されている場合があることです。それも決して珍しいことではなく、成果が出ていないのにうまくいっているように見せかけて、契約を引き延ばしたり予算を増やしたりするための手口として当たり前のように行われています。しかもレポートの元になっているデータは、クライアントが見られないように隠してしまいます。

グーグルやヤフーなどに広告を出すと、その広告配信システムを管理する画面を見ることができるようになります。管理画面にはリンク先URL(広告の遷移先)、クリック数やコンバージョン数の推移、費用対効果など、さまざまなデータがあります。コンバージョンとは、集客や販売、会員獲得などその広告で得られる最終的な成果のことを指す専門用語です。

クライアントが管理画面とレポートの数字を突き合わせたら、偽装したことは一発でバレてしまいます。そのため管理画面をクライアントに見せない、あるいは管理画面そのものの存在すら知らせずにいる広告代理店が多いのは事実です。

管理画面を分かりやすくまとめて月次レポートを作るのであればいいのですが、元の管理画面のデータの閲覧を要求すると、「運用ノウハウを開示することになるので社外には出せない」と拒否します。しかし本来、管理画面は広告主が当然知る権利があるデータです。それを間に入った会社が見られてクライアントは見られないのはおかしな話だと言わざるを得ません。

広告代理店などにウェブ広告を依頼している企業には、管理画面というものがあって、広告主は見る権利があるということを知っておいていただきたいと思います。

こちらのコンテンツは書籍『ウェブマーケティングという茶番』から抜粋しております。

書籍名:ウェブマーケティングという茶番

著者:後藤 晴伸 (後藤ブランド株式会社)

青山学院大学国際政治経済学部を卒業後、凸版印刷株式会社入社。 電通・電通テック担当として、大手企業の紙媒体を中心とした広告制作を担当。大手インターネット広告代理店、株式会社セプテーニへ転職し、SEMコンサルタントとして数十社のリスティング広告の運用を担当。 その後、取締役としてウェブマーケティング会社の立ち上げに参画。孫請け、ひ孫請けとしてウェブマーケティングに携わる中、業界特有の構造への疑問が強くなり、2014年に独立し、後藤ブランド株式会社を設立。 経営改善にまで踏み込んだ提案力、クライアント企業への遠慮のない物言いで、数々の中小企業の売上増に貢献。 後藤ブランド株式会社代表取締役。

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