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予算配分・リソース配分の最適化によって、 12カ月で新規事業売上が3倍に

サービス業/1000名(上場企業)

将来は市場拡大が確実視される新規事業を、いち早く手掛けた企業の事例です。

事業の立ち上げから間もないため、できる限り低予算で、かつ、スピーディーに問い合わせ数を増大させたい、という要望でした。そこで提案したのが、予算配分・リソース配分の最適化でした。この方法であれば、確実性が高く、大きな成果を生み出せる可能性が高いと考えたからです。取り組みから12カ月後、問い合わせ数は3倍に増大し、新規開拓の約半数をデジタル経由のものがカバーする状態にまでなりました。

【課 題】

今後、市場規模が拡大するといわれている領域に、競合他社に先駆けていち早く参入したF社。しかし、すでに新規事業開始から3年が経過し、ベンチャー企業をはじめ、さまざまな競合企業が続々と参入し始めており、事業展開を急いでいました。

しかし、F社では、事業の収益見通しのよくない新規事業に、あまり予算を割り当てていませんでした。そのため、営業組織を必要とせず、比較的低額でも始められるデジタルマーケティングで新規開拓を進めていく方法を取っており、広告代理店にその運用を全面的に任せていました。

しかし、なかなか思ったような成果が出てきません。とにかく事業展開を急がなければならない状況にありながらも、成果が出ず、F社の担当者は焦っていました。だからといって、もともと少ない予算をこれ以上増やすわけにもいかず、この先のマーケティング展開に頭を悩ませていたのです。

もう少しやりようによっては、マーケティング効率を高められるのではないかと感じていたものの、ウェブサイトに問題があるのか、広告運用に問題があるのか、あるいはそれ以外のどこかに課題があるのか、それすらも見えない状況にありました。

【方 向 性】

デジタルマーケティングの成果最大化という依頼内容に対し、最初に着手したのが、最も多額の費用がかかっている広告出稿の分析でした。分析開始後すぐに気になったことは、F社で行っているリスティング広告は、あまりキーワードを絞らずに、幅広く広告出稿を行っていることでした。

これは、一般的なリスティング広告運用の鉄則に従ったものであり、BtoCではよく行われる広告出稿の手法です。より広いキーワードで出稿し、「集客1人あたりコスト」を下げていくことで、同一の予算でより大きな集客を実現することができるようになり、成果が最大化されるというのが、その基本思想です。しかし、通常であれば正しいはずのそのルールが、今回は成果が挙がらない原因になっていました。

なぜならば、衝動買いのあるBtoCであれば、幅広いターゲットにリーチして、ウェブサイトに誘引しても成果につながっていきますが、衝動買いのないBtoBでは、購買行動に入っていないターゲットをどれだけウェブサイトに呼び込んでも、売上にはつながらないことが多いからです。BtoCと異なり、BtoBでは、コンバージョンにつながるキーワードが、狭く限定されるという状況があります。

F社がデジタルマーケティングを任せた広告代理店は、BtoCの広告運用方法で、幅広いキーワードに広告出稿を行っていました。また、広告予算も月額50万円程度と決して大きくなかったこともあり、Googleのリスティング広告のみに集中出稿していました。

これらがマーケティング成果創出の阻害要因として働いていることは明らかでした。そこで、あらためて過去にコンバージョンしたユーザーの検索キーワードを洗い出しました。過去にコンバージョンにつながったキーワードを抽出したうえで、一般的にBtoBでコンバージョンが発生しやすいキーワードも加え、現状のコンバージョン数を維持するための広告出稿プランを慎重に策定しなおしたのです。

その結果、広告費を約6割削減しても、現状のコンバージョン数はほぼ維持でき、それによってCPA(コンバージョン1件あたりの獲得単価)も、半額以下に下げることができるとの試算が出ました。 F社は、新たなマーケティングに充てる予算はないとのことでしたが、現状の広告費を約60%削減できることが分かったため、この削減分を活用することで、予算を増額せずにマーケティング実施施策範囲を広げる改善プランを提案しました。

【実施事項】〈予算配分の最適化により1カ月目から問い合わせ数が1・5倍に〉

予算配分最適化の方向性として、まずは、見込み客へのリーチを広げることを目標としました。しかし、実際には、どの施策が成果につながっていくのかは分かりません。そこで、まずはさまざまな集客策を試すことにしました。具体的には、次のようなものです。


● Googleのリスティング広告

● Googleのディスプレイ広告

● Googleのリマーケティング広告

● Yahoo!のリスティング広告

● Yahoo!のディスプレイ広告

● Yahoo!のリターゲティング広告

● SEO施策


今までは、Googleリスティング広告のみに月額50万円使用していた広告費を7つの施策に分割するため、一つひとつの施策に割ける費用は少なくなります。しかし、それでもテストマーケティングを行うためには、十分な費用になります。BtoBはGoogleユーザーが圧倒的に多く、仕事にYahoo!を使うユーザーは少ないため、Yahoo!はBtoBでは成果につながらない、と一般的には考えられています。

確かに、BtoBでは、Yahoo!ユーザーはGoogleユーザーの3分の1から5分の1程度です。しかし、BtoBであっても、Yahoo!で十分な成果が出ることもあります。それどころか、Googleよりも大きな成果が出ることがあり、テストしてみない限りは一概にどちらが良いとはいえないのです。

これまでは、Googleリスティング広告のみにすべての広告費用を注ぎ込んでいましたが、Googleリスティング広告で成果につながっていない部分をすべて削り、他の広告施策に予算配分を行ったところ、1カ月目から問い合わせ数が28 件から42件へと1・5倍に増加しました。ちなみに、予想のとおり、Googleリスティング広告への投入費用を30万円抑制しましたが、減少したコンバージョン数はたった1件でした。

予算をどのように配分するかによって、成果は大きく変わってくるのです。


〈毎月ROIを確認しながら予算最適化を実施し、さらに1・5倍に改善〉

パレートの法則をご存じでしょうか。

イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレートが発見したといわれるもので、成果の80%を生み出しているのは20%のインプットであるとするものであり、そのためにパレートの法則は別名、80対20の法則などとも呼ばれています。

例えば、会社の売上の80%は、20%の優秀な社員によって生み出されているとか、出版社の売上の80%は、20%のベストセラーによって生み出されているとか、所得税の8割は、2割の高所得者層によって納められているとか、実際の数字には多少の違いがあるかもしれませんが、そのような使われ方をします。 そう言われると、そのような気分になるでしょう。

80対20という数字がいつでも正しいとは思いませんが、成果が均等に生み出されているのではないことは、誰もが常に実感していることです。

つまり、パレートの法則に従うのであれば、効率よく成果を伸ばすためには、成果につながっている20%のインプット部分を見つけ出し、その部分の徹底改善や徹底強化、あるいは予算の傾斜配分を行っていけばよいのです。

F社でもパレートの法則に沿って、優先箇所を決めて、徹底的な改善を進めていきました。具体的には、次のような取り組みです。

毎月1回、各施策の実施による効果を投入費用と比較し、費用対効果を算出しました。そして、費用対効果が高い領域に対しては、予算を増やすとともに労力も投入して、徹底的な改善を実施していきました。


特に、これまではまったくSEOを実施していなかったため、当初はSEOの改善効果が非常に高く表れました。そのため、最初の2カ月は労力の大半をSEOの改善に注力しました。その結果、SEOによる集客は、月間7・5万円程度の費用であったにもかかわらず、広告費に換算すると月間約50万円分の集客増加を達成するに至りました。デジタルマーケティングの基本はSEOによる集客で、検索エンジンの自然検索からの集客は、広告に比べて費用対効果がとても高いのです。

ある程度SEOが完成したあとは、SEO対策費用を減らしましたが、順位は下がることなく、その後も検索エンジンからの集客は途切れませんでした。また、Googleディスプレイ広告も改善効果が非常に高く表れました。

ディスプレイ広告とは、GoogleやYahoo!が提携しているさまざまなサイトで、画像や動画などを駆使した広告を表示できるというものです。バナー広告の進化したものだと考えても、間違いではないと思います。このディスプレイ広告を、媒体、広告クリエイティブ、ターゲットユーザーの興味関心・性別・年代に至るまで、細かく検証しつつ最適化を行っていきました。

その結果、支援開始6カ月で集客数はさらに1・5倍に増加したのです。


〈集客改善は頭打ちになり、ウェブサイト改善に着手〉

ここまでF社では、集客面の改善に注力し、成果を伸ばし続けてきました。

もちろん、集客改善と並行して問い合わせ率も改善すべく、ウェブサイトの改良も行ってきていましたが、明らかに問題がある箇所の導線の見直しなど、小規模な改良にとどまっていました。

しかし、支援開始から6カ月間、徹底した集客改善を進めてきた結果、成果も頭打ちになってきており、改善の重点を集客からウェブサイトへとシフトすることになりました。デジタルマーケティングは、ポイントさえ間違えなければ、手をかければかけるほど改善効果があるものですが、そのパフォーマンスは、ゼロの状態から80%に持っていくほうが、80%を100%に持っていくよりも簡単です。

ですから、集客面が80%程度の完成度になったとしたら、残り20%の完成度を高めるよりも、問い合わせ率など、別方面に力を入れたほうが効率的です。これもある意味では、80対20の法則といえるかもしれません。

F社のウェブサイトは、大手広告代理店が関わっていただけあって、全体の構造も見た目もきれいに作られており、トップページからの導線もセオリーに沿ってしっかりと作り込まれていました。

しかし、SEOやリスティング広告で下層ページに着地するユーザーが増加してきていることや、ディスプレイ広告、リマーケティング広告など多様な手段で集客を行う前提で考えると、ウェブサイトには改良すべき点が多数見受けられました。

そこで、ウェブサイトの訴求力の向上、問い合わせへと誘導するための導線の整理、魅力的なコンテンツの追加など、本格的なウェブサイト改善に着手していったのです。最初に実施したのは、各ページのパフォーマンスの把握です。どのページがどれだけの能力を持っているのか、ページごとに「集客力」「閲覧力」「回遊力」「成果力」の4つの観点で評価します。

「集客力」は、外部サイトや検索エンジンから、ページに直接流入してきた数によって評価します。集客力が高いページは、ウェブサイト全体のアクセス数の底上げにつながる重要なページであるわけですが、意外にも、集客力が高いページがまったく改善されずに放置されていることも少なくありません。チェックポイントとしては、ユーザーがトップページを経ずに、検索エンジンから直接そのページに入ってくることを前提に考えた際、「見にくい」「分かりにくい」「適切な導線がない」「アクション誘導がない」などによってロスを発生させていないかといった点があります。

「閲覧力」は、ユーザーがどれだけページにとどまったかの滞在時間から算出します。基本的にはページ内のコンテンツの量が多ければ、滞在時間は長くなりますが、コンテンツの量が多くても魅力的でなければ、すぐに離脱されてしまいます。よく読まれているページは、ユーザーの興味を惹いているページと判断できます。

しかし、滞在時間は、ただ長ければよいのかというとそうでもありません。例えば、分岐ページ(詳細情報へ誘導するためのリンクを並べたページ。例えば、サービス一覧ページなど)の滞在時間が長い場合は、ユーザーがどのリンクをクリックすべきか迷っているととらえることができ、「詳細ページへスムーズに誘導する」というページの目的を達成できていないと考えられ、むしろネガティブな評価になります。

滞在時間の評価は難しいのですが、閲覧力が高いページはユーザーの興味関心に合致しているページ、と考えられるでしょう。「回遊力」は、離脱率から算出するもので、そのページから次のページへと、誘導する力の強さを示します。ウェブサイトの離脱ページとなっているページは、回遊力の数値は下がります。

離脱要因はさまざまであるため、回遊力が低いからといってそのページに問題があるとは決め付けられませんが、少なくとも回遊力が高いページは、ユーザーをうまく引き付けられているページといえるでしょう。「成果力」とは、そのページがどれだけコンバージョンに影響しているかという指標です。コンバージョンしたユーザーがどれだけそのページを見ているかによって算出します。成果力の高いページは、ユーザーがコンバージョンするために必要な情報を提供しているページと考えられます。

この4つの指標でページの能力を評価してリストを作成し、優先順位を決めて改善を実施していきます。 例えば、「成果力」の高いページを抽出し、なにがそのページの「成果力」を上げている要因なのかを分析し、「さらなる訴求強化ができないか」「アクセスをもっと増やせないか」などを検証し、改善余地があるページについては、改善策を実施していきました。また「集客力」が高いページについては、「回遊力を高めてユーザーをほかのページに誘導できないか」「成果力を高めてコンバージョンにつなげられないか」などをチェックします。こちらも、改善余地を探しては改善を施す、地道な作業の繰り返しになります。 また、それぞれの指標の数値が高いページは、その得点が高い理由を分析し、他のページへの応用ができないかどうかも分析しました。


【デジタルマーケティングの結果】

これらの改善策を実施した結果、取り組み開始後12カ月間で、問い合わせ数は3倍に増加し、それに伴って売上も3倍になりました。その結果、デジタルを活用した新規開拓策が有効であることが社内で認知され、デジタルマーケティングにさらに予算がつけられるようになりました。現在は、潤沢になった予算を活用して、さらにデジタルマーケティングの精密化に取り組んでいます。

書籍名:「分析」で成果を最大化するBtoBビジネスのデジタルマーケティング

著者:中田 義将 (株式会社リーディング・ソリューション)

1978年生まれ。株式会社リーディング・ソリューション代表取締役。 早稲田大学政治経済学部卒業後、大手経営コンサルティング会社入社。グループ会社役員を経て、2004年株式会社イングロス(現・株式会社リーディング・ソリューション)を設立。B toB企業を中心に、上場企業からスタートアップ期のベンチャー企業まで、業種・規模にかかわらず幅広くマーケティングを支援している。上場企業・有名企業を中心に、多数のコンサルティング実績、マーケティング支援実績がある。

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